『未来の年表2』河合雅司氏
【購読動機】
世の中の需要の変化、それにともなう事業構造の変化を知りたかったこと。2018年の執筆ではあるが、2023年だから「旧い」とするのではなく、状況認識の整理に当てたかったため。
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【こんなひとにおすすめ】
1)今、世の中で起こっていることを網羅的
...続きを読むに知りたい。
2)1)が身近な生活様式にどのようなマイナス、プラスになるか?を知りたい。
3)具体的に何を目的にどのように考え、行動することが準備につながるのか?を知りたい。
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【書籍内容】
河合氏はジャーナリスト出身で、近年は大学で教鞭をとっている方です。冒頭でおっしゃっているとおり、本書の内容は既知の事実であり、新鮮な内容ではありません。河合氏が執筆した目的は、わたしたち読者が事実を①自分ごとに置き換えること。②未来に向けて準備することです。
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<個人として読む場合>
自身や家族のライフスタイルに置き換えるとよいかもしれません。なぜならば、「?年後をシミュレーションして準備した方がいいかもな・・・。」と気づけるからです。
<ビジネス書として読む場合>
世のなかの困りごと(需要)を整理できることがメリットです。なぜならば、自社の事業に置き換えることで周辺ビジネスの変化に気づけるからです。
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【感想;ビジネス側面から】
1)公共交通機関事業会社への影響
人口減少は公共交通機関へ▲の影響を与えます。シンプルにいえば利用(乗降)人数の減少です。この事象は、運営事業会社の赤字へ直結します。運営事業会社は、赤字を縮小するため、運行本数の減少をはじめとした合理化を進めます。現在の地方鉄道中心に議論されていることは、今後も都市部でも発生しやます。
(解釈)
JRおよび主要の私鉄事業会社が、本業である鉄道事業のほかに不動産、小売りをはじめとした複合型事業へのシフトを強め、利益拡大を強化しています。今後もこの流れが太くなることが理解できます。
2)一次産業(農業、林業、漁業)への影響
高齢化による事業承継の問題により生産人口が減少しています。この減少率(供給量)と私たち側の需要量のバランスが益々難しくなります。
(解釈)
農業の法人化(大規模運営に集約)の流れが強まっています。また、金融(銀行、証券)が一次産業に対してファイナンスを実行し、オートメーション化(生産性向上)を推進するニュースを観察する機会も増えました。
地方は、1次産業割合が都市部と比較して高いです。地方銀行中心に1次産業に対する事業承継、事業統合、そしてファイナンスによる設備投資(労働生産性の向上、天候不順による出荷量への影響予防)が増えると推察します。
3)アルバイト、派遣事業会社への影響
大企業は、労働力不足の課題に対してIT投資を行うことで生産性を一定水準の割合で確保することが可能です。一方で、中小企業の場合は、ITに投資する資金が不足していること、また、投資後の運用体制においてリソースが不足しているため、大企業のように転換することが困難なケースが多いです。さらに、中小企業においては、大企業と比較して正社員採用が難しい状況が続いています。
(解釈)
人的リソースが不足する中小企業が、解決の手段として「派遣」「アルバイト」に依存せざるをえない状況は継続する可能性が高いです。見方をかえれば、派遣ならびにアルバイトを紹介する事業会社は、今後も中小企業向けの営業を強化しつづけるということです。
4)不動産および金融業界への影響
高齢化、そしてそのあとの相続により空き家は増加しつづけます。直近のニュースでも触れる機会は増えました。所有者が明確になっている空き家と不明な空き家。前者においては、不動産売買につながりやすいため、流動化を期待できます。
(解釈)
政令指定都市(地価の下落が著しくない地域)、かつ主要駅に近い、かつ所有者が明確な空き家は、金融そして不動産事業会社の需要がますます高まる可能性があるのでは?と推察します。
5)地方銀行への影響
地方在住の方が亡くなり相続が発生した場合、相続された資金が地方から都市部へ流出しています。つまり、地方にある地方銀行から都市銀行へ流出しているということです。理由は、相続人の生活圏が都市部である割合が多く、相続元の地方銀行を利用するには不便が多いからです。
(解釈)
地方銀行から都市部に対する資金流出が継続した場合、地方銀行にとっては▲影響となります。なぜならば、貸出資金量に影響するからです。地方銀行では、金融収益に加えて、金融を除いた収益割合を高める中期経営計画を観察する機会が増えました。地方銀行におけるこの流れは、増える可能性が高いと推察します。
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【さいごに】
経済としてのマクロ、業界としてのマクロ、そして事業としてのミクロという具合に解釈を進めました。
河合氏が図表も入れながら説明してくれています。そのため、読者として理解しやすかったです。
執筆は2018年です。当時の内容は、2023年の現在も継続的に発生しています。
網羅的に理解できた本書は有難かったです。