西村京太郎のレビュー一覧
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○江ノ電の景色を舞台によくわからない殺人
ある日、若い男性がマンションの一室で殺害されていた。裕福な暮らしをしていたがお金が盗まれていないことから物取りの犯行ではなさそうだった。そして部屋の一角には大きく「2」「1」と書かれた紙が貼られており、江ノ電のおもちゃも走り出した。番号の意味を考えると連続殺人となるはず、と考えた十津川は、江ノ電周辺を探り始める。
数日後、江ノ電の踏切で女性が絞殺されているのが見つかる。
その後、画家の戸山に「絵を盗んだ。返してほしければモチーフを渡してやるから絵を描け」という謎の要求が犯人らしき人物からあり、警察に話すも手がかりはつかめず。
謎の「江ノ電のおもちゃ」という手掛かりは謎を呼び続け、解決のときまでもつれこむが、江ノ電のおもちゃがあるから江ノ電に関係するんだ、という執念で解決まで持っていった。江ノ電について書かれた雑誌の記事から、江ノ電本体ではなく周辺で起こった事件・事故に関連するに違いないとにらんだ十津川は、犯人とおぼしき男の元へと行く。
江ノ電の気持ちいい風景も書かれており、なんとなく疑似体験。
一方で画家の戸山が最初、警察への協力に難色を示したあたりは、よくわからなかったが・・・ -
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ネタバレ○不思議な殺人事件の裏には南紀の美女
居酒屋を経営していた美由紀が突然ガンで倒れ、息子の雄介は孝行しようと美由紀に尋ねると「南紀白浜に行きたい」と答えた。答えた直後、何者かに病院で殺されてしまった。なぜもうすぐ死んでしまうにも関わらず殺されなければなかったのか?雄介にもわからなかったが、警察もただただ雄介を疑うしかなかった。
雄介は途中放火されたり何者かに脅されたりして南紀白浜に行ってはならないという意思を感じるが、意を決して行って調べ始めた。すると少しずつ事態は動きだし、情報提供者が現れ、誘われるまま特急くろしお号に乗車する。
しかし乗車して手紙を渡された直後、尾行していた刑事から避難するように言われ避難すると、座席が爆発してしまった!やはり雄介は狙われていたのだ。
美由紀の殺害も不思議、雄介が放火されるのに前後し疾走する幸子さんも不思議、そして何者かに言われる「南紀白浜に行くな」のメッセージ。
結局南紀白浜に何かある、ということになるのだが、雄介はもう少し早めに警察に言ってもよかったのでは。ただ雄介も記憶を探るのに時間がかかり、何より母親のことだから自分で何とかしたい、と思ったに違いない。 -
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○飛行船で起こる謎のハイジャックは意外な展開へ
招待客7名を乗せた飛行船「ツェッペリンNTワン号」が、飛び立った後ハイジャックされた。招待客はVIPばかりで、ハイジャックされたことは招待客たちには伏せられたが、すぐに身代金は準備され、犯人に引き渡された。
しかし、身代金の一部が古新聞で、激情した犯人が今度は北へ飛行船を向かうそぶりを見せ、長期戦へともつれこむ。
この流れで事件解決・犯人への糸口が見えたほうがよかったのだが、なかなか見えてこない。そこで自衛隊に協力してもらっての人質脱出作戦がはじまる。それがまた突拍子もない作戦だったが成功した!
成功したが、2名が脱出しなかったなどおかしい点がいくつか。そして飛行船は再び北へと向かい飛び続けるが・・・
青森や函館まで行ってしまう飛行船の能力の高さも高いのだが、その飛行船の特徴を、うまく途中のトリックや推理・作戦に活かしていて西村氏の発想の豊かさには脱帽。いささか自衛隊の協力による作戦は乱暴すぎてクレームが来ないか心配だw -
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◎殺人と失踪・・・不可思議な事件の背景は謎の集団
西村作品だと怨恨や恋愛のもつれが多いのだが、あまりないパターンの事件だった。
テレビで共演することになった旅行ライターの森本と自動車会社を勇退し田舎に引っ越した秋山は本番前の打ち合わせをしていたが、本番直前に森本はテレビ局で殺害され、秋山は失踪してしまう謎の事件が発生した。
西村は失踪した秋山の動向を追うとともに、森本が秋山に興味を持っていたと聞き調べ始める。秋山の住んでいた田舎にいくと、秋山の書いたと思われる文章が残っていた。
いろいろ調べていくと、過去に秋山の経験した心情と同じような事件がいくつか起こっていることを突き止め、それに関わっている人間がいるのではないか、と推理して・・・
十津川は推理によって、秋山の過去だけでなく、類似した事件の過去もどんどん調べ上げていくが、新聞を使ってそれを調べていくあたりは十津川ならではの嗅覚がなせる業といってもいいだろう。
「ねずみ」の意味はやや最初からとらえづらくなっているものの、失踪した秋山の心情をあらわすには確かによい表現かもしれない。
状況証拠だけで逮捕して、あとで協力者が現れた時になんとか証言してもらうやり方はやめた方がいいような気はするんだけど、まぁそれはご愛嬌ということでしょうか。 -
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◎十津川警部シリーズ、終戦の香り残る洋館に隠された謎
ミステリー作家である吉田が購入した古い洋館は、いわくつきで、オーナーからも高額な指定があるなど謎が多かった。
調べるうちに、そのオーナーは吉田茂がマッカーサーに送り込んだ女スパイの娘であるという噂を探し当て、洋館で不思議な日記を見つけることになる。
吉田茂とマッカーサーの関係や、お互いにどういう思いで付き合っていたかを作者は相当細かく調べ、表現している。ただし、ミステリー要素的にはあまり大きく関係してくるわけではない、ような気がする。
十津川と亀井が登場するというよりは、作家の吉田が語る場面が多い本。 -
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岐阜・長良川を舞台にしており、綿密に岐阜の状況を調査されたと考えられる。実際、長良橋右岸の地区の様子(鵜匠が経営するカフェや、Gホテルのモデルとなったであろうシティホテルや、鵜飼観覧船の停泊の様子等)や、左岸の地区の様子(岐阜公園の近くのS寺のモデルとなったであろう寺や、由緒ある豪邸や温泉宿が並ぶ様子等)は、見事に長良川長良橋の付近の様子を表している。(なお、登場する鵜匠の名前が杉下なのも、ニヤッとさせられる。)
一方、白木記者が初めての岐阜訪問において、たまたま事件のキーパーソンたちに立て続けに会えたあたり、やや無理な展開と感じられた。また岐阜新報の社長を絡めるなど、いたずらに設定を大きな話にしようとしているのを感じた。 -
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ネタバレポアロを追悼するために島の別荘に集まった明智小五郎、エラリー・クイーン、メグレ夫妻、小林親子、へースティングス。嵐の夜に島にやって来た新聞記者の牧田、カメラマン北島、イタコの塩月、男女のカップルに作家の岸井令二郎。更に現れたポアロの息子を名乗るポアロ・マードック。霊媒の最中に矢に刺されて死んだ北島。シャワー中に密室で殺害された井上明子。密室で首をつった状態で発見された塩月。砂の上の田野倉。マードックの推理。へースティングスの反論。推理しない3人の名探偵。ポアロが生前書いていた探偵論の中身。爆破された別荘。密室を作り出す犯人の思惑。インディアンの蝋燭の秘密。
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ノンシリーズの短編集。
ミステリーというよりはサスペンスで、どれも不気味な捻りのある物語です。
【危険な若者】人当たりの良い好青年が、徐々にどこかずれてくるのが怖い。何が悪いと指摘できない漠然とした不安感が膨れ上がります。
人としてどこか欠けている彼が、他人の心の一端に触れたところで身を滅ぼす演出が上手いです。
【ある男の肖像】マスコミに権力を持つテレビ局社長が逝去。その途端不審な行動を起こす小さな出版社の社長に過ぎない男・田代。同じマスコミとはいえ、まったく接点のなさそうな二人の男の間には何があったのか。
気味が悪い田代の言動ですが、その理由が明かされてからラストに至るまでがとても切ない。田代が最後まで真の胸の内を見せないところも哀愁漂います。ミステリアスで渋い余韻のある一編でした。
【脅迫者】この程度の脅迫ならどうにかないそうなんですが、ジワジワと低姿勢で迫る男が不気味。
敵とキーパーソンがタッグを組んだ絶望感は良かったです。
【電話の男】妻の不倫疑惑から、ついには殺人にまで手を染めて狂気に転がり堕ちていく男の哀しさと恐ろしさ。と思わせておいて、最後にタイトルに沿った捻りをこういう形でもってきたのは面白い。実に真っ当であるが故に意外な結末。
【優しい死神】豪奢なマンションで相次ぐ不審死。入居者がいなくなり幽霊マンションと化していく様や、それでも住み続ける謎の美女などホラーな雰囲気がとても良いです。オカルトな真相になったのにはびっくり。
【めでたい奴】刑務所を出所したばかりの、小悪党で情けなくも憎めない男二人の珍道中。
突如舞い込んだ大金、ミステリアスな美女となんだか楽しい。人情味あふれる洒落た小噺でこういうのは好きです。