伊丹敬之のレビュー一覧
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カネの論理とヒトの論理。
どちらも企業運営には欠かせないものであるが、アメリカの企業はカネの論理を優先させ、日本の企業はヒトの論理を優先させた。
バブルの前くらいは、日本企業のパフォーマンスがアメリカ企業のそれを圧倒していたが、バブル崩壊以降は、全く逆の状態となってしまっている。
日本企業も、カネの論理を優先させるアメリカ型の経営に近づけていくべきではないか、というのが、最近の風潮のような気がする。
本書は随分以前に書かれたものなのではあるが、伊丹先生は、それでも、というか、今でも、ヒトの論理の良さを活かす人本主義経営を活用すべきと仰るのではないかと思う。 -
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著者の伊丹敬之先生は、高名な経営学者である。本書は、「経営学者が書いた、マクロ経済の本」だ。
色々なトピックスを扱った本であるが、自分にとっては、バブル崩壊後の、いわゆる「失われた20年間」をマクロ経済データで振り返っている部分が面白かった。
1996年の日本のGDPが516兆円。約20年後の2015年のGDPは500兆円と16兆円のマイナス。
16兆円のマイナスの内訳。民間消費と政府支出の合計はプラス7兆円の微増。民間投資が18兆円のマイナス、輸出入差がマイナス5兆円。
全体像を見れば、企業の設備投資や民間の住宅投資が大きく減っている。
一方で、この間の資産の動きを見ると、家計の金融資産は -
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経営学者の大御所による、経営の平成史。著者の他の本でも色濃く表れる日本経済肯定が、本書でも噴出している。ただ、印象で論じるのではなく、データに基づいているから、科学的な検証だとも言える。学者だけに現場経験からものを言うことはできないが、さまざまな経済指標を使って全体を見渡す視野の広さは圧巻だ。著者はアメリカの経済事情に深く通じているようで、アメリカ型経営と対照をなすように、日本型経営を浮き彫りにしている。主として経済や経営のデータから論を起こし、現場の声や感情が加味される部分は少ない。また、ビジネスの歴史から教訓を引き出す一方で、ビジネスの最前線の動きは関与していないので、日本経済の現状を承認
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・情報システムと影響システムが管理会計にはあり、後者を忘れてはならない。
・一見すると矛盾するようなことに総合的判断を下すことが、経営の本質である。
・経営の本質は「他人を通して事をなす」ことにある。情報システムだけではなく、影響システムをうまく使うことが欠かせない。
・会計データは、現場想像力を働かせて解釈しなければならない、あくまで「現実の写像」であり「現実そのもの」ではない。
・現場想像力とは「こう測定すると、人の行動はこう変わる」という因果律の蓄積である。それを身体に染み込ませるには、人間に対する理解の蓄積、データと現実に付き合わせの経験の蓄積、という2つの蓄積が重要となる。 -
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東京は丸の内の丸善で買った本。
見かけた時、シンプルな装丁に惹かれて手にとった、と思う。
その時は、外資系企業出身の著者の本が世の中に溢れていた。
有名企業ならではのノウハウや、マインドとかを、
凝った装丁や見た目で仕上げた本が多かった。そんなふうな、
つい目がいくような本が多い中で、この本を見つけた。
内容はというと、上述のような本とは違い、
地道を王道として、地に足の着いた経営を説く本だと思っている。
妙な新語や造語や言い回しはなく、かといって、
煙に巻くような抽象的な内容でもなかったと思う。
この本の内容や目的というのは、
「自分が会社で働いている」という物事を、
あらためて分解して