小林雅一のレビュー一覧
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「AIは世界をどう変えるのか」
本書は、GPTモデルを開発したOpenAIを中心に、マイクロソフトやグーグルをはじめキープレイヤーによる生成AI開発ストーリーです。
これらビックテックに勢いのあるスタートアップ企業なども交えた起業ドラマであると同時に、OpenAIのサムアルトマンCEOやそのライバルとなるイーロンマスクなど錚々たるメンバーたちが繰り広げる人間ドラマを映し出しています。
手付かずの開発スタートから全世界の注目を集めるまでに発展した生成AI、そして生成AIを中心に世界では一体何が起きているのか。本書は技術者ではなくともそのストーリーを詳細に理解できる良書だと感じました。
私自身も2 -
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☆4.5 好き者だったニューラルネットワーク
主眼にChatGPTを置きつつ、アルトマンを語る内容。
子供のころからSF小説が好きで、AGIの実現を夢想してきた。しかし、アルトマンは若くして成功した起業家で、OpenAIはその後のことにすぎないのだ。
20世紀までは、実用的な研究成果がなかったニューラルネットワーク研究。2010年代になってやうやく脚光を浴びた。
その立役者はGoogleだが、爆発的な人気で座を奪いとったOpenAI。Googleは近年の不祥事で、リベラルな企業風土から保守的になり、保身に走ったためAI開発で遅れを取った。
しかし、OpenAIも当初は崇高なAI -
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ネタバレ10年ほど前に”ディープラーニング”という言葉がはやり、書店でも何でもかんでもディープラーニングでどうしろ、こうしろって本があふれかえった時期があった。それがいかなるものかがよくわからず本を手にしたが興味が湧けずそのままやり過ごした。そして去年、chatGPTなるものが話題沸騰し、自分も”Midjourney"にしばらくハマったものだが、その仕組みが全然わからなかった。まぁ、あまり興味がなかったと言えばそれまでだが、今年に入り、やたらとイーロン・マスク氏の名前が上がり、これまたよく知らない有名人だったが、それを超える人物として書かれたサム・アルトマン。そしてchatGPTに関連すると
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ゲノム革命がはじまる DNA全解析とクリスパーの衝撃
著:小林 雅一
集英社新書 0997G
本紙は、3部構成になっています。けっこう分かりやすかったです。
1:ゲノム:遺伝子とはなにか
2:ゲノム編集について
3:ゲノム編集の応用
気になったのは、以下です
■遺伝子
・人間の食欲を制御する遺伝子:MC4R
満腹になると、MC4Rのスイッチがオンになると、食欲が抑えられて、もう物を食べたくなくなる
・全体の6%の人は、MC4Rのスイッチは常にオンになっているので、あまり物を食べません。そのために全員がやせ型であり、糖尿病や心臓病にかかるリスクが標準的な人にくらべて低い
・逆に、MC -
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読むタイミングにもよるのだろうが、まだ「旬」な本である。ChatGPTは一瞬流行った後に使いこなせなさそうな層が離れて、一発屋みたいに揶揄されがちだが、これは使い手の問題。本書は、生成AI界隈の比較的最新事情を解説しつつ、AIとの付き合いにおける本質的な側面を抉る。サム・アルトマンの為人に少し触れられたのが個人的には収穫。それと本書を見ながら画像生成AIを試してみたが、非常に楽しい体験だった。
オンラインゲームでコンピュータ相手ではなく人間を相手にすると、緊張感が高まる。これは明らかに対人間を意識しているからであり、そこにAIと人間に対する我々自身の向き合い方の違いが見える気がする。対人関係 -
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現在、盛んに生成AIと言われていますが、本当のところ実態についてはよくわからず、ある程度まとまった知識や見解を得たくて購入しました。
生成AIの成り立ちや、できること、できないこと、現在発生している問題点等々、様々な内容を深く確認することができます。
特に、生成AIの歴史や仕組み、各社の考え方やビジネス状況などについてまとまっており、あまりITに詳しくない私でも理解することができました。
個人的には、現在の生成AIに関するトピックは、一昔前のCloudと同じ空気感を漂わせており、Cloudがサーバー設置のメインになったのと同様に、生成AIも今後のメインストリームになりうる、と考えています -
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量子コンピュータの歴史から、理論的な仕組み、既存のコンピュータとの違い、ビジネスへの活用まで網羅的に書かれているにも関わらず、かなり詳しく書かれていて、とても良かった。
物理学やコンピュータ科学の知識を持つ人なら、この本を取っ掛かりにできるような本になると思う。
「何らかの計算過程を経ると熱が生じるが、量子コンピュータは可逆計算なので円ルギー効率がすごく良い」
「量子コンピュータでも誤り訂正符号の開発が必須」
などの指摘はすごく本質的。
熱力学、量子力学やコンピュータ科学がわかる人ならこの言葉の意味がわかるはず。
文庫本なのに、シュレディンカー方程式、量子ビット、量子ゲートの数式、行列計算も -
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量子コンピュータについての知識が全くなく、しかも文系という立場で本書を手に取りましたが、題名通りゼロから量子コンピュータについて理解できる良書でした。現在主流のコンピュータが用いているデジタルデータが、0か1のいずれかの値を取り、その二進法の組み合わせとAND、ORなどの論理ゲートによって計算を行っているのに対して、量子コンピュータが扱う量子は「0でもあり1でもある」という特徴を持つことから(量子重ね合わせ)、指数関数的に複雑な計算も短時間でこなすことができる、なぜなら・・・ということで丁寧に説明が書かれていました。説明は理論的な側面と(これも文系の人間にも理解できるレベルに抑えてもらっている
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最近、遺伝子編集食品が出回っていると聞き、それって遺伝子組み替え食品と何が違うの?との疑問から読み始めた本。
ノーベル賞受賞で一躍有名になった遺伝子編集技術、クリスパー・キャスナイン(以下クリスパー)の登場により、誰でも簡単に遺伝子編集することができるようになった。クリスパー以前は、何十万、何百万もの実験を繰り返して、やっとノックアウト遺伝子(欠損した遺伝子)がつくれた、という状況だったのに、クリスパーは数時間でつくりだしてしまう。なんたって切り取れぱいいだけだから。超簡単。
遺伝子組み替え食品というのは、もともとある遺伝子に、外来の遺伝子を付け加えたもの。例えばトマトに苺の甘味情報の -
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地球上の全生物の設計図を自由自在に書き換える技術がゲノム編集
これまで医学は患部の手術や薬剤投与に頼っていたのに対し、これこらのゲノム編集医療では、体内で病気を引き起こす遺伝子変異を直接修正することで病気の原因を根本から断つ治療法に切り替わる
2017年11月に米国の「サンガモ・セラピューティクス」という研究所がゲノム編集を使って患者の体内で深刻な代謝疾患を引き起こす遺伝子変異を修正する臨床試験を開始。DNA(遺伝子)を手術する時代へ。
親が生まれてくる子どもを望み通りに設計出来る(=デザイナーベビー)問題あり。
病気や美容関連の原因遺伝子が特定されれば堰を切ったようにゲノム編集の用途 -
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DNAを人間が操作できる時代が来て、今までの常識がまったく通用しない状況が多方面で出現してきている。それを理解するための基本的な情報を与えてくれる好著。わかりやすい内容になっている。
DTC[Direct-to-Consumer]というDNA検査を我々が低コストかつ手軽にできる時代がきたこと。これによってさまざまな社会へのメリットがもたらされると同時に予想外の事態が発生していること。アメリカでは非常に盛んに行われいている実態がありこれは知っておくべきことだろう。
この検査結果などを活用することで通常ならば非常に高額になる遺伝子治療薬が現在では特別の専門機関でない企業などに於いてもAIやコンピュ -
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今、話題の機会学習とは何なのかをディープラーニングを含めて比較的わかりやすく解説してくれる。ディープラーニングって何?と思っている人の良いとっかかりとなると思う。
本書はそれだけにとどまらず、最新(2015/3現在)の機会学習を応用したAIの状況について知ることができ、その進歩の度合いに度肝を抜かれる。
今度こそ、AIは人を越えるかもと思わせる状況であり、それはアシモフの描く、ロボットもの世界が現実になることを予想させるものである。
AIは自ら進んで進化する段階に来ており、将棋のトッププロと対戦する電王戦でもAIが圧勝しており、将棋界はタイトルホルダーの登場を回避している状態とのこと。AIの学 -
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AIが人間の仕事にどのように影響を与えるか不安及び興味を持ち購読。
確かにAIに取って代わる職業があるのは現実的に不可避であるが、各IT企業が考えるようにAIにより、本来の人間がすべき仕事を把握するには良いチャンスであることも納得できる。また、単にAIの到来に不安を感じていたが、産業革命にあったように、当時も機械によって仕事を奪われたものが数多くいたことを考えると、AIの到来の歴史の中では当然起こりうる現象なのだと考えるようになった。
また、スティーブジョブスの言うように、創造は、自らの過去の経験をつなぎ合わせることであることに、自分もcreativeになる可能性を持っていることに考えさせられ