いとうみくのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「助けた自分たちは間違っていたのだろうか」
保護した少女ありすが見せた抵抗に中三の周東律希、青山湊、七海未央は違和感を抱く。"真実"を知りたいと三人はありすを探しだし…。
初めての作家さん。
虐待を受けるありすに関わる三人が、大人への不信感を募らせながら自分の無力さにも打ちのめされる…複雑な心情を丁寧に描いていて好感が持てた。
「下手に正義感なんて振りかざして、もし間違ってましたなんてことになってごらんよ、どう責任とるの?」大人は見なかった、気が付かなかったと面倒なことをさけて通ろうとする。
「今度こそありすをちゃんと守りたい」
主人公の周東律希は、弟の面倒をみている湊や、七海未央がなぜ転校してきたか…二人の事情を知ったことで、周りも見ず漠然と日常を送っていた自分を恥じる。彼の成長が感じられる場面だった。
ほっこりさせられたのは湊の弟、凪くんの天真爛漫さ。同い年のありすに「これおいしいよ」と煮物をすすめたり、「ぼくしってる!」がマイブームだったり…そうそう、4、5歳の子どもってこんな感じだったと懐かしくなった。物語が暗くなり過ぎず読み続けられたのはこの子の存在が大きかったと思う。
16歳になった三人が、父親のところに行きたいと言うありすを連れて電車に乗る辺りから物語は二転三転するが、子どもではなく、大人でもない彼らが自分の頭で考え行動する姿は眩しく感じられた。
おすすめのYA 本です。
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Posted by ブクログ
ネタバレ誠実な筆致で、一日で一気に読んだ。
事故で視力を失った兄、そのことに負い目を感じる弟、兄の障害を弟に原因があると感じてしまう母…。
事故であるからには、個人の誰かのせいではないのだけれど、それはわかっているのだけれど、それでも、そう思わずにはいられない。それぞれが、そのどうしようもない気持ちを抱え、押し殺しつつ苦しんでいる。どこかで開放したいと願いながら。
これは、その刺さったトゲを、それぞれに抜いていこうとする物語だ。
走るということは、やはり哲学的なことに通じるのだな、と思う。
『走ることは、孤独だ。どんなに苦しくても、つらくても、誰かに助けてもらえるものではない。走れなくなったら、その場に立ち止まり、倒れ込むだけだ。それはブラインドマラソンも同じだ。ふたりで走っていても、伴走車が支えるわけじゃない。手を引くわけでも、代わりに走るわけでもない。走ることはやっぱり孤独だ。孤独で、自由だ。』
走ることで、兄と弟は自由になれたのかもしれない。