いとうみくのレビュー一覧
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ネタバレバスの交通事故により視力を失った兄・朔と、そのバスに乗る原因をつくった弟・新を軸に、後悔や羨望といった暗い感情を整理していくお話。
朔が突然視力を失い、急激に変化する環境で新を許せないのも、母親が現実逃避の手段として新を責めるのも、新が自分を責めると同時に母親の言葉に(本人は自覚していないかもしれないが)傷つくのも、すべてが追い詰められた人間の自然な感情であり、それがむしろ物語全体の切なさややるせなさを強調していると感じた。人間の汚い、暗い感情から目を逸らさず、丁寧に言葉を紡ぐことができるいとうみくさんには脱帽する。
中学受験時代、塾のテストで出題されたことを機に読み始めた。小学生の頃は、 -
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ネタバレ感想を書き直しました。
お気に入りの本で、何度も読んでいる一冊。
朔(さく)と新(あき)は兄弟だが、久しぶりに再会した。理由は、朔が盲学校に通っていたためだ。事故で失明した朔は、長い間家族に顔を見せず、寺社に籠っていた。飲酒した運転手が運転するバスに偶然乗り込んだ朔と新。事故が起こる直前、近くの席の女の子が落とした荷物を拾おうと、朔はシートベルトを外していた。
重い。辛い。事故が起こったのは飲酒運転していたせいなのは明確だ。けれども朔と新の母、加子が新に当たるのも分かってしまう。そのバスに乗る原因となったのは新で、前々から新は反抗期だったため加子によく当たっていた。だからこそ、新のせいに -
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ネタバレ第68回(2022年度)読書感想文課題図書
小学校低学年の部
内容:
「妹は小学2年生、姉は4年生。
頭がよくて、ものしりで、ぶ厚い本を読んでいて、ピアノだって上手、だけど、ちょっと怒りっぽくていばりんぼう、そんなおねえちゃんはあたしの自慢です。おねえちゃんは歩くとき、少し右足をひきずります――。笑ったり、泣いたり、けんかしたり、助けたり、助けられたり、揺れ動く姉妹の気持ちが、鮮やかに細やかにつづられた日常の物語。やさしく温かみのある挿絵がたくさん入った、小学校低学年にぴったりの読みものです。」
感想(ネタバレあり)
・絵がかわいい、表紙が魅力的。
・さわやかでほんのりやさしい、姉妹の、家 -
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ネタバレ2022年度読書感想文コンクール課題図書(小学校低学年の部)
なんてえぇ姉妹や……。っていう安い感想がまず零れ出る自分が感想文指導をしていいのか疑問ですが、いい本ですね。
一応、童話の位置付けだと思いますが、挿絵がカラーも多く充実していて、半分絵本のような印象で読めると思います。
同じく課題図書「ばあばにえがおをとどけてあげる」のばあばに引き続き、なぜおねえちゃんが足を引きずるようになったのかは謎ですが、完璧主義で負けず嫌いの小4おねえちゃんと、髪型のせいかちびまる子ちゃん感が溢れ出るうっかりキャラの小2つくしちゃん。
2人の日常を切り取った短編集のような作りになっています。
わたしは姉 -
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ネタバレ【小学3-4年生・中学年の読み物】
好きなイラストレーター・ころりよさんが絵を担当されていて、そこからこの本を知りました。
不公平は、公平にある。
その事実を前向きに受け入れていくお話で、とても好きだった。
誰かのことを羨ましく思ったり、逆に優越感に浸ったり、善意として言われた言葉ですごく傷ついたり……。
そういうことは子どもの世界だけでなく、大人の世界にもある。
大人が読んでも楽しめるストーリーだと思う。
そして、ころりよさんの優しくてあたたかいイラストがストーリーにぴったりで、ほくほくしながら読んだ。
児童書を読むのは久しぶりだったので、「絵がいっぱいある!」と挿絵を見て嬉しくなっ