鳥飼玖美子のレビュー一覧
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通訳翻訳にまつわる誤訳と呼ばれる訳を考察する。
外国語能力の欠落によって引き起こされた誤訳は誤訳以外の何物でもないが、一般的に誤訳と呼ばれているものの中には、それらとは異なる種類のものがあるという。
例えば、文化の違いから引き起こされる誤訳は、文字面はきちんと対応しているのに、日本語と外国語でその言わんとしていることが異なる場合があるという。
さらに具体的には、orange catという例が挙げられている。これは、直訳すれば、「オレンジ色の猫」ということになるが、英語と日本語では同じ色でも色彩分類が異なるので、日本語でいう「茶色い猫」に当たるのだという。
この他にも、文化の違いだけではなく、外 -
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ほとんど異論違論の湧かない内容だった。
つまり、予想された通りの、言い尽くされたような論述だった。
というかまだ英語公用語が積極的に実施されてないから、
検証とかのしようもないのかな。
面白かった点としては、
「日本と海外の外国語教育についてのトピック」が、
印象に残った点としては、
「抽象的なことを英語で話せるかどうかが重要であること」が
挙げられる。
この本の書き方で印象に残ったのが、
参考文献や引用が多種多彩であったこと。
ブログとか週刊誌とかテレビ番組とか、
「そんなの根拠大丈夫か?」みたいな元もあったけど、
多面的なアプローチでそれはそれで良いと思う。 -
Posted by ブクログ
これからの英語、英語教育のあり方を考える1冊。ネイティブ信仰を捨て、「コミュニケーション」の本当の意味を考え、国際共通語としての英語を学びましょう、という本。
EUの複言語主義の考え方や、カチュルーのWorld Englishesの考え方を紹介しながら、英米人の使う英語、ではなく、国際共通語としての英語について解説している。そして、従来からの学習指導要領でも重視されている「コミュニケーション」の意味を考察し、その上で英語教育のあり方や学習の動機づけについて述べている。
言いたいことは分かるし、単純に道具として英語を身につけるのではない、「文法はいいから会話ができれば」のような考えは甘い、 -
Posted by ブクログ
2月に同著者の『「英語公用語」は何が問題か』を読んだが,やはり英語は使えるに越したことはない。本書では,多言語共生という理想を追求しながら,普遍語となった英語を活用していく必要を説く。
前著でも繰り返し述べていたように,「英語支配」がもたらす弊害に注意することを強調。母語に裏打ちされた豊富な言語力を活かし,話す内容を生み出す思考力,対人関係の構築力,批判的読解力を磨いて,「世界語としての英語」でコミュニカーションできれば文句なし。
ネイティブスピーカーがどういう英語を話すかを気にしたり,「正しい英語」を追求するのでなく,英語を使う世界中の人たちが分かりあえる英語を目指すべし。英語教育界で -
Posted by ブクログ
経済界からの要請で即効性のある英語教育政策を推し進めてきたが、そこで身につく英語は果たして本当に万人に求められていることなのか。
単なる一つの言語でしかない英語が国際共通語として認知される一方、言語文化の多様性の維持は不可欠だ。
実効性以外の面で英語教育のあり方を捉え、外国語を通して世界を見ることで、自国文化や母語を客観的に見つめることで世界の中のアイデンティティーを自覚することも英語教育の効用であるはず。
そのことは唯一現場を知る英語教員が声をあげ発信していかなければならない。教員自身の研鑽とその制度的支援の拡充整備も求められる。
義務教育という形で画一的に英語を教え込む意義を改めて