小林雅一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この著者は視点がいいと思う。技術の発展を手放しで称賛するわけでも、無暗に恐れるわけでもなく、機械と人間の関係や社会への影響について真摯に向き合っている。
テスラ社は、2015年にオートパイロット機能を搭載した半自動運転車モデルSをリリースしたが、2016年に死傷事故を起こした。モデルSには高性能で高価なセンサーのLIDARが搭載されていなかった。グーグルは、2016年に分社化したウェイモに自動運転事業を移管し、人間を制御の環から外した完全自動運転の開発を進めている。各社では、ごくまれに発生する非常事態にも対応できるようにするため、指令センターの人間が制御権を引き継いで遠隔操作する方式も検討さ -
Posted by ブクログ
近年、AIをネタにした話題が巷を賑わせています。
中でも、囲碁や将棋のトップ棋士を打ち負かしたことなどは大いにニュースや情報番組を盛り上げていましたね。
こうしたゲームでの取り組みは、AIの現状の力を測るとともに、以後の研究の発展に役立てる先駆けをなすものと思われますが、実社会で役立てるものとしてこれまたマスコミで再三取り上げられ最も脚光を浴びている分野が、本書のテーマである「車」「医療」「兵器」といえるでしょう。
私もこうしたAIを取り上げた情報番組などをみていてつくづく思うのは、車だったり医療だったり、AIによる自動化が人間の導き出している局面局面の判断の一端を大きく凌駕しつつある現状で -
Posted by ブクログ
遺伝子編集技術として革命的な「クリスパー・キャス9技術」を紹介した本。遺伝病の克服など多くの分野での利用が期待されている。クリスパー・キャス9の特長は、「DNA上の狙った箇所をピンポイントで切断、あるいは改変する脅威的な精度とスピード」にあるという。これまでの遺伝子組み換え技術とは格段の差が生まれる。また、これまでの技術がマウスに対してのみ適用可能な技術であったりしたところが、汎用的にすべての生物で使えるようになったことも大きい。
クリスパー・キャス9の説明だけでなく、エクソンやイントロン、選択的スプライシングの話など最新の遺伝子工学の知見を解説した記述も多く楽しめる。チンパンジーとヒトでは -
Posted by ブクログ
「ゲノム編集」という言葉を時々目に、耳にするようになって1~2年。
正直言って、本書を読むまで私は恥ずかしながらゲノム編集と遺伝子組み換えの違いを理解してはいなかったし、遺伝子やDNA、ゲノムに染色体といったそれぞれの用語が定義するものの区別もついていなかったが、それらの疑問が氷解するよう、最新の情報とともに分かりやすく説明してくれている。
科学的な理屈を最低限、キッチリと解説しつつも、門外漢に理解不能なレヴェルに陥らない、絶妙なバランスで書かれていると思う。
技術的に"できる"ことであるならば、その極限に挑み、押し上げ続けるのは研究者の性であろうし、また存在意義でもある -
Posted by ブクログ
先日(2015年9月5日)トヨタが自動運転技術開発のため米マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学とAI(人工知能)の研究で協力するとのニュースがあった。今後5年間で60億円を投資するという。
ハンドルを握らないで自動的に運転される車というのは夢のような話だが、おそらく10年もしないうちに高速道路を走る車の何%かは自動走行しているかもしれない。
「人工知能は人類の敵か」と書かれると、まるでブレードランナーのレプリカントやターミネーターのスカイネットを思い出してしまうが、この本で紹介されるAI(人工知能)はもっと現実的なものだ。これからは、現在「道具」として使われているもの(工業製品)に、 -
Posted by ブクログ
HTML5はウェブの規格のみならず、各社が支持していることからウェブアプリの基盤となり、テレビを初めとした家電や電子書籍などのメディアについても巻き込んで、Web of Thingsの発展を促すといった内容。
日本のテレビ放送の規格は、正力松太郎によってアメリカのNTSC方式が採用された。欧州とアフリカのPAL、かつてのソ連を中心とする社会主義陣営がSECAMだったが、中南米諸国やフィリピンではNTSCが採用されたという歴史がある。
デジタルテレビ番組のデータ放送の記述言語に使われているBMLは、HTMLをベースにしているが、互換性はなく、日本以外で採用されているのはブラジルだけ。
日本