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予言をする妖怪「アマビエ」。新型コロナの感染拡大で不安が広がった際に、妖怪掛け軸専門店がアマビエをSNSで紹介し、さらに水木プロダクションが水木しげるさんの描かれたアマビエのイラストをTwitter上にアップして爆発的に広がった。これほど一気に知名度が上がった妖怪は、今までなかったのでは無いだろうか。
もちろんアマビエが登場したと言われる江戸時代も一気に有名になったのだろうが、現代の情報の伝達速度にはとうていかなうものではなだろう。その予言獣アマビエをはじめとして、古今東西の予言獣を集めて解説したのが「 病と妖怪 ―予言獣アマビエの正体 」という一冊だ。
第1章 アマビエはどこから来たのか
第2章 予言する不思議な動物たち
第3章 幸せを呼び寄せる幻獣たち
第4章 病にかかわる不思議な生物たち
第5章 異星人か? 人智を超えた不思議なものたち
アマビエなど予言獣と呼ばれる妖怪を冒頭で紹介しながら、疫病蔓延時に取りだたされる予言獣に関する考察が書かれていて興味深い。また、それに続いて幸せを呼び寄せる幻獣やそれ以外の不思議な存在にまで話が広がっていき、日本だけではなく世界に広がる様々な不思議な”モノ”が紹介されてていて興味が尽きない。
私も子どもの頃にゲゲゲの鬼太郎を見て妖怪の気配に怯えたものだが、昔も今も人は人智を超えた不思議なものに惹かれるとともに、「困った時の神頼み」ならぬ「困った時の妖怪頼み」をするものだということを改めて知った。妖怪好きならずとも楽しめる一冊だと思う。
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コロナウイルスに振り回され始めてからもう1年たつ。早いものだ。正体の分からないものに対して恐怖心を抱き、何かにすがり付きたくなるのはいつの世も変わらない。
去年、アマビエがネットで話題になってから一気に火が付いた。
この原典は、「肥後国海中の怪」というタイトルで、弘化(こうか)3年(1846)4月と年号と月が入った半紙1枚に描かれた図像だ。
アマビエの起源について著者は、文化2年(1805年)に赤痢が流行ったときに出た「神社姫(悪魚)」だと推測している。
その後も、赤痢が流行したときに魚体の形をした人魚が登場している。
いつの時代も商魂たくましい人がいる。明治14年(1881)にコレラが流行したときに、「天彦図」大量販売しようとした男たちがいたそうだ。
売り文句が、今から30年あまりは世界消滅する時期に当たり天災が続く。そこで天彦の姿を写したものを頒布したいと、東京近郊の葛西金町に3人の男たちが地域住民の一括販売を持ちかけた。
著者はまるで現代のマルチ商法と述べているが
まさにその通りだ。
予言獣はアマビエだけではなかった。「予(くだん)」という人面獣がいる。最古の記録は江戸時代後期だ。
この「件」は、太平洋戦争時にも庶民の間で話題になった。
人間の想像力は時にとんでもないものを生み出す。アマビエはじめとする予言獣の存在がまた注目を集めるときは、また新たな感染症が流行するときかな。
Posted by ブクログ
アマビエから始まって予言獣や幻獣、さらには「不思議なものたち」まで日本の様々な怪についての様々を書いた本。東郷隆さん、時代小説作家として著名だけどこんなものも書くんだ。一般向け新書としてなかなか面白く読めた。