鳥飼玖美子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「黙殺」をignoreと訳して原爆投下、「善処します」がI'll do my best.でニクソンショック、「大きな航空母艦」がunsinkable aircraft carrier「不沈空母」と訳され強気の防衛構想発言に、など主に昭和の外交関係で起こった出来事を取り上げ、その経緯を追ったもの。それらを踏まえて、訳すという作業はどのような作業なのか、通訳者の役割とは、通訳者育成、そして言語の研究のために必要となる通訳研究の可能性について述べている。
鳥飼先生の、英語教育関係の本はいくつか読んだが、もともとこの先生の専門の通訳に関する著作は初めて。が、正直あまり興味が持てずに終わっ -
Posted by ブクログ
授業で薦められ、2011年5月13日(金)に阪大生協書籍部豊中店にて10%オフで購入。同日読み始め、翌14日(土)に読み終えた。
鳥飼さんは英語を聴いたり話したりできるようになるためには文法をしっかり習得しておくことが肝要であると以前から主張しており、私が彼女のことを支持していたのはそういう理由からであったと本書を読むことで思い出した。もちろん彼女は会話よりも文法が大事であるなどと安易なことを言っているのではなく、会話か文法か、あるいは実用か教養かといった二項対立で英語を捉える考え方をそもそも戒めている。誤解のないように書いておくと、本書の題名が『国際共通語としての英語』とあるように、本 -
Posted by ブクログ
ネタバレもう少し歴史寄りの内容かと思って手に取ったのだが、それは第3章くらいまでで、残りは日米の文化的な差異や言語特性から生じる誤訳や、翻訳通訳の苦労話だった。まあ、それはそれで面白かったのだけど。
特に
・「オーク」の誤訳により、日本で採れる木材で作られた家具をわざわざ輸入していた話(P159)
・天声人語は英語話者には何を論じたいのか理解されない話(p255)
・江戸幕府のオランダ語通訳は優秀だったので、ドイツ人なのにオランダ人と偽って入国しようとしたシーボルトが、自分は方言を話していると言い逃れた話(p275)
は大変興味深かった。 -
Posted by ブクログ
すっかり英語の勉強もサボり気味。。。
使わなくなるとあっという間に忘れてしまう。聞かなくなると耳も遠くなる。。。とならないように最低限、英語を聴こうと映画を見るようにしてます。(ネットフリックスは字幕を「英語」にできるのでオススメ!)
英語=英会話=話す。
というのが日本人の感覚。それだけではな!というのが著者の考えですが、あまりにも「英語を話す」ことに焦点が当たるので、続編として「話す」をテーマにした本を書いたと。ふむふむ。なるほど。
そんな「英語を話す」ときに意識すると良いポイントが簡潔にまとめっているのでいい!さて、僕も英語を話す機会を復活させないとあっという間に話せなくなっちゃうな -
Posted by ブクログ
昨今の英語教育改革に批判的な論者の一人、と認識している。
その人の説く英語教育や英語学習法って、どんなだろう。
興味津々である。
日本人が英語を話せないのは、文法学習中心の教育のせいではなく、語彙力が足りないせいだ、という指摘に、深く頷くところだ。
そして、語彙を学ぶには、コンテクストが大事。
単語帳より、英文多読と精読するのがよい、ということだ。
また、これだけのキャリアを経た人にして、「外国語学習は生涯かけてするもの。短期間で成果を求めてはいけない。」という言葉が出てくるのは、重く受け取るべきことだろう。
ここ何十年も主流だったコミュニカティブ・アプローチも、どうやら曲がり角にきてい -
Posted by ブクログ
NHKの「ニュースで英会話」で有名な、同時通訳者で英語教育が専門の著者によるもの。
とてもまともなことを言っていて、こういう本を読むのは良いのだけれども、一連の著作において、小学校英語など早期英語教育反対、英語一辺倒反対、などはすでに何度も主張されていて、特に目新しい内容もなく、著者の本はどれか1冊読めばいいんじゃないかという気にさせられる。
それでも例えば人気の「シャドーイング」、「音読」も極めて冷静に分析している点が面白かった。シャドーイングの訓練をすると、「訓練生は、『通訳というのはオウムのように繰り返すことだ』と誤解してしまう」(p.94)とか、「外国語教育の研究では、声に出して