東郷隆のレビュー一覧
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ネタバレ日本の銃技術者にして、射撃の達人。明治維新時代の薩摩藩士「村田経芳(勇右衛門)」の生涯を描いた伝記小説。
恥ずかしながら、俺はこの人全く存知あげなかった。ひょっとしたら司馬遼太郎あたりの小説に出ていたかも知れないが、記憶になかった人なんだが…。
読んでみて分かったが、なんとも凄い人である。維新に関わる戦争や西南戦争に従軍して類まれなる戦績を収めたことを始めとして、ライフルを筆頭に旧日本軍の兵装のあらゆることに関わった人であり、欧州視察に出向いた際、各国の射撃大会で軒並み優勝をかっさらい…こんなスゲー人が日本では不当に低く評価されているのが残念である。
侍…いや時代背景から考えると軍人として -
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8篇が収められている。各作品は戊辰戦争の時期を中心とした「乱れた時代」の人間模様を扱っている。俄かに訪れた「乱れた時代」とは、同時代人にとっては「極限状態」のようなものかもしれない。裏切り、打算、飽くまでも何かを護ろうとする姿勢など、人の様々な面が曝け出され、それが記憶として、また何らかの意図が加えられた記録として後世に伝わっているのであろう。旧幕府寄りの行動を取った人達に関する記憶が掘り起こされたのは…大正末期から昭和初期までに、古老の話しを聴き取る等して綴られた史伝を通じてということになる。本作の作者は、そうしたものを随分と参照している…
裏切り、打算の他方の「飽くまでも何かを護ろうとす -
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本作の題名である『九重の雲』…「九重の雲をはらいてやがてまた はれし都の月を見るべき」という、中村半次郎こと桐野利秋が慶応3年11月11日に詠んだとされる歌から取ったのであろう。苦難を潜り抜け、明日の展望が開けたというような、故郷での極貧を脱け出して京で活動した日々を想い起こしながら、討幕の密勅を受けて更なる前進を思うというような状況の歌かもしれないが…何か彼の人生を象徴するかのような歌だ…自らの性分と、刻苦勉励して磨いた剣技と、可能な範囲で書見して学んだことを活かしながら、“九重の雲”のような眼前の苦難や時代状況を潜り抜けることを繰り返し、やがて月の下で「時代の波涛」に呑み込まれる…何かそう
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戦国時代の合戦の要素を、「刀」「合戦形式」「槍と弓」「大砲と火縄銃」「旗と太鼓」「斬首と切腹」「女武者と船上戦」などの章にわけて、マニアックな図解と一緒に解説した本。学校で習う日本史や時代劇の演出にも、ときどきツッコミが入る。
例えば、一般に銃はポルトガル人によって種子島を通じて日本に伝来された(1543年)とされているが、本書によると、それは東南アジアで使われていた「アルケブス式携帯銃」のことであり、禅僧が残した『碧山日録』という日記には、すでに応仁の乱(1467-77)で「飛砲・火槍」についての記載があるという。ただし、これらは大型兵器であったため、日本の当時の「戦」の形式や資源の面でマ -
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予言をする妖怪「アマビエ」。新型コロナの感染拡大で不安が広がった際に、妖怪掛け軸専門店がアマビエをSNSで紹介し、さらに水木プロダクションが水木しげるさんの描かれたアマビエのイラストをTwitter上にアップして爆発的に広がった。これほど一気に知名度が上がった妖怪は、今までなかったのでは無いだろうか。
もちろんアマビエが登場したと言われる江戸時代も一気に有名になったのだろうが、現代の情報の伝達速度にはとうていかなうものではなだろう。その予言獣アマビエをはじめとして、古今東西の予言獣を集めて解説したのが「 病と妖怪 ―予言獣アマビエの正体 」という一冊だ。
第1章 アマビエはどこから来たの