野口卓のレビュー一覧

  • 明暗 手蹟指南所「薫風堂」

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    ネタバレ

    手蹟指南所「薫風堂」シリーズ第4弾。
    指南所で学ぶ子供達が下山(卒業すること)の時期になろうとしていた。

    やたら口の軽い父親が、前の手習い所でいじめを受けていた息子善次を連れてやってきた。
    薫風堂では、お互いを認めていじめをするような子供はいないことが、やっとわかって表情にも明るさが戻ってきた矢先、突然親子が夜逃げをした。
    父親が務める店から金を横領したというのだ。

    善次のその後に心配する直春。

    稔書堂から、手習い所の心得などの本を出版依頼されてた直春は、小さい子らを指導する助手太一の見習い先にと連れて行く。

    忠兵衛が今まで一人で、手習い所を下山する子供達の勤め先をその子の才能や性格を見据えて、世話をしていたのだが、これを引き継ぎ来年からは直春だけですることになる。

    直春の子供時代からの親友猪吉も戯作者として売れ始める。

    子供らの将来を真剣に考え、手習い指南の本を書くために、考えをまとめルうちに、自分の中で教育者のあるべき道を整理するうちに、理想の姿を見つけ出す。

    このシリーズは痛快な場面もあるが、何と言っても、人を育てるということの難しさや大事さを考えさせる逸話も多く、楽しみ方も多岐に。

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    2018年10月06日
  • 猫の椀

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    ネタバレ

    野口卓の文章は研磨の行き届いた切れる刃物のようだ。
    キリッとしてて、その上美しい。
    この本は短編集だが、長編も素晴らしいが短編にもこの才能は発揮されてると再確認。
    なんども同じ本は読まない私だが、『野口卓、小早川涼』はなんども読めそうだ。

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    2018年08月24日
  • 隠れ蓑―北町奉行所朽木組―

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    遠山左衛門尉景元が北町奉行であった時代。
    定町廻り同心、朽木勘三郎は,
    その名前から『口きかん』のあだ名がある。

    長男、葉之助は13歳で定橋掛同心の見習いをしている。
    34歳の朽木の父親の代から岡っ引きをしていた父親に
    ついて出入りしていた同い年の伸六。
    下っ引きの安吉と弥太、見習いの和吉と喜一。
    面倒見がいい伸六のもと、真面目に仕事に取り組み
    メキメキ腕をあげるこの組は他所からも
    『朽木組』と言われる結束も固く実績もあげている。

    そんな朽木組。難事件をチームワークで解決してゆく。

    丹念に取材し、記録を集めて作り上げた世界観は
    読んでいて,実に読み応えもあり、
    何と言っても野口卓の人の描き方が良い。

    中身は途中で休んでも,読みやすい短編を集合させたやり方で
    事件の内容も,解き明かすやり方も読み応えがあり
    読んでいて,読後感に充実感が残る。
    このシリーズ今は二冊だが,これからも続けて描いて欲しい。

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    2018年07月08日
  • 一九戯作旅

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    十返舎一九が武士を捨て江戸に出て、
    押しも押されもせぬベストセラー作家となるまでを
    一九が、弟子にしてくれと断っても十日も通い詰めた
    仁八に語り聞かせる図で、物語る。
    特に、なくなる2年の間しか、あの蔦十とは関わりがなかったが
    最初に会った時に言われた言葉は終生一九の脳裏に輝いた。
    誘われる遊びは決して断らず、気になる見聞きした出来事を
    手控えに残し、戯作の糧に。
    一九に語らせた伝記のような一冊。

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    2018年06月17日
  • 三人娘 手蹟指南所「薫風堂」

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    手蹟指南所「薫風堂」の続編、三人娘、波紋。
    実に好ましい主人公の若者、雁野直春。

    二人だけで決めた婚約者美雪の幼馴染二人が
    薫風堂に探りに来る。
    真面目なノブ、誘惑的な菜美。
    ブサイクな縁談を持ち込まれた菜美は腹いせに
    直春を誘惑し、女を知らなすぎの直春は翻弄される。

    2巻目の騒ぎも伏線となり、
    師範代を務める道場に、金銭目当ての道場破りが
    うまく追い払うも、瓦版に出ることで
    薫風堂にも野次馬がたむろし、手習い子が誘拐され。。。
    返り討ちし、無事に奪還。
    今回は騒ぎはごめんと、子供達と秘密に。

    瓦版で薫風堂の開所のおりから、直春を応援してきた
    昔馴染みの猪吉。戯作者になるのが夢だった。
    道場破りの騒ぎの後、御家人の五男坊、捨五郎と知り合う。

    他とは違う手習い所と評判を聞きつけ
    見学に訪れたのは、大きな版元北斗屋庄兵衛だった。
    何度か見学し話をして、教育者としての気概を知り
    本を出さないかと依頼される。

    新しく、話が各方面へと展開し次巻が待ち遠しい限り。

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    2018年06月13日
  • 手蹟指南所「薫風堂」

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    偶然見つけた作家さんだが、ヒット!
    実にいい。血生臭くなく、人情にも溢れ知恵にも機微にも富み、好かれる主人公が読んでいて気落ちいい。
    「教育には何が大事か?」というテーマにも踏み込んでいるのが素晴らしい。哲学を持っている作家さんなんだろう。他の作品も食指が伸びる。

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    2018年06月06日
  • 波紋 手蹟指南所「薫風堂」

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    偶然見つけた作家さんだが、ヒット!
    実にいい。血生臭くなく、人情にも溢れ知恵にも機微にも富み、好かれる主人公が読んでいて気落ちいい。
    「教育には何が大事か?」というテーマにも踏み込んでいるのが素晴らしい。哲学を持っている作家さんなんだろう。他の作品も食指が伸びる。

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    2018年06月06日
  • 手蹟指南所「薫風堂」

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    雁野直春が手習い所・薫風堂を立ち上げ,子供たちを指導する.沼田道場では剣の腕も抜群で,松岡緑之助が二番手の由.直春の生い立ちに関係する春田仁左衛門から養子縁組の話を持ち掛けられ,頑なにそれを拒む直春.乳母兄弟の茂作を救い出す話.短編が5つの文庫本だが,人と人の親密な交流の中に何とも言えない温かみを醸し出すストーリが堪能できる好著だ.

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    2017年01月28日
  • 犬の証言 ご隠居さん(三)

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    1冊目、2冊目と、語り手がいることの必然性に疑念を抱きつつ読んでいたが、3冊目にきて、ついに、というか、いよいよというか、鏡磨ぎが語り手としていることに意味が出てきたように思った。これまでは語り手の語る蘊蓄、鏡磨ぎ職人でなくてもいいんじゃない?と思っていたが、3冊目でつながったように思う。
    「幸せの順番」なんて、語り手なしで、独立した別の短編で読ませた方が面白いんじゃないか、と思いながら読んでいたが、なかなかどうして、この結末はお見事だと思った。
    3冊目にきて面白くなったと思ったけれど、
    さて、ここで一休み。かなり時間をおいて次作を読もうかな。面白いと思った本作の感じを少し長く置いておこうと思います。

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    2017年01月15日
  • 猫の椀

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    我不明白了[猫的碗]和[蜉蝣/阳炎](是诈欺的故事)的作者的打算。不过,我想好意思[在里看了阎魔的堂]和[笑窝]和[幻祭梦谭]。人生不平坦,不一样。我荐你们读末页。你们明白了全部。

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    2015年03月18日
  • 水を出る―軍鶏侍

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    軍鶏侍シリーズ第四弾。
    今ちょうど山桃の実が熟す季節。
    この実にまつわる艶めいて少し悲しい短編が思い起こされる。

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    2014年06月22日
  • ふたたびの園瀬―軍鶏侍

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    軍鶏侍と呼ばれる剣豪・岩倉源太夫とその周辺の人々を描くシリーズ、第五弾。
    困難にぶつかったときに逃げずに向かって、ぐんと成長する若者の姿がみずみずしい。権助に後継者ができてよかった。

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    2014年06月22日
  • 闇の黒猫―北町奉行所朽木組―

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    【本】闇の黒猫 野口卓著 新潮文庫。同著者の”軍鶏侍”に流れる端整さ、情景の美しさから一転、伝法で粋でいなせな江戸っ子を、野口さんが描くと...。やっぱいいなぁ。若者を思いやる中年二人に共感^^。

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    2014年03月02日
  • 飛翔―軍鶏侍

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    シリーズ3作目。
    圭二郎の成長が頼もしいばかりの「巣立ち」。兄嫁の和や母の生き方もすがすがしい。
    「咬ませ」の義経。闘鶏の具体がリアル。下男の進言には味がある。
    源太夫とみつは何も語らなくても間が持つよい夫婦になった。

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    2013年09月30日
  • 獺祭―軍鶏侍

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    剣の達人岩倉源太夫のシリーズ2作目。
    主人公の造形がますますくっきりしてきた。
    存在感のある物知りの下男。
    門下の若者への指導、軍鶏好きの商人との交流など、楽しんで読める。
    人生訓がちりばめられている。

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    2013年09月15日
  • 軍鶏侍

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    初めて読む作家。
    巻末の解説どおり、凝縮された内容で面白かった。
    会話文の敬語の語法で気になる箇所あり。

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    2013年08月17日
  • 飛翔―軍鶏侍

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    「軍鶏侍」第3弾。物語がなじんできて、1巻では人付き合いも下手で孤高の軍鶏侍「源太夫」も道場主として弟子とともに成長し、下男「権助」のキャラが際立ち、妻「みつ」がとてもいい味を出してきている。
    3弾では弟子で若軍鶏と呼ばれるまで剣の成長を見せる「圭二郎」の成長と敵討を描く。
    1巻のぎこちなさはもうなく作者も成長している感じ。
    4巻以降も続くと思われるが、今後「権助」の過去をどう描くかが楽しみ。

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    2013年01月21日
  • 獺祭―軍鶏侍

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    「軍鶏侍」では、藩主の側室で長男「一亀」はサラッと数行しかでてこないが、4作目の番外編となる「遊び奉行」の主人公。「軍鶏侍」ででてくる地名の「うそヶ淵」が続編の「獺祭」と繋がる。デビュー作で既に連作、番外まで構成して描いている。・・。
    「強い軍鶏は美しい。美しい軍鶏は強い。」と繰り返し出てくる言葉は生き方の表現か。
    また、葉室麟やこの野口卓のように物語の中で季節や土地の豊さを瞼に浮かぶように描ける作家はすばらしい。
    「広大な水田の稲が風に揺れ、まるで海原の波のように感じられた。稲の葉の表面は光沢のある濃い緑をしているが、葉裏はいくぶん白く、そしてすこし青味がかっている。風の動きによって緑の葉表と青白い葉裏が交互にそれを見せ、揺れが滑らかに移動するので、まるで堤防に向けて波が次々と際限もなく打ち寄せて来るように錯覚してしまう。なおも見続けると、船に乗った自分が、海原を突き進んで行くような気になる。」

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    2013年01月20日
  • 飛翔―軍鶏侍

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    細部にまで血の通った登場人物の描写が素晴らしい。
    弟子の成長に目が行きがちだが、岩倉源太夫自身も秘剣を超越し、飛翔した。次回作が待ち遠しい。

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    2013年01月17日
  • 軍鶏侍

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    2011.9.13「野口卓はこの一巻によって時代小説の最前線に躍り出た」という帯で手に取った。読み始めは?だが、次第に面白くなってゆく。
    隠居した剣士「岩倉源太夫」を主人公とする短編連作。軍鶏の飼育を趣味とし軍鶏の闘いにヒントを得た必殺剣「蹴殺し」。を持ち、孫のいる39歳が藩騒動に巻き込まれる。温かみのある表現は読んでいて気分がいい。
    次作が楽しみな作家。

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    2013年01月17日