【感想・ネタバレ】現場が動き出す会計 ―人はなぜ測定されると行動を変えるのかのレビュー

あらすじ

「会計を知らずに経営はできないと喝破したのは」稲盛和夫氏ですが、経営戦略と会計の融合を目指しているはずの管理会計のテキストの多くは未だに会計の世界の流儀に縛られ、その目的を果たせていないのではないでしょうか。
本書は、通常の会計のテキストとはまったくことなる経営の視点から会計(数字)をいかに使うか、を伝える、自分の周りのさまざまなシステムを管理会計的視点で見られるようになる本です。
伊丹氏は経営戦略の大家として著名ですが、学者人生のスタートは管理会計なのです。伊丹氏が会社数字をどのようにとらえているのかは、多くのビジネスパーソンにとっても興味を引くことまちがいありません。
本書では、管理会計システムの本質として、人は測定されるとなぜ行動を変えるのかを主眼に置きます。その典型例である京セラは通常の企業の利益管理、原価管理とは異なり、付加価値ベースのユニークな管理システムを独自開発しています。その仕組みを解明するなど一般ビジネス書としても興味深い内容になっている。
多くの経営者が抱く「利益はもっとも管理会計でよく使われる業績指標だが限界があるのでは」「勘定合ってゼニ足らず、とよく言うが、キャッシュはどこまで重要なのか」「不確実なアウトプットが本質である研究開発活動を管理できるか」など、従来の会計書ではなされなかった本質的な問いかけにも答えています。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

研究開発など投資系の活動に対して、どのように会計評価をするべきなのかを事例を含めて解説されてるところがとても参考になった

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2025年05月30日

Posted by ブクログ

経営学者である伊丹さんによる管理会計の入門書。

現場の会計システムのゆがみや課題を主眼に置いており、定義を羅列しがちな会計学者の教科書とは一線を画している。

実際に企業で会計・採算管理に従事している人にとって、自身の悩みや疑問点を次々に指摘してくれる本書は、強力な味方となってくれるだろう。

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2018年09月23日

Posted by ブクログ

管理会計には影響システムとして機能するという発想を持っておらず、勉強になった。測定することで意図しない影響を与えうることに意識を向け、現場想像力を持って制度設計が必要であると理解した。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

管理会計を情報システムと影響システムの2面から捉え、どのように設定すべきなのか?を論じた一冊。会計、経営、管理に携わる仕事の基礎として読んでおきたい一冊。

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2023年07月16日

Posted by ブクログ

業績指標は外部向けと内部向けを、きっちり経営者が分けて考えられることが大事なのですね。
会計数値と現場は別物。業績指標に振り回されて、現場の魂をなおざりにしてはいけない、ということがわかった気がします。

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2021年05月21日

Posted by ブクログ

・情報システムと影響システムが管理会計にはあり、後者を忘れてはならない。
・一見すると矛盾するようなことに総合的判断を下すことが、経営の本質である。
・経営の本質は「他人を通して事をなす」ことにある。情報システムだけではなく、影響システムをうまく使うことが欠かせない。
・会計データは、現場想像力を働かせて解釈しなければならない、あくまで「現実の写像」であり「現実そのもの」ではない。
・現場想像力とは「こう測定すると、人の行動はこう変わる」という因果律の蓄積である。それを身体に染み込ませるには、人間に対する理解の蓄積、データと現実に付き合わせの経験の蓄積、という2つの蓄積が重要となる。

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2016年10月17日

Posted by ブクログ

・間接費用の配賦基準や投資の判断基準などの実務でよくある悩みや疑問点を指摘しているが、結局どうすべきかがぼんやりしていた。
・結論としては「現場想像力」が大切とのこと。
・日本電産の本など、参考文献が参考になった。

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2017年05月09日

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