石川宗生のレビュー一覧

  • ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー

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    副題が「改変歴史SFアンソロジー」と書かれ、帯には「5人のSF作家が語る偽史」と書かれ、知っている書評家の2人が「大推薦!」としている。5人の作家はいずれも知っている人で、今回は私の嫌いな伴名練もいるが短い作品なので一応読んでみようと思う。しかし、大袈裟に歴史改変SFって言っているが、ちょこちょことタイムスリップさせる程度のレベルじゃないかと思い、あまり肩肘張らずに読み始めた。

    全体を読み終えた感想としては、石川宗生が意外と健闘している、宮内悠介は全く響かなかった、斜線堂有紀は新しい概念で歴史を引き戻し、小川一水はスパイ系の要素を加え、一番驚いたのは伴名練。伴名練、やればできるじゃないか、ダ

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    2022年11月29日
  • Genesis 白昼夢通信

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    東京創元社のSFアンソロジーの二巻目。二〇一九年十二月刊行。まだコロナ禍やリモートばかりの生活を知る前の作品だけど、「あれ、なんだか今っぽい」と感じられるものもあって、フィクションの奥深さを思った。一巻を読んだときに比べて私のSF受容力も上がったのか、どれもそれぞれ大変楽しめた。

    ■高島雄哉『配信世界のイデアたち』
    昔、かこさとしの『ほしのほん』シリーズを読んで、宇宙には「銀河」というものがたくさんあるということを知ったとき、もしかしたらはるかかなたの銀河のどこかに、私みたいな女の子がいて今同じように宇宙の本を読んでいるかもしれない…という想像をした。そんなことを思い出した。
    ■石川宗生『モ

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    2022年05月13日
  • 半分世界

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    いやぁ、面白かったー!

    どの短編も発想力がすごいし、結末なんかもよく考えてある!
    SFなのかもしれないけど、人間の本質をついてるのがすごい。
    「半分世界」なんて、最後、すごすぎてゾッとしました!
    ケンスケ、すごい!

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    2022年02月21日
  • 四分の一世界旅行記

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    中国から始まり、パキスタン、キルギス・・・セルビアを約半年かけて周遊。
    その思い出を綴った旅行記。
    簡単に書けばそのようなことなのだが読んでいて楽しくて楽しくて。
    私は石川さんのバックパックに「キーホルダー」としてぶら下がり
    一緒に周遊していた気がする。
    読み終えてすぐに再読。
    p137
    火山とは名ばかりの「マッド・ボルケーノ」
    ガスがポポッと湧き出ている。
    ツアー客とともに小山を見てまわるのだが
    「ガスの点検みたいに」と表現されている。
    黙々と、真面目に見てまわる姿が想像できてしまう。

    ただ、きれいな風景が思い浮かぶだけではない
    この旅行記が本当に好き。

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    2021年08月19日
  • 旅する小説

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    帯には「最旬の作家たちが旅をテーマに競作したアンソロジー」と書かれている。この最旬の作家たち6人のうち5人が有名なSF作家だった。この様なアンソロジーには必ず読んだことがある作品が紛れ込んでいるもの。しかし、しょうがない。忘れている作品もあるだろうから、復習も兼ねてサラっと読んで行こう。SF作家が「旅」と言えば、時間旅行、宇宙旅行が定番、全くつまらないと言うことはないだろう。まさか、普通の旅行小説なのか?と、ワクワクしながら読むのも一興だ。さあ、個別にコメントしよう。

    〇 国境の子/宮内悠介
    講談社の短編集「国家を作った男」で既読。何回読んでも心に染み入る作品。主人公が大人しいだけに、その範

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    2025年10月23日
  • 旅する小説

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    国境の子:宮内悠介/月の高さ:藤井太洋/ちょっとした奇跡:小川哲/水星号は移動する:深緑野分/グレーテルの帰還:森晶麿/シャカシャカ:石川宗生

    それぞれの時、それぞれの場所で
    旅が生まれ物語りになる
    不思議な感じのする物語たち
    「シャカシャカ」の切り取られる世界のイメージは見た気がする……夢かな??

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    2025年10月22日
  • 半分世界

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    4編のSF短編集です
    ローファンタジー系で、もし現実にSFなイベントが発生したらというテーマを、どんどんエスカレートさせていきます
    キノの旅の短いエピソードを、これでもかと緻密に詰めていったようなシナリオでした

    例えば、同姓同名の人間が大量発生したら、というアイデアを膨らませていくのですが、かなり緻密に設定を組み立てていきます
    読みながら、作者の頭の中がオーバーヒートしていっているんじゃないかと思うくらいSFなイベントが進んでいきます
    どの短編もSF設定が現実的なディティールを保ちつつエスカレートしていき、一発屋のようなネタの広げ方ではなく、はち切れそうなほど設定が組まれていきます

    どの話

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    2024年10月13日
  • ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー

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    ガッツリハードSFで良かった。
    特に気に入ったのは、和歌を『詠語』(えいご)で詠む世界の平安時代の物語、斜線堂有紀「一一六二年のlovin' life」。あり得ない設定なのに、迫ってくるような現実感。

    伴名 練 「二〇〇〇一周目のジャンヌ」は、無限とも思われる回数人生を、記憶を保ったままシミュレートされる。その無慈悲な繰り返しのあいだ、ジャンヌダルクはどのように過ごすのか。ジャンヌダルクの繰り返しの中の変化、そしてさいごが切ない。

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    2024年08月31日
  • 半分世界

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    めちゃくちゃ面白かった。飛浩隆さんの解説をそうだよなと頷きながら読んだ。奇想(19329人に増殖した吉田さんとか)から始まって、そこから始まるものが、緻密に大胆にバカみたいに語りながら、社会や人間に踏み込んでいく。僕らの好きなSF。スゴイぜ‥。

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    2024年03月03日
  • ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー

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    伴名練「20001周目のジャンヌ」が面白かった。何度も何度もやり直す…考えただけで倦んでしまう。ジャンヌの最後の選択が良く、後味もすっきり。
    斜線堂有紀「一一六二年のlovin’ life」も良かった。この上ない相棒を得た喜び、失った悲しみ。史実をそういう風に改変するのも面白い。

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    2023年06月27日
  • ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー

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    斜線堂有紀の上智卒なるほど!と思わせる英語力も見せつけられました。斜線堂ファンなら、この短編だけのために読むべき一冊です。
    ・石川宗生「うたう蜘蛛」
    死ぬまで踊り続ける奇病が蔓延したイタリア。総督の前に、「この流行り病を収束させてみせましょう」とホーエンハイムなる錬金術師が現れる。
    性描写あり、中学生には微妙ライン。
    好み的には合わず。
    ・宮内悠介「パニック――一九六五年のSNS」
    一九六五年の日本。そこには「ピーガー」というSNSが存在した。
    一番心が乗らなかった作品。発想は面白い。
    ・斜線堂有紀「一一六二年のlovin' life」
    和歌を詠むと同時に“詠訳”する平安時代。“詠語

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    2022年12月04日
  • ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー

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    歴史に生きる人々の心情を特に焦点が当たっていた話や、SF設定におもむきを置いている話、とアンソロジーの強みを活かした独自の世界観が面白かった。

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    2022年11月27日
  • 四分の一世界旅行記

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    小説と思って読み始めたら紀行文だった。中国からアジア、東欧をバックパッカーとして旅する話。馴染みのない国名が続き、各章の最初にある地図を見ても、ちっとも見当がつかない。(ちゃんと地図帳や地球儀を見ればいいのだろうけど、そこまで熱心でもない。)観光というよりは、その場で出会った人たちの話。バックパッカー同士で情報交換をしたり、一緒に行動したりする話が多い。一つの都市に長逗留したり、寄り道したり自由な旅行は羨ましい気もするけれど、自分では無理だろうなと思う。

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    2022年01月24日
  • 半分世界

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    ■吉田同名
    突如1人の人間が19239人に増殖した世界の話。
    これ、めちゃくちゃ面白かったです…
    1人の人間の人生が崩壊して沈静して
    団結して1国(みたいなその人だけの社会)が出来て
    忘れ去られていく、、、
    ある作品の●ッドマンズパレードを思い出した苦しくなったな

    ■半分世界
    表題作。
    このあらすじを読んで読みたくなった。
    これは本当奇怪な設定だけど
    半分の家になった家族ではなく、
    フジワラー(半分の家になった家族を傍観する藤原家ファン)の生態に着目されてるのがめちゃくちゃ面白い。

    ■白黒ダービー小史
    これは他のに比べるとサラッと読みました。
    ロミジュリ………?いや、国?宗教?思想?
    現実

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    2021年12月14日
  • 吉田同名-Sogen SF Short Story Prize Edition-

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    私が気に入ったのは、「たゆたいライトニング/梶尾真治」。「思い出エマノン」という地球生命誕生からの30億年分の記憶を持ち続ける少女の物語シリーズの一編です。今回は30億年に渡りタイムスリップを続ける少女ヒカリとの友情のお話しでした。設定がすごいですね。

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    2021年11月18日
  • 半分世界

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    「バス停夜想曲、あるいはロッタリー999」の
    何日も目的のバスが来ないバス停の栄枯盛衰は
    火の鳥を全編読んだ後のような気持ち

    SFってなんなんだ???

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    2021年09月22日
  • Genesis 白昼夢通信

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    なんか最近、アンソロジーばっか読んでるような…。
    2019年12月刊行の日本SFアンソロジー。短編7編とエッセイ2編が載っています。

    第1集の『一万年の午後』のレビューで書いたのですが、ちょっと良いレストランで頼む「おまかせコース」がまさにアンソロジーだと思います。
    「おまかせ」とは言え、オードブルからデザートまで全てパイ包み焼きだったらイヤだし、全部がココナッツ風味だったらもっとイヤな訳です(笑 たとえ、どれも単品としては超美味しかったとしても!
    その意味では編集者(本著エッセイで言うところの「アンソロジスト」)の役割は非常に大きく、しかも料理とは違って、「これはケーキだからデザート」的な

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    2021年07月14日
  • 四分の一世界旅行記

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    宮内悠介絶賛の旅行記、と書いてあり即購入。
    いくら旅が便利になったとはいえ、バックパッカーは体力勝負だし、自分ではここまでディープな体験は出来ないので、旅行記を通じて疑似体験が出来て楽しかった。
    旅行中のピンチは渦中にいると追い詰められてる感半端ないけど、1番思い出になってたりするよなぁとしみじみ。旅に出たい。

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    2021年06月11日
  • 旅する小説

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    ネタバレ

    ・宮内悠介 「国境の子」
    対馬生まれ韓国人とのダブルの話
    ・藤井太洋 「月の高さ」
    〇小川 哲 「ちょっとした奇跡」
    自転がほぼ止まった地球で明暗境界を移動するカティサーク号の少年は、地球の反対側で同じことをしている車へと出発する。
    ・深緑野分 「水星号は移動する」
    〇森晶麿 「グレーテルの帰還」
    グレーテルはヘンゼルに誘導され魔女(祖母)を焼き殺す。
    〇石川宗生 「シャカシャカ」
    地表が突然シャッフルを始め、時間と空間が円環する。

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    2025年11月09日
  • 旅する小説

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    「旅」をテーマに、気鋭の作家陣が短編を寄稿したアンソロジー。とはいえ旅の解釈はそれぞれであり、SFだったりミステリーだったり、各人の特徴が出ている内容となっている。

    個人的な好みは藤井太洋さんの「月の高さ」。ご本人の経験を踏まえた舞台芸術の置かれた現状、地方巡業のドタバタ感、枯れたおじさんと若い女性の緩い連帯といった内容が小気味よくロードムービー的に展開されていて面白かった。

    一方で石川宗生さんの「シャカシャカ」については正直よく理解できなかった。地表がシャッフルされるという話のメタ構造として、各章の順番もシャッフルされていく流れなのだけど、いきなり話と場所が飛んでしまうためについていけな

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    2025年10月13日