小林雅一のレビュー一覧
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ネタバレ最近よく耳にするクリスパーCasについてよくまとまっている。
・ノーベル賞間違いなしと言われているが、この技術の特許を巡ってダウドナ、シャルパンティエというUSBの女性科学者たちとブロード研究所のフェン・チャンの間で熾烈な競争があるらしい(著者はダウドナーシャルパンティエ組の肩を持ちたいような書きぶりだが、実際の応用が早かったということや米国の先発見主義(論文発表は遅かったが実験ノートを提出して発見は早かったことを主張した)のからみもありフェン・チャンが今のところ基本的な特許を認められているらしい)
・クリスパーは回文構造になっている。すなわち、AGGに対するTCCのように、数十文字の回文がいくつかあり、その間に宿主をかつて攻撃してきたウイルスの断片が挟まっている。
クリスパーの近辺にはCsn1(後にCas9という名前に変更された)というヌクレアーゼ酵素がある。これはクリスパー構造によって認識されたDNA二本鎖を日本とも同時に切ることができる。
従来のノックアウトマウスの作成法では、DNA断片を導入するだけで100万分の1の確率であった。しかも導入は一本鎖にしか行なわれなかったため、その後、マウスを交配して相同組換えをおこして二本ともノックアウトする必要があり、うまくいっても一年がかりの作業であった。クリスパーCasであれば3週間で完了する。
・21000人の患者と38000人の健常者を対象としたGWAS研究によって統合失調症のリスクとなるSNP108個が同定されているが、全てを足し合わせても発症要因の5−7%にしかならない。25万人を対象としたGWASで身長を規定する遺伝因子も697個見つかったが、やはりこれ全てを足し合わせても身長を決める遺伝的要因の16%程度にしかならないと見積もられている。 -
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「クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場」
しゃべるスマホ、自動運転車、ビッグデータの解析。共通するキーテクノロジーはAI。
アップル、グーグル、フェイスブック。世界を牛耳るIT企業である。彼らは今の世界の優秀なエンジニア、研究者、経営者をどんどん集めている。というか、彼らが狙う超がつく優秀な人材は、当然ほとんどいない為、アップルから引き抜くとかフェイスブックから引き抜くとかが主で、色々ぐるぐるまわっているんだけど。
本書は、AIの内容が分かりやすく整理されている本だと思います(唯一謎が残るのは著者の経歴であるけど、まあこれは個人的なものとしてw)。開発の歴史、現状の主な応用製品、それの基礎となる技術内容 等、知識として飲み込みやすいです。
AIの歴史は、紆余曲折を経たドラマチックなものである為、読んでいる側としてもちょっと胸が熱くなります。AIが目指すものは、言ってしまえばかなり途方もないものまで目指せてしまう。例えば「AIは自己で進化し続けることが出来る。そのため、いずれ人を超えてしまうから危険だ」という論調もあります。
しかし、個人的にはあくまでもAIを創るのは人間であるのだから、そこは人間が制御するべきことであり、危険だからという理由だけで、AIの可能性を狭めてしまうのはもったいないなと思います。
また、AIに携わる研究者に対してゴールを設けて、研究を行える環境を整備するという点も興味深いです。著者は、将棋での対名人戦を例に挙げて人間とAIの関係性を述べていますが、まさにその通りで、人間との関係性を切り分けて考えないといけないです。
この時は、名人に勝てるAIは創れるのかというゴールを設定し、その為の技術者を集め、環境を整えました。実際、この対戦後、AIは解体されています。このようにゴールと環境を揃えて用意することで、AIは正しい道を歩んでいけるんじゃないかと思います。 -
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AIはこれまで研究主体だったが、ビッグデータの利用によって企業主体になった。Siriや自動運転車などのアップルやグーグルなどの戦略が描かれているが、自分が関心があるのは社会面への影響。
守口市の松下記念病院では、薬剤の運搬をバーチカルコンベアに代えて、自律搬送ロボットのホスピーを導入した。
米軍やCIAが導入した無人航空機プレデターは偵察用に開発されたが、2001年の同時多発テロを機にミサイルが装備され、オバマ政権下ではイエメンやパキスタンで活動するテロリストへの攻撃に多用された。韓国軍が北朝鮮との間の非武装地帯に配置した見張りロボットSGR-1Sは、マシンガンと手榴弾発射筒を装備し、自動モードも用意されている。
証券取引をボットが行う割合は、NYSEで7割、東京でも4割を占める。
アメリカでは2001〜2010年の10年間に、業務用ソフトの導入によって電話オペレーターの64%、タイプ入力の63%、旅行エージェントの46%、簿記係の26%の職が失われた。弁護士事務所で証拠文書の解析を行うパラ・リーガルも、文書解析用ソフトの導入によって仕事が奪われている。 -
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他の人のレビューにもあるように、教科書的に人工知能にまつわるトピックがまとめられた本。少なめのページ数ながら情報量は多く、その意味でコストパフォーマンスの高い良書。
人工知能の歴史、近年の技術的潮流、ビジネスとの関わり、争点となりうる倫理的・社会的な問題の四つが主な内容。
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最後に個人的に面白かった点をひとつ。
インターネット自体のS / N比が加速度的に小さくなりつつあり、従来の検索アプローチが役に立たなくなりつつあるというIT企業の現状認識について。
特にgoogleが大枚をはたいてAIに入れ込んでいる現状は、裏を返せば一昔前に流行ったhuman computingの処理限界を示しているのではないか。なぜならgoogleこそが史上最強の工学的human computing machineだったのだから。つまり今のインターネットの規模が、我々人類が集合的に処理できる複雑さの限界だということだ。
このことは同時に、我々の生み出す似たような集合的生産物、たとえば都市の複雑性もこれくらいということを示唆しているのだろうか。 -
Posted by ブクログ
HTML5について、技術面というよりもその影響について考えるにあたってのヒントが手軽に欲しくて手に取った本。 何か新しい知見が得られたというと点ではインパクトは弱いが、読みやすい。
第4章でHTML5が「日本復活の鍵を握る」として日本メーカの方がM2Mとそのためのプラットフォーム作りに長けているとしてるのですが、そのご都合主義的楽観には賛同できない。HTML5の流れは、あらゆる人にとってビジネスチャンスかもしれないが、日本やキャリアにとって現状の前提においては有利な状況とはいえないと考えるべきだろう。
この手の新書本に対する需要は、ますますWebの方に移っていくのだろうな。それこそHTML5の表現力を活かせば紙媒体でできなかったことがいくらでもできるはず。