石川宗生のレビュー一覧
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副題が「改変歴史SFアンソロジー」と書かれ、帯には「5人のSF作家が語る偽史」と書かれ、知っている書評家の2人が「大推薦!」としている。5人の作家はいずれも知っている人で、今回は私の嫌いな伴名練もいるが短い作品なので一応読んでみようと思う。しかし、大袈裟に歴史改変SFって言っているが、ちょこちょことタイムスリップさせる程度のレベルじゃないかと思い、あまり肩肘張らずに読み始めた。
全体を読み終えた感想としては、石川宗生が意外と健闘している、宮内悠介は全く響かなかった、斜線堂有紀は新しい概念で歴史を引き戻し、小川一水はスパイ系の要素を加え、一番驚いたのは伴名練。伴名練、やればできるじゃないか、ダ -
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東京創元社のSFアンソロジーの二巻目。二〇一九年十二月刊行。まだコロナ禍やリモートばかりの生活を知る前の作品だけど、「あれ、なんだか今っぽい」と感じられるものもあって、フィクションの奥深さを思った。一巻を読んだときに比べて私のSF受容力も上がったのか、どれもそれぞれ大変楽しめた。
■高島雄哉『配信世界のイデアたち』
昔、かこさとしの『ほしのほん』シリーズを読んで、宇宙には「銀河」というものがたくさんあるということを知ったとき、もしかしたらはるかかなたの銀河のどこかに、私みたいな女の子がいて今同じように宇宙の本を読んでいるかもしれない…という想像をした。そんなことを思い出した。
■石川宗生『モ -
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中国から始まり、パキスタン、キルギス・・・セルビアを約半年かけて周遊。
その思い出を綴った旅行記。
簡単に書けばそのようなことなのだが読んでいて楽しくて楽しくて。
私は石川さんのバックパックに「キーホルダー」としてぶら下がり
一緒に周遊していた気がする。
読み終えてすぐに再読。
p137
火山とは名ばかりの「マッド・ボルケーノ」
ガスがポポッと湧き出ている。
ツアー客とともに小山を見てまわるのだが
「ガスの点検みたいに」と表現されている。
黙々と、真面目に見てまわる姿が想像できてしまう。
ただ、きれいな風景が思い浮かぶだけではない
この旅行記が本当に好き。 -
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帯には「最旬の作家たちが旅をテーマに競作したアンソロジー」と書かれている。この最旬の作家たち6人のうち5人が有名なSF作家だった。この様なアンソロジーには必ず読んだことがある作品が紛れ込んでいるもの。しかし、しょうがない。忘れている作品もあるだろうから、復習も兼ねてサラっと読んで行こう。SF作家が「旅」と言えば、時間旅行、宇宙旅行が定番、全くつまらないと言うことはないだろう。まさか、普通の旅行小説なのか?と、ワクワクしながら読むのも一興だ。さあ、個別にコメントしよう。
〇 国境の子/宮内悠介
講談社の短編集「国家を作った男」で既読。何回読んでも心に染み入る作品。主人公が大人しいだけに、その範 -
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4編のSF短編集です
ローファンタジー系で、もし現実にSFなイベントが発生したらというテーマを、どんどんエスカレートさせていきます
キノの旅の短いエピソードを、これでもかと緻密に詰めていったようなシナリオでした
例えば、同姓同名の人間が大量発生したら、というアイデアを膨らませていくのですが、かなり緻密に設定を組み立てていきます
読みながら、作者の頭の中がオーバーヒートしていっているんじゃないかと思うくらいSFなイベントが進んでいきます
どの短編もSF設定が現実的なディティールを保ちつつエスカレートしていき、一発屋のようなネタの広げ方ではなく、はち切れそうなほど設定が組まれていきます
どの話 -
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斜線堂有紀の上智卒なるほど!と思わせる英語力も見せつけられました。斜線堂ファンなら、この短編だけのために読むべき一冊です。
・石川宗生「うたう蜘蛛」
死ぬまで踊り続ける奇病が蔓延したイタリア。総督の前に、「この流行り病を収束させてみせましょう」とホーエンハイムなる錬金術師が現れる。
性描写あり、中学生には微妙ライン。
好み的には合わず。
・宮内悠介「パニック――一九六五年のSNS」
一九六五年の日本。そこには「ピーガー」というSNSが存在した。
一番心が乗らなかった作品。発想は面白い。
・斜線堂有紀「一一六二年のlovin' life」
和歌を詠むと同時に“詠訳”する平安時代。“詠語 -
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■吉田同名
突如1人の人間が19239人に増殖した世界の話。
これ、めちゃくちゃ面白かったです…
1人の人間の人生が崩壊して沈静して
団結して1国(みたいなその人だけの社会)が出来て
忘れ去られていく、、、
ある作品の●ッドマンズパレードを思い出した苦しくなったな
■半分世界
表題作。
このあらすじを読んで読みたくなった。
これは本当奇怪な設定だけど
半分の家になった家族ではなく、
フジワラー(半分の家になった家族を傍観する藤原家ファン)の生態に着目されてるのがめちゃくちゃ面白い。
■白黒ダービー小史
これは他のに比べるとサラッと読みました。
ロミジュリ………?いや、国?宗教?思想?
現実 -
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なんか最近、アンソロジーばっか読んでるような…。
2019年12月刊行の日本SFアンソロジー。短編7編とエッセイ2編が載っています。
第1集の『一万年の午後』のレビューで書いたのですが、ちょっと良いレストランで頼む「おまかせコース」がまさにアンソロジーだと思います。
「おまかせ」とは言え、オードブルからデザートまで全てパイ包み焼きだったらイヤだし、全部がココナッツ風味だったらもっとイヤな訳です(笑 たとえ、どれも単品としては超美味しかったとしても!
その意味では編集者(本著エッセイで言うところの「アンソロジスト」)の役割は非常に大きく、しかも料理とは違って、「これはケーキだからデザート」的な -
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「旅」をテーマに、気鋭の作家陣が短編を寄稿したアンソロジー。とはいえ旅の解釈はそれぞれであり、SFだったりミステリーだったり、各人の特徴が出ている内容となっている。
個人的な好みは藤井太洋さんの「月の高さ」。ご本人の経験を踏まえた舞台芸術の置かれた現状、地方巡業のドタバタ感、枯れたおじさんと若い女性の緩い連帯といった内容が小気味よくロードムービー的に展開されていて面白かった。
一方で石川宗生さんの「シャカシャカ」については正直よく理解できなかった。地表がシャッフルされるという話のメタ構造として、各章の順番もシャッフルされていく流れなのだけど、いきなり話と場所が飛んでしまうためについていけな