あらすじ
3年前、会社から帰宅する途中の吉田大輔氏(30代、家族は妻と男児一人)は、電車を降りて自宅に向かうあいだで一瞬にして19329人に増殖した――第7回創元SF短編賞を受賞した「吉田同名」をはじめ、ある日なんの前触れもなく縦半分になった家で、内部が丸見えのまま平然と暮らし続ける一家とその観察に夢中になるギャラリーを描く表題作、すべての住民が白と黒のチームに分かれ、300年にもわたりゲームを続ける奇妙な町を舞台にした「白黒ダービー小史」など全4編を収録。突飛なアイデアと語りの魔術が紡ぎ出す、まったく新しい小説世界。/【収録作】吉田同名/半分世界/白黒ダービー小史/バス停夜想曲、あるいはロッタリー999/解説=飛浩隆
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Posted by ブクログ
いやぁ、面白かったー!
どの短編も発想力がすごいし、結末なんかもよく考えてある!
SFなのかもしれないけど、人間の本質をついてるのがすごい。
「半分世界」なんて、最後、すごすぎてゾッとしました!
ケンスケ、すごい!
Posted by ブクログ
4編のSF短編集です
ローファンタジー系で、もし現実にSFなイベントが発生したらというテーマを、どんどんエスカレートさせていきます
キノの旅の短いエピソードを、これでもかと緻密に詰めていったようなシナリオでした
例えば、同姓同名の人間が大量発生したら、というアイデアを膨らませていくのですが、かなり緻密に設定を組み立てていきます
読みながら、作者の頭の中がオーバーヒートしていっているんじゃないかと思うくらいSFなイベントが進んでいきます
どの短編もSF設定が現実的なディティールを保ちつつエスカレートしていき、一発屋のようなネタの広げ方ではなく、はち切れそうなほど設定が組まれていきます
どの話もそうですが、短編にしては長かったです
読み終えたあとはボリュームのある変な話を完読した、妙な達成感がありました
巻末の解説も、頷きなから読んでいました
どの短編も物語性を仕込まれた絵画を覗かせられているような読み心地でした
ラテンとか、田舎のアメリカ文学の薫陶があるそうです
ここまで完成度の高い変な話は、SF界隈でもなかなか珍しいそうです
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。飛浩隆さんの解説をそうだよなと頷きながら読んだ。奇想(19329人に増殖した吉田さんとか)から始まって、そこから始まるものが、緻密に大胆にバカみたいに語りながら、社会や人間に踏み込んでいく。僕らの好きなSF。スゴイぜ‥。
Posted by ブクログ
■吉田同名
突如1人の人間が19239人に増殖した世界の話。
これ、めちゃくちゃ面白かったです…
1人の人間の人生が崩壊して沈静して
団結して1国(みたいなその人だけの社会)が出来て
忘れ去られていく、、、
ある作品の●ッドマンズパレードを思い出した苦しくなったな
■半分世界
表題作。
このあらすじを読んで読みたくなった。
これは本当奇怪な設定だけど
半分の家になった家族ではなく、
フジワラー(半分の家になった家族を傍観する藤原家ファン)の生態に着目されてるのがめちゃくちゃ面白い。
■白黒ダービー小史
これは他のに比べるとサラッと読みました。
ロミジュリ………?いや、国?宗教?思想?
現実世界のような、、、や、でも白黒つけるがための
ボール蹴りに縛られた世界の話。
終わり方が潔く、かっこよく、よかったかな。
■バス停夜想曲、あるいはロッタリー999
なんだこの話は!!!!!はい、脱帽。
バスが来ない、いつ来るかも誰もわからない
バス停のお話。
もうどこに迷い込んだんだという狂った世界観。
最高ですわ、、、「バス停ポリフォニア」が
出始めたあたりからもうこれはヤバいが確立された。
Posted by ブクログ
「バス停夜想曲、あるいはロッタリー999」の
何日も目的のバスが来ないバス停の栄枯盛衰は
火の鳥を全編読んだ後のような気持ち
SFってなんなんだ???
Posted by ブクログ
初宗生。短編集。まず「吉田同名」から、発想的には他にもありそうな印象を受けた。ただ吉田大輔自身が多趣味な人間だったので、困惑同調そして同化、していく過程が面白可笑しく表現されてて良かった。次に表題作。そんな家を見つけたらそりゃあ観察しますわ!笑 妙齢な女性がいるなら尚更。最終的に彼ら(ことフジワラー)は感化されて、自分の家まで半分にしてします…藤原一家恐るべし。
他ニ篇は好みではなかったため割愛。
Posted by ブクログ
記録文体でまるで本当に起こっていたかのように記述するという手法はSFでは珍しくないが、それにしてもその記録対象が発想としてぶっ飛んでいる。逆に物語としては起伏に欠けるところもある。読む人を選びそうだが、まあたいがいのSF者はこういうの大好きかな(笑)。