鳥飼玖美子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ【要約】
大学入試において、「これからの時代、英語の四技能の育成が大事だ!」として、英語の民間試験を導入する話があったが、このことには、2つの意味で問題がある。1つは、公平性の問題。(複数の試験をどのように統一的な指標に置き換えるのか、誰が採点するのか、何回も試験を受けて事前練習できる人とそうでない人の間で格差が生まれるのではないか、等)もう一つは、四技能(とりわけスピーキング)に傾倒することに関する問題。「そりゃ四技能は大事でしょ!」と言う人が多い中、本書ではそのことについて警鐘を鳴らしている。
英語ネイティブの子供が母国語を学ぶのと、同じ要領で、「英語をシャワーのように浴びる」ことを謳っ -
Posted by ブクログ
「あんたたち、本気で英語マスターしたいと思ってんの?」「本気でマスターしたいなら文句ばっか言ってないでもっと努力しなさいよ!!」・・・という鳥飼さんの超本音があちこちに見え隠れする、大変面白い本でした。
そう、本気で完璧な英語をマスターしたいのなら言葉だけでなくその国の歴史・文化まで理解が必要になる。
そもそもそこまで必死に学ぶ必要が本当にあるのか。
国際会議や重要な場面には必ず通訳がついてくれるし、単に旅行先で英会話が必要とか、映画を字幕無しで見たいとかだったらそこまでの英語は必要ない。
逆にネイティブの発音でハリウッド映画に出たい!
英語圏でダンスをトコトン学びたい!とか目的が明確なら、そ -
Posted by ブクログ
言語を学ぶのは一生の勉強。
語彙を増やすこと。多読、精読。単語を覚えるだけではなく、使われているセンテンスごと吸収。
文法は大事。スポーツで言えばルールと同じ。ルールを知らなければ試合に出れない。
補語はイコールで繋げられるもの。目的語は繋げられない。例えばHe makes me happy.
Heとmeは同じではないので目的語。
守りに入るな。
どんなに大変だと思う仕事も、しばらくすれば慣れてくる。慣れて定常状態に入ると成長は鈍化する。そんな時はあえて環境を変えて変化させる、不均衡状態をわざと作ることで緊張感を維持し、自らが進歩していける。
英語学習の成否を決めるのは、自ら意欲的未知と出 -
Posted by ブクログ
ネタバレことばの力とは何か? どうやって育てるのか?
それぞれ専門分野が異なる3人の往復書簡のような意見交換。自分の中では鳥飼先生の分野にもっとも馴染みがあるので、鳥飼先生の意見が一番スッと入ってきた。しかし大村はまという大きな教育をどのように受け継ぐかは興味がある。教育に王道なしとはよく言ったもので、同じ生徒、同じ先生という条件にはないのだから、唯一絶対のメソッドなんてない。大村はまの教育がどんなに優れていようと、うまく適用されない現場や生徒がいるだろう。だからそれぞれの優れた教育法の核を認識して、教員がそれぞれの教室で一人ひとりの生徒をよく見て、もっとも適した方法を取る必要があるのだ。それはとて -
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長崎通詞(江戸時代、オランダとの貿易で通訳を果たしていた人)の話がけっこう衝撃的だった。オランダ人から英語を教わり(とはいえオランダの人も英語を教える先生ではない)、しかしそれでもアメリカ人との会話は成り立たない。日本に密入国しようとしたアメリカ人が捕まえられ、頭を下げて英語を教わった姿勢には逆にこっちが頭下がる。ましてそれがあったからペリー来航に備えられたという…。凄まじい日本史である。小説、『海の祭礼』読んでみよう。
ともあれ、どんな形で英語を使いたいかは明確にしとかないといけない。旅行で使う英語、ビジネスで使う(会社の取り引きやスポーツまで幅広い)英語なのかイメージしとこう。
任侠映 -
Posted by ブクログ
著者は立教大学異文化コミュニケーション研究科創設者の鳥飼玖美子先生。1〜3章は歴史的事例から通訳における誤訳というものを考察、後半は翻訳における文化の違いの重要性に着目し、最後に通訳者の使命や通訳研究の必要性を提起している。
ややセンセーショナルなタイトルがつけられているが、裏表紙にあるような誤訳の話は前半だけ。通訳論の本が書きたかったとあとがきに書かれているとおり、単なる誤訳論議の本ではなく、もっと客観的に、色々な話題が盛り込まれた通訳論への橋渡し的な一冊になっている。特に、通訳者や通訳者を目指している人は基礎知識として読んでおくとよいと思う。
「通訳は言葉を訳すのか、メッセージを訳すの -
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タイトルにひかれて購入。
米原万里のエッセイみたいな通訳よもやま話も好きだったし、戦後史を通訳の目で見たらどうなるのか気になった。
タイトル通りだったのは全体の5分の1ほどで、あとは作者の自伝や英語教育の話が続く。
すごくエネルギッシュで向学心のあるかたで感心したが、英語は努力次第、通訳には適性のようなものもある、との言に、さらには家庭の環境次第だとも私は思ってしまった。
私が著者をもともとあまり知らなかったのも原因かも。
アポロ着陸のあのセリフの舞台裏や、メディアの発達によって現れた同時通訳という技術、黎明期の通訳パイオニアたちのそこに至るまでの道のりは楽しく読んだ。
特に國弘さんはキャ -
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