【感想・ネタバレ】経済を見る眼―ビジネス現場で役立つのレビュー

あらすじ

経営学第一人者が書き下ろした
実践的な経済入門書

本書では、難しい数式は一切出てきません。
「経済を見る眼」を養うための入門書です。

人間の行動やその動機、また多くの人間の間の相互作用を考えることを重視し、人間臭い「経済を見る眼」を提示しています。
著者・伊丹敬之氏は「経済学とは人間の学問である」と述べています。
加えて、「経営の営みは一種の経済現象である」とも述べています。

「原油安でなぜ景気が悪くなるのか」「なぜ機関投機家が企業に過剰な影響力を持つのか」「生産性が低い『おもてなし』サービス産業は発展するのか」など、ビジネスの現場で遭遇する疑問に答えつつ、実践的な経済の考え方や見方を解説しています。

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Posted by ブクログ

経営学の大家である伊丹氏が経済の捉え方をわかりやすく解説している。
経営も経済も、主体となるのは「人」であり、人の心を理解することが大切だ、という氏のメッセージは心に迫るものがある。

経済を読み解く貴重な視点をこれでもかと提供してくれているが、個人的にもっとも心に残ったのは日本と米国の企業利益率の違い(米国:高/日本:低)を日本の協調型競争環境から説明している部分。氏は日本の競争環境を「相互作用型競争」と呼び、それがグローバル環境のルールと異なる(それゆえ日本企業は相対的にグローバルに競争力がないことがある)点を鮮やかに浮き彫りにしている。

経営に携わるにせよ、個人的に投資活動に勤しむにせよ、経済を適切にみることは必須のスキルであろう。その意味でこの書籍を読むことで大局観を獲得することが有益になる方は多そうである。

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2024年05月04日

Posted by ブクログ

2017年はなかなかいい本と巡り合えているような感じが
します。久しぶりの伊丹氏の本。今回は経済ではありますが
経済学というよりも、教養としての経済。経営としての
経済。哲学としての経済。人間学としての経済というところ
がよくわかる内容だと思います。
自己啓発系よりも仕事に対して非常に有意なTIPS
もらえる内容です。
『神の隠す手』
よく言われていた話ではありますが、『経済をなすもの
としてカネ、情報、感情』

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2017年02月10日

Posted by ブクログ

著者の伊丹敬之先生は、高名な経営学者である。本書は、「経営学者が書いた、マクロ経済の本」だ。

色々なトピックスを扱った本であるが、自分にとっては、バブル崩壊後の、いわゆる「失われた20年間」をマクロ経済データで振り返っている部分が面白かった。
1996年の日本のGDPが516兆円。約20年後の2015年のGDPは500兆円と16兆円のマイナス。
16兆円のマイナスの内訳。民間消費と政府支出の合計はプラス7兆円の微増。民間投資が18兆円のマイナス、輸出入差がマイナス5兆円。
全体像を見れば、企業の設備投資や民間の住宅投資が大きく減っている。
一方で、この間の資産の動きを見ると、家計の金融資産は1272兆円から1706兆円に増加、企業の純金融「負債」は652兆円から431兆円に減少。
要するに、これだけの家計金融資産の積み増しがあるのに、消費は、さほど、増えていない。預貯金にお金がまわっている。また、企業もお金を設備投資ではなく、借金の返済に充てている。金を使わない、金を貯め込み、リスクを取らない日本の姿が浮かび上がる。
「どうしてそうなっているの?」というところの分析までは、本書は扱っていないが、それでも、バブル崩壊以降、日本経済が陥っている苦境がどういう姿であるのかが、理解しやすくなる。
示唆に富んだ面白い本。

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2020年03月07日

Posted by ブクログ

◎日本経済は、この20年間、ほとんど成長していない。
この「成長しなささ」は、国際比較をすると衝撃的。
アメリカは、この20年間でGDP2.2倍。日本は、”3%マイナス”

◎成長しなくなった今の日本の最大の問題は、国民の心理的エネルギー水準の低迷であろう。

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2017年04月25日

Posted by ブクログ

経済の流れをウォッチする意義を見出せていないので、読む

人の感情→経済の変動→企業行動という流れがあり、それを想像し先に動くことが、変化を生き抜く力となる。そして、その人の感情→経済変動と成り立ちを理解するためにマクロ経済学がある。

企業(産出)、家計(消費)、政府(運営)の3主体がお互いに期待感を持つ状態が景気を上向かせる。その期待感は、株価であったり政策であったり消費者物価指数などの日々の人の行動が集約された情報・指標から得られる。

そして、人本主義で緩やかな変化が特徴の日本の産業では、為替や海外情勢など目まぐるしく変化する与件を素早く理解し行動を変え始めないと、途端に時代から遅れてしまうリスクがあるのかもしれない。その辺りが、経済を見るモチベになるのか

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

ミスミで有名な三枝 匡氏との共著である『「日本の経営」を創る』を読み、著者伊丹氏の日本企業論をもう少し読んでみたくなって本書へ。同時並行で同氏の『漂流する日本企業』も読んでいるので、少し前のこちらは少しインパクトにかける。いつもながら私の読み方の問題であり、本書の問題ではない。

日本の金利はほぼ一貫して下がり続けたが、投資は増えなかった。家計も金融資産を積み増しながら住宅投資を減らし、企業も負債を返済し続けながら投資を減らしていった。金利も安く、デフレで物価も下がっていたがのに、総額としての民間消費は微増。金融資産が増えると家計に余裕感を生んで消費を増やすという「資産効果」の仮説が成り立たなかった。

「欲しいモノがない」という分析は本書には無いのだが、そういう事は関係ないのだろうか。または、投資したい事業がないも、同じだ。日本企業は既定商流に凝り固まっていて、その秩序を乱す事を極端に避ける。それが安定性を生む側面もあるのだが、安定していては投資も消費も増えない。日本全体の欲望を原動力としたエネルギーが低下して見えるのは、高齢化と無関係ではあるまい。

ー 日米の貿易摩擦は、繊維、鉄鋼、テレビ、自動車、半導体と、大きな産業で次々と起きた。面白いことに、ある産業での日米の貿易摩擦は、その産業の輸出額と出荷額全体の比率(これを輸出比率と呼ぼう)が25%辺りになると起き始めるようである。そこが危険ラインのようだ。1990年代までの輸出比率を調べてみると、その時系列的ピークはいずれも25%前後で、そのピークとなった年は繊維が60年、鉄鋼は75年、電気機器は81年、自動車は84年。この順序でたしかにそれぞれの産業の日米貿易摩擦が起き、これらの年の少し前から日本側への輸出抑制措置の強い政治的圧力がアメリカ政府からかかっている。また、為替レートへの介入による円高、という日本企業の競争力縮小現象の最大の例が、1985年9月のプラザ合意である。この円高でもっとも大きな打撃を受けたのは、日本の電気機器産業であった。

米国との関係や為替影響は、『漂流する日本企業』にも詳しい。マクロな視点が学べるが、しかし、別の因子もありはしないか、ふと思う内容だった。

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2025年02月17日

Posted by ブクログ

経営の専門家による経済の話。マクロ経済について簡単に説明しており、理解しやすく、よくまとまっていると思う。学術的な難しい理論の説明はなく、その点がやや物足りない。日本の経済構造や、高齢化の話など参考になる点があった。
「日本語の壁という国際展開可能性の障害は、モノを売る産業にはあまり存在しない(サービス業では大きい)」p51
「ケチ精神が強いのは、家計と企業、つまり民間であろう。消費や投資という形でカネを使おうとしない。逆に、経済規律が最も低いのは政府で、負債が積み上がっている」p92
「日本の不平等拡大の主要要因は人口高齢化であり、同一年齢世帯内の所得格差はほとんど拡大していない。所得の多い高齢世帯の比重が大きくなっているとともに、もともと高齢世帯の所得格差は若年世帯の格差よりも大きいため、国全体では、不平等度は拡大しているという計算になる」p170
「(日本のサービス産業発展の道)道は大別して2つあると思われる。1つは、苦手の生産性の向上を、おもてなしを維持しつつ実現する道。その際には、ITの活用が大きな鍵になるだろう。2つ目は、サービス産業の国際展開を図ること」p264
「おもてなしの国日本は、その生産性の低さをなげくのではなく、おもてなしをますます磨き、かつ、おもてなしをモノとの協働で生かしていく。それが、国内外でサービス産業が発展する基本の道のようである」p267
「シニア需要の特徴は「多品種、少量、便利、割高」」p277

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2018年10月21日

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