【感想・ネタバレ】九重の雲 闘将 桐野利秋のレビュー

あらすじ

「人斬り半次郎」と怖れられた男の真実! 幕末の京都、明治の薩摩で義に生きた剣豪の生涯! 鹿児島の下級武士の家に育ち、日々抜刀稽古に明け暮れていた中村半次郎(のちの桐野利秋)は「御先師」と敬う西郷吉之助(隆盛)と出会ったのち、公武合体を画策する島津久光に従い京へと向かう。後に「人斬り」として悪名を馳せ、西南の役を引き起こした首謀者として記憶されている桐野利秋の真実の姿と生涯を鮮やかに描く、著者渾身の大作!

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Posted by ブクログ

本作の題名である『九重の雲』…「九重の雲をはらいてやがてまた はれし都の月を見るべき」という、中村半次郎こと桐野利秋が慶応3年11月11日に詠んだとされる歌から取ったのであろう。苦難を潜り抜け、明日の展望が開けたというような、故郷での極貧を脱け出して京で活動した日々を想い起こしながら、討幕の密勅を受けて更なる前進を思うというような状況の歌かもしれないが…何か彼の人生を象徴するかのような歌だ…自らの性分と、刻苦勉励して磨いた剣技と、可能な範囲で書見して学んだことを活かしながら、“九重の雲”のような眼前の苦難や時代状況を潜り抜けることを繰り返し、やがて月の下で「時代の波涛」に呑み込まれる…何かそういう気がする…

「愛すべき漢」という感もする中村半次郎こと桐野利秋を視点人物に据えながら、「幕末・維新・明治」というモノが「何だったのか?」、または「今日を生きる人達が汲み上げるべき“教訓”は?」を問うような力作に仕上がっている…

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2014年08月26日

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