サラ・パレツキーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人に勧められた本を読むことはとても大切なことだ。自分の趣味趣向とは違う世界に出会えるチャンスだし、途中で飽きてきても、勧めてくれた人のことを気にして挫折することなく最後まで読み通そうとするからである。あくびが出るような展開を延々と続けた後、最後の最後でそれまでの退屈な時間が吹き飛ぶほどのどんでん返しをやってのける作品は星の数ほどあるはずだが、途中で諦めてしまいその魅力に気づくことなく終わってしまった本は何冊あることだろうか。人の勧め、ビジネス上の都合などなど、ある程度選書に縛りを設けないと、知見やセンスを広げることはできない。
と、いうことで友人から勧められた本書をしっかり読み切ったのだが、最後の最後まで苦痛だった。どんでん返しはなかった。こういうこともあるっちゃある。受け入れなければならない。
本作がシリーズものだということは、読み進めてしばらくしてから気づいた。見知らぬ名前の人物が説明なしに出たり入ったりしてきて混乱するので、この巻から読むのはおすすめしない。ミセスポリファックスシリーズのようにどこからどう読んでもすんなり入っていける作品ではない。
また主人公の性格の癖が強く、その点でも読む人を選ぶ作品と言える。フィリップマーロウなどハードボイルド小説の主人公からインスピレーション得ていることはわかるのだが、彼ら以上にこのヴィクという女性はよくキレる。本当に軽い冗談ですらすぐムキになって反抗する。冷静さを欠いているから返しもお粗末で、フィリップマーロウとは比べるべくもない。そのくせ自分は有能だ、頭が良いと考えており、少しでも能力を否定されると「私は知恵で生きる女なのよ」と物凄い勢いで反抗する。いかに自分が有能かを語る心理描写が延々と続くことも多く、正直不愉快でしかない。まあ、もしかしたら当時女性の置かれていた立場はかなり弱かったのかもしれず、その中で探偵として生きていくには強い自我がないとやっていけなかったのかもしれない。この辺は社会情勢を知らないからなんとも言えないが、本作はシリーズ化するほどの支持を得たのだから、こういう自己主張の激しい女性に共感を得る読者は多かったに違いない。これから読むであろう人々には、男性・女性という区別を無しにして一人の大人としてこの人を見てほしいと思う。それでも魅力的に感じるのであれば、もはや何も言うまい。
ヴィッキー(こう呼ばれるのを彼女は嫌がる)の探偵としての能力はどうかと言うと、これもなかなか酷い。感情的になって嫌いな人間を犯人と思い込んだり、明らかに罠とわかるような現場に一人で向かったり、読者からは事件の大筋は見えているのに、本人は関係ないところをうろつき回って堂々巡りをしているためもどかしい気分にさせられる。交渉に関しても、お世辞にもうまいとは言えない。著者は彼女の交渉について、具体的描写を避けて結論だけ述べることが多いため能力に疑問を持ってしまう。言うなれば、設定上は頭脳明晰ということになっているが、誌面での行動はお粗末極まりないといったところだろうか。狙ってこういう設定にしたのだと思うが、合わない人間からするととことんつまらなく感じられる。性格の件もあって最後の最後まで彼女に感情移入することができなかった。
内容については、既にさらっと述べたように物語中盤で殆ど大筋は見える。最後の最後まで残されていた謎は、まるで打ち切り漫画のように雑に説明されて終わる。530ページあるうちの半分くらいは主人公の心理描写に費やされている。つまり本作品は、ヴィクという女性に魅力を感じなければどうあがいても楽しめない小説なのである。私には無理だった。他の登場人物の中に好きになれそうな人はいないかと探してみたが、だめだった。
ハマる人にはハマる、というのは全作品に共通していえることだとは思うが、本書はその傾向がかなり強い。私の趣味には合わなかったが、社会に己の身一つで立ち向かおうとする強い女性とリアリティを求める人からしたら、評価は真逆のものになるだろう。どうか私の批評を鵜呑みにせず、自ら手に取って判断して頂きたいと思う。 -
Posted by ブクログ
1960年代
“ほんの”60年前のアメリカ合衆国、キング牧師に代表される人権運動に揺れた。そしてひとりの黒人青年が姿を消した。
40年後に捜索を依頼されたヴィクは、次第に当時の殺人事件に関わる謎に入り込む。
デビュー作「サマータイム・ブルース」新版のカバー絵に魅かれて続けて本作を読んだが、どうやらずいぶんあいだを飛ばしてしまったようで、会話に出てくるエピソードに少々ついていけない。
また、唐突で攻撃的な言葉でのやり取りにもついていけず、読むのに苦労した。
壮年期を過ぎの人たちは、実際こんなものなんだろう。上品な人しか出てこないミステリーの方が現実離れしているとも言える。
頑張って読んでしまうと、それなりに満足感が得られた。
V・I・ウォーショースキーの物語は“猪突猛進”を合言葉にこの後も続く。
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◼️ サラ・パレツキー「サマータイム・ブルース」
ハードボイルド人気シリーズ。まっすぐに闘う女性探偵、ヴィク登場!
サラ・パレツキーというと、このヴィクシリーズで人気が出たころ、5作めの「ダウンタウン・シスター」を人に薦められて読んだ覚えがある。懐かしい大阪の旭屋書店ビルに探しに行ったような。残っていればおそらく名建築の仲間入りをしていたであろう、本が詰まったレトロなビルには推理小説フロアがあり、下りのエスカレーターが無かった。
1982年に発表された、ポーランド系の女性探偵、V.I.ウォーショースキー、通称ヴィクが活躍するハードボイルドもの人気シリーズの初回作品。新装版をたまたま貸してもらった。
大銀行の専務が、行方不明の息子の恋人を探して欲しいとヴィクに依頼する。2人が同居していた住居に侵入したヴィクは息子の銃殺死体を発見する。恋人は姿を消し、手がかりのない状況の中、依頼者と銀行の専務とは別人であることが判明、さらにヴィクはシカゴの街のヤクザにこの件から手を引けと叩きのめされたばかりか、依頼の打切りを宣告される。そして、さらに殺人事件がー。
身長175cmくらい、元弁護士にして空手の達人、ホルスターで拳銃を身にまとう、闘う探偵。依頼料が入る見込みがなくなっても巨悪を暴き少女たちを守るため、敢然と立ち向かう。劇中にはロマンスも盛り込まれ、正統派ハードボイルドエンタテインメントとなっている。
ストレートな行動をし、実力行使にも逃げず、物言いもスカッとしていて、それでいて弱者へのケアもきちんと行う。そんな決然とした姿勢と、良き協力者に恵まれていることやエンタメとして息もつけない展開が物語を彩っている。
これが、女性探偵ブームの先導役のシリーズか、と。5作目の「ダウンタウン・シスター」でイギリス推理作家協会賞シルバー・ダガー賞を、9.11後のアメリカ社会を描いた「ブラック・リスト」でゴールド・ダガー賞を受賞している。
解説で読む限り「ブラック・リスト」は人種差別などにも絡んでいるようで、混沌としたアメリカでのヴィクの活躍は興味深い。ヴィクはシリーズが進むとともに加齢しているとのこと。最新作は2024年に発表されているようで、初登場から実に42年の月日が経っている。果たしてどうなってるか。もう少し読む気になってきた。 -
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最近はクラシックミステリーばかり読んでいるので、何か現代ものをと思って昔から好きな VI。現代ものといっても、VI シリーズ第一作の「サマータイムブルース」が1982年(邦訳は 1985年)なので、もう 40年前か……。日本では 3F (著者、主人公、翻訳者がいずれも女性)とも称されて一世を風靡したサラ・パレツキーも今やすっかり重鎮で、御年76になるのだとか。しかし、70を超えても年1冊弱のペースで書き続け、昨年 22冊目となる "Over Board" を上梓している。
ストリップまがいの現代アート、イラク派兵と軍事産業、LGBT など、いかにも現代的なテーマを織り込みつつ、依頼人のために文字通り一肌脱ぐ VI の格好良さは健在。 -
Posted by ブクログ
原田マハさんの『リボルバー』の文中に“ウォーショースキー ”の名前が出てきて興味を持ったので、こちらを手に取りました。
本書は「ウォーショースキー ・シリーズ」の第一弾です。
シカゴの私立探偵・V・I・ウォーショースキー 、通称“ヴィク”の元に、銀行家を名乗る男性が訪れて、息子の恋人が行方不明なので探してほしいと依頼してきます。
早速調査を開始したヴィクですが、件の銀行家の息子・ピーターのアパートで彼の射殺死体を発見。さらに、依頼人の男が被害者の父親とは別人だったことが判明して・・・。
“探偵モノ”といっても様々で、こちらはコツコツ推理を重ねて謎解きをするというより、ガンガン身体を張りまくる、所謂“ハードボイルド系”でございます。
冒頭から、気の強さ全開のヴィクですが、ギャングにボコボコにされようが、自宅や事務所を滅茶苦茶にされようが、屈することなく立ち向かうタフさがカッコイイですね。
ピーター殺害の真相を追ううちに、浮かび上がってくる、労働組合と保険会社が仕組んだ大規模保険金詐欺と、反社会的勢力との癒着・・・。
こうした巨悪が絡む社会派な部分や、アクションシーンと併せて、ハードボイルドものではお約束(?)の“アバンチュール”もご用意されています(個人的には探偵の“火遊び”パートは特にいらないのですけど、まぁいいかww)。
ということで、王道のハードボイルド・ミステリというかサスペンスを堪能させて頂きました。
こちらは既に20作程出ている人気シリーズのようで、こういった系は巻を追うごとにキャラが練れてきて面白くなっていくと思うので、もうちょい追ってみようかなと目論んでおります~。 -
Posted by ブクログ
古本市で購入。
650ページの長編。
シカゴに住む私立探偵ヴィグ。
窃盗の容疑をかけられた青年の行方を捜してほしいとの依頼を受ける。
青年はどうやら老いた女優と一緒にカンザスの田舎町に行ったらしいという情報を元にカンザスに向かう。
カンザスの田舎で行方不明の二人を捜すのだが、途中のストーリーはほとんど二人は関係なくなっている。
二人を捜すうえで、ヴィグが殺人事件、軍の隠蔽、出生の秘密などに巻き込まれ?ていく。
後書きで知ったのだが、私立探偵ヴィグ・I・ウォーショースキーはシリーズになっていて早川から何冊も出ている。
ちらっと調べたら、書作は30年以上も前に刊行されていて、その時のヴィグは携帯もPCも使っていないが、本作は21世紀もバリバリなのでSNSにスマホ、タブレットを活用している。
愛犬パピーはいつから出てくるのかな。