あらすじ
風汰が中二の時に授業の一環で行われた職場体験。「子どもとあそんでいればいいってこと?」と安易な気持ちで保育園を選んだが、のちにまさかの保育士に。しかも勤務先は、夜間保育園。仕事と育児に追われるシングル保護者、自身も一人の母親である保育士、そして自宅を改築して夜間保育園を開いた園長。様々な想いに触れながら、風汰も保育士として成長してゆく。子どもを幸せにするには、親も幸せにならないと――。都会の片隅で、夜の保育園が灯す温かな光を描いた物語。
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「天使のにもつ」で中学生だった主人公が、保育士になって夜間保育園に勤めるようになって再登場。彼自身が成長しているのを見るのも面白いが、今回の彼は脇役に回ることが多い。彼が中心になる話では、男性保育士に女児のオムツ替えをして欲しくないという親が登場する。まだそういう話があるのかと思う。確かに最近も、教育者による事件が起きているけれど、保育の場に男性がいることが当然だし、メリットがあることについて、まだまだ認識が浅いのだと思う。
他に保育園で働く人や、保育園を利用する親子を描いた4つの短編が入っている。これまで夜間保育園という存在について知らなかった。でも、子どもは親だけでなく社会全体で育てるべきと考える私が、今まで気づかずにいたことを反省した。
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トレンディでドラマになりそうな夜間保育園のおはなし。
どんな環境にある子どもでも保育を受ける権利がある…。
(夜間)保育を必要とする環境というのは親の「都合」によって多様であっても良いのだなというのが気づきだった。
例えば母子家庭でお母さんが看護師さん。どうしても夜勤の対応をしなければ働き口がない。
この場合は世間的にも仕方がないと捉えられることも多そう。
だけど、お母さんの職業がホステスだったり、会社員だけど自己実現のために残業や接待も参加したい。これだときっと世間の風当たりはもっと強い。
実際、いま私が死んだら、夫は自己実現と子育てを天秤にかけ、どちらかを選ぶのだろうと思っていたけれど、両方を求めることも選択肢にはあるのかもしれないと思った。
それが社会的には間違ったことで、仕事をセーブしてきちんと子育てをするか、祖父母などに預けるのが「正解」なのかもしれなくても。
子どもの幸せと親の幸せの最大公約数は親子によって違うから。
もっとお互いに迷惑をかけてもいいと思える社会、社会とまでもいわず、小さな人間関係ってどうしたらできるんだろう。
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祖母の家を改築し一階を保育園、二階を自宅にした逢沢涼音が園長の夜間保育所が舞台。夜に仕事をする親の子どもを預かっている。園長をはじめとするスタッフにも色々と抱えてきた事情がありきれいごとばかりではないリアルな世の中。「子どもを幸せにするには、親も幸せにならないと」がモットーである【すずめ保育園】はスタッフにとっても癒される居場所である。前作に引き続き今作でも涙、涙、涙。
※親から愛されていると実感できる子は幸せ
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「天使のにもつ」の主人公の風汰が22歳になり、すずめ夜間保育所に勤めている。「天使のにもつ」からこんな温かい希望に満ちた風汰の将来が想像できただろうか。風汰を取り巻く周りの保育士さん達も魅力的だった。子どもを幸せにするには、親も幸せにならないと”という想いで、夜間保育園を運営している園長の鈴音がとにかく素晴らしい。理想は希望。でも、現実に今困っている子どもや親から目を背けることなく寄り添い続けるすずめ夜間保育園は、素敵のひとこと。
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夜間保育園の様子が丁寧に書かれていて、自分の無知さを認識しました。
いろいろな親子関係があり、それを支えるために必要な仕事に取り組む保育士さん達。
誇りを持って関わる姿に感動あるのみでした。
小説の世界だけでないことを祈りたいです。
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あらー風汰君もう就職したの! と軽い気持ちで読み始めたら、これただの風汰の成長物語じゃなくてかなりがっつりした夜間保育テーマの多視点型連作だぞ、と途中からかなり引き込まれて読みました。前作より大人向けですがラストで題名がわかる展開も美しく決まってて相当面白かった。
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本書に出てくるような、人に相談しにくい事情を抱えた人が安心して子どもと暮らせる社会になってほしい。地元の夜間保育園を調べると数が少なく病院に隣接する園ばかり。夜間保育園はもっと一般的になる必要があると思った。
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読み始めてすぐにギョッとする。これはもしかすると育児放棄とかネグレクトとかの物語だろうか。重いストーリーは読みたくない時であり、放置していた。
数日後、本を開き始めるとページをめくる手は止まらない。
舞台は夜間保育園。一見チャラそうな若い男性保育士や訳ありのベテラン保育士や自分自身が育児放棄されつつあった子供時代、夜間保育園にお世話になった園長先生が働いている。
園に我が子をあずける大人たちが日々の生活で葛藤する中、子供たちのストレートな言葉が心に染みる。
いとうみくさんの本はいつも優しい、ことを思い出した。
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天使のにもつの続編です。前回の主人公であった中学生の風汰くんが、主人公ではありませんが登場して、大人になった姿も楽しめます。中学生の時から変わらず、いい意味でのゆるさと良くも悪くも素直なところがあり、こんな保育士さん子どもたちに人気だろうなと思いました。
今回は、夜間保育がテーマです。子どもだけでの留守番が厳しく取り締まられるようになった昨今では、それに関連するニュースもよく目にします。ただ、ニュースになったり問題として扱われるケースはごく一部で、夜間にひとりで過ごす子どもは少なくないのだと思います。この問題は、親が悪いと片付けてしまうのはあまりに乱暴で、なにも解決しない気がします。綺麗事ではなく、実際に子どもを受け入れられる場所が必要なのだと思いました。
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虐待や育児放棄をする親を責めるだけでは何も解決はしない。ならば、困っている人にいろんな助けの手があれば不幸な事態は回避できるのではないか。それを実践する夜間保育園でのお話は、どれも身近にありそうで辛い。しかし、この園の園長先生や他の保育士の、子どもの幸せと共に保護者の幸せを考えるスタンスは素晴らしい。そんな人たちと関われた子どもにとってそこは、ずっと支えになる心のふるさととなるのだろう。どの親子にも笑顔でいてほしいと思う。
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中学二年生・斗羽風汰が職場体験先の保育園で出会う子どもたちを描いた『天使のにもつ』の続編。
風汰が二十二歳の保育士となって、夜間保育園"すずめ夜間保育園"で働いている。前作に引き続きユルさを持ちながらも子どもたちには人気の"風汰先生"の姿に、やっぱりこういうちゃらんぽらんともとれる、いい意味でユルい人間の方が子どもと関わる仕事には向いているんだろうなと実感。前作での風汰の指導係だった"リンダ"がちらっとだが出てきたのも良かった。"リンダ"は「わたしのおかげで保育士が将来の夢になった」と捉えていたが、最後の章での園長先生の回想に描かれた風汰が保育士になったきっかけ(好きな女の子と同じ学校に願書を出したら保育の学校だった)は、風汰の照れ隠しの理由かもしれないが笑ってしまった。この程度のユルさが本当にいい。
前作では、ただの"職場体験生"の視点から描かれていた保育現場も風汰が保育士となったからか、また舞台が"夜間保育園"という同業のなかからも色眼鏡で見られやすいところであるからか、"預かってもらう側の保護者"の苦悩もよく描かれていた。そして、風汰が男性であるがゆえに"男性には女児のオムツ換えをしてほしくない"といった理不尽な"モンスターペアレント"も描かれる。
結局は、親の要求をどこまで呑むかかなと考えさせられた。園長先生は、そういった要望を(深い考えがあるものの)受け入れるし、同僚も「モンペ」や「だったら家で自分で見ればいい」と言う風汰に対して諌める。また、いろいろな事情で日曜保育や卒園児の家庭への立ち入り、小学生の受け入れも行う。それが「こどものため」という錦の御旗のもと、問題なく滞りなくできているうちは良い。独身の園長先生やベテラン教員、若手の風汰の私生活や体力を余すところなくつぎ込んで入れるうちは良い。だが、もっと持続可能なサポートをと考えた場合、次の保育士たちがどれだけ自分たちを犠牲にして尽くしているかに懸かっているしか道がないのなら、保育士にとっても親にとっても子どもにとっても暗い道にしかならないのではないかと考えさせられた。
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中学のときに職場体験先に選んだのが保育園だったという風汰は、今はすずめ夜間保育園で働いている。
たまたま風汰が同じアパートで見かけた母子、その母親は娘をどこにも預けるところがなくてひとりで留守番させていた…という話から始まり、そこで働く千温が離婚した事情や息子がいるという話。
父子家庭で子どもといっしょの時間の少なさに悩む父の話。
すずめ保育園を開いた鈴音の事情など。
子どもを幸せにするには、親も幸せにならないとというのがよくわかる。
親が少しでも安心できるように。
だれかが支えることで親子の暮らしを守ることができるのであれば、その努力はするべきだという鈴音の気持ちがそのまますずめ夜間保育園になったのだろう。とても家庭的で安心できる保育園だ。
親であっても、祖父母でも親戚であっても、あるいは血のつながりはなくとも、子どもは自分が愛されていること、守られていること、信用できる大人の存在を感じることができれば、幸せになれる。
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夜間保育園
子供を預け夜間まで働く親には様々な事情がありそして働いている保育士も様々
子供を夜間に1人にしたくはないが生活の為
そして子供たちもいろんなことを感じ考える
大人の話を聞き取り感じ取る
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さらっとでもグッとくる
園長先生のお話にガツンとやられた
揉めて怒ってしまって呆れてしまって嫌になってしまう子育ての肯定的、寄り添い的なお話。
子供を育てるってほんと尋常じゃないよな。
Posted by ブクログ
保育園に子どもを預けている身としては、保育園の園長先生や保育士さんたちの言葉が身に沁みた。
保育園は子どもの味方だけど、お母さんお父さんたちの味方でもいてくれる。
それはいつも感じているけど、この本の中ではっきりと言葉で示してくれていて、安心して泣けてくる。
毎日、限りある時間の中で、仕事家事育児をやりくりして頑張っている大人たちに読んでほしい。
Posted by ブクログ
夜に働く親のための夜間保育園のお話。子どもを幸せにするには親も幸せにならないと。誰にも頼れず親子揃って溺れそうな親子、追い詰められる母親、親を求めて泣く子ども…つくづく子どもは親だけでは支えきれないと思う。周りを頼って、周りが支えて、親が幸せになるときっと子どもも幸せになるんだなって。お互い迷惑をかけ合える社会になればもうちょっと生きやすいかもしれない。どうか子どもが健やかに生きることができますように。この本が続編だなんて知らなかったので前作も読みたい。良い本でした。
Posted by ブクログ
『天使のにもつ』続編だが、前作未読でも問題ない。
四歳の娘を一人家に残し、夜の仕事に出る母親。
育児に疲れネグレクトをする母親。
家庭の数だけそれぞれに事情があることは理解出来る。
それでも読みながら怒りで胸が苦しくなる。
酷い目に遭いながらも真っ直ぐな愛情を母親に向ける子供達。
その純真な心に何度も涙が込み上げ、親と子の両方が幸せになれる道はないのか考え続けた。
本作では救世主となる夜間保育園が登場し救われる。
だが現実に育児に行き詰まり助けを求めている人は数多く存在するだろう。
安心出来る居場所の必要性を痛切に感じた。
Posted by ブクログ
夜間保育園を利用する親、子、
そして働く職員の話
内容的にはまぁ予想の範囲内で特別な印象はないけど
親子の絆、親が親になっていく様が描かれていた
天使のにもつは読んでないから読んでみよう
Posted by ブクログ
夜間保育園を舞台に母子家庭の母娘や保育士、園長など立場の違う人視点で語られる。夜間保育園の抱える問題、いっぱいいっぱいの母子の様子など思わずみんなを応援していました。
園長先生の「お互いに迷惑をかけあえる社会」という言葉が心に残りました。