河合雅司のレビュー一覧
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前作が少子化・高齢化に伴って起こることをマクロ的な視点から分析し、それを政治的に解決していくためのアイデアを綴った本であったのに対し、本作はミクロ的な視点から、我々一般国民の生活に具体的にどのような影響が出てくると予想されるか、について書かれている。
■不慮の事故は自宅で起こる
■空き家の増加(東京でも)
■駅の階段、電車の乗り降りなどに時間が掛かる
■トラック・バスの運転手の不足→運行休止、荷物が届かない
■中小企業の後継者不足から解散・倒産へ
■相続遺産の東京への移転→地方の金融機関の事業継続困難に
■投票所が減少
危機感を煽るために、少し悲観的に書かれているような気もするし、負のスパイラ -
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マクロ、ミクロという視点からの分析に続き今回は業界への影響が描かれている。
3部作について、正直言って少し悲観的に過ぎるように感じていたが、最初の本から5年経過している間に現実は当初予測よりも速いスピードで変化してきた。これは本当に恐ろしい。日本国民全員が自分事として認識して戦略的に縮んでいくこと、その議論に主体的に参加していくことが求められる。
自動車産業のところで、整備士を目指す人の激減やその他の不安要素による自動車産業の国内市場の縮小は、人口減少による縮小よりも大きい可能性がある、と分析している。長年自動車産業に携わってきて自分としてはよく判るが、それでも目の前の短期的な数値目標達成にこ -
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前著「未来の年表」では国や自治体、企業に対する解決策が中心であったが、第二弾では私たち国民ができる解決策について述べられており、少子化や人口減少、高齢化による私たちの暮らしの影響について考えることができた。前著では実際に身近で起きることに関しては深く触れられていなかったため、第二弾では国民の問題として深く受け止めることができたと感じる。
少子化や人口減少が自然災害にも影響を及ぼしていることは考えつかなかった。鉄道の廃止や空き家の増加などは、少子高齢化による影響として考えつきやすいが、自然災害は地球温暖化による影響が大きいと考えていた。しかし、生産年齢人口の減少により、林業従事者が減少し森林の間 -
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日本の人口が減少し、少子化が進んでいることは現代ではもはや常識となっている事柄である。しかし、少子化によって私たちにどのような影響が生じるのかについて知っている人は少ないという。本書では、人口減少や少子化によってどのような問題が生じるのかを年ごとにまとめた「人口減少カレンダー」とともに、問題点について言及し、続いてどのような少子化対策をするべきであるのかを「10の処方箋」として述べられている。
個人的に最も驚いた点は、高齢化と少子化を一括りにして考えてはいけないということである。高齢化と少子化は一見関係が深く感じられるが、実際は別々の事柄であり、高齢化が進んでいるから少子化も進むと安易に考えて -
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☆3.5 データ列挙だけど
日本の人口減少は不変的事実なのに、意外にわたしの周囲では考慮してない人がほとんどだ。就職においては、これほど重要な事実もあるまい。将来、需要が減るとわかりきってゐる仕事に、いま就くことがどんなに無駄なことか。
この本では、著者が収集したデータにもとづいて、2020年から数十年先の日本における人口減少の影響を推測する内容。
すでに自治体や民間企業が推測したデータを著者がひっぱりだして、データを見れば一目瞭然のことを、あらためて言ひ直してるにすぎない。あまり体系的で理論的とはいへず、人口減少での地方の過疎化などは社会学で近代化を勉強すれば当然といへる。
しか -
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現時点ですでに「日本人」こそが絶滅危惧種に片足を突っ込んでいる。それぐらいの危機感を持つ必要がある。
実は本書の主題は、日本人の絶滅ではない。
「人類そのものが絶滅する」という壮大な話なのだ。
巨大隕石が落ちて来る訳でもなければ、地殻変動でもない。
地球温暖化が進んだ原因でもなければ、氷河期に突入して食料調達が出来なくなった訳でもない。
そして、人類同士が戦争によって殺し合う訳でもない。
(相変わらず殺し合いはし続けるのだが、それが原因で絶滅する訳ではない)
何と不可思議なことに、人類は「自然に滅亡する」というのが本書の主張だ。
それも数々のデータを指示して、それらの主張を補完してくる。
これ -
Posted by ブクログ
人口減少の未来が避けられない日本の今後について、より具体的な現状と解決策、考え方について学びになった。
人口減少は、単純に高齢化、少子化、社会の支え手の減少といった表面的な問題だけでなく、例えば医療における輸血不足の問題から空き屋問題、農産物生産問題など、挙げれば多くの問題が発生し、今後の生活、日本の存続に大きな影響を及ぼすものがある。そういった事実、現状を知ること、考えることが重要である。
また、人口減少が避けられないという前提に立った上で、行政としてどのような施策を打つべきか、例えばコンパクトシティ化、戦略的に縮むこと、などを考えることも重要。そういったことを理解した上で自分が人生をどのよ -
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人口動態に基づいて近い将来何が起きるかと日本はどうすべきかが書かれた本。漠然と、あるいはあちこちで見聞きしたことが、体系的に見渡せて良かった。
この本では人口だけに注目していて労働力が足りないのか余るのかがよくわからない部分があった。全体として縮む中で地域間や職種間でバランスが崩れる事をもう少しはっきり書いてほしいし、人口密度と人口規模に基づいてこの規模ならこういう形と提言があると良かったと思う。(他の国でその規模の都市でどういう生活・職業分布みたいなのが良さそう。共著に期待)。
縮む中で、規模の増加に依存したビジネス、例えば設備投資関連ビジネスは、更新需要のみになって壊滅することももっと読み -
Posted by ブクログ
『未来の年表』の著者、河合雅司さんが新型コロナの流行翌年に執筆された本。ご存知の通り、新型コロナによって「高齢化」「人口減少」に拍車がかかり、日本社会の老朽化・硬直化が一層進んだわけである。
空欄穴埋めドリル形式のため、スピードに任せて一気に読むのではなく、ところどころ止まって考えながら読むことができる。各章が短いので、中高生や読書の苦手な方にも向いていると思う。
恥ずかしながら全然知らない用語が沢山登場した。「フレイル」や「妖精さん」などなど。後半の河合氏による提言(国会議員の若者枠とか、30代以下だけの街とか)はとても興味深い。あれこれと批判する方もいるだろうが、まずチャレンジして参画する