あらすじ
秘書のように問いかけに応えるスマホ、自動運転車、ビッグデータ──。時代を読み解くキーワードは「クラウド」から「AI=人工知能」へ。人間が機械に合わせる時代から、機械が人間に合わせる時代が到来しつつある。IT、家電、自動車など各業界のAI開発競争の裏側を描きつつ、その可能性と未来に迫る。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
クラウドからAIへ 小林雅一 朝日新書
アップル・グーグル・フェイスブックの次なる主戦場
人工知能は60年前から
あらゆるジャンルの学者たちが一同に介して始められた
しかし答えを一つにしない相対的な脳のファジーな部分を
解決できずに論理と法則とルールによって挑戦した第一次は収束し
80年代に起こった第二次のAIは様々な業界の知識を持ち寄った
集合によって実用化に向かうが柔軟性に欠けた為に頓挫する
そして第三次が今盛り上がっているAIである
アルゴリズムの統計学による確立的な方法で曖昧な部分を
柔軟に対処することによって無限大の領域を相手にできる可能性を持った
1997年チェスで世界チャンピョンを負かしたIBMのディープ・ブルー
TVのクイズ番組で優勝したIBMのワトソン
あるいは音声操作によるsiriを導入したアップル
自動車の自動運転を目指すグーグルなどの各社
医療助手を務めるロボットや
掃除機のルンバなどが活躍し始めている
危ない話では無人偵察機から無人爆撃機や戦闘機
あるいは災害用ロボットを転用する兵隊ロボット
ビッグデータと呼ばれる世界中に人間の思考や趣向を網羅することで
シナヤカな答えを引き出しロボットが自ら情報処理をしながら
成長していくという具合で生き物に近づいてきた
ある意味知らね間にユーザーの情報によってロボットの成長を即され
下手をするとユーザーがロボットに管理されそのロボットの元締めが
全てを支配するというシナリオに成り兼ねないのである
翻訳機もユーザーがロボットに情報提供することで
生きた言葉を並べらる能力を高めていけることになる
アルゴリズムによる人気投票が人間の目指す目的と一致するとは限らず
狭い世界の迷路に紛れ込も危険な可能性も大きい
知識が次元の違う意識を賄えるかと言えば
ディテールが全体像を理解出来るかという話になり
処理と理解の違いが表面化してくる
統計による答えは処理しただけで理解してはいない
今は統計データで結果を出しているけれども
将来心とか意識と関わることになった場合にツマズクことになるだろう
そこで出てくるのが脳の動きを模倣したニューラルネットワーク
知覚メカニズムを模倣したディープラーニング
しかしレイヤが増えれば遅くなる
目の神経を聴覚野に繋いでも視覚能力を発揮するという
五感の相互変換が可能だということに目を付け
大量の情報から抽象化するために必要な本質部分だけを取り出すことで
コンパクトにできるようになる
されにyoutubeを使ってAIがネコの概念を自習することで
自力に獲得させることに成功する
画像認識だけでなく音声も言語処理も自習することで処理できる可能性を得た
クラウド型のサービスにすることで世界中にユーザー情報をサンプルとして得る
いよいよ人間の代わりとなる機会の誕生を迎えて何を考えなければならないか
柔軟な処理をするということは完璧でないわけで
その空白となるブラックボックス故のパニクッタ暴走や誤作動に
どう対応するかと言う問題や
いずれ依存の関係なのか対等な分業なのか
人権とロボット=ヒューマノイド権の調整が必要になるかもねと言う問題
人間のニューロンは1千億個でシナプスによって相手を選びながらつながるのに対して
AIは数万個の工学的ニューロンと少ないながらも同じような仕組で働く
いくら手塩にかけて育てても思うようには育たないのが現実ですから
ロボットも同じように危険をはらむ条件上にあるといえるのです
金融世界でもフラッシュ・クラッシュと呼ばれる誤動作が起こり
10分足らずで数十兆円が失われたと言う話もあるし
20秒間で株価が20ドルから1セントに暴落した企業もあるという
人間の仕事がなくなる問題をどう解決するか
オフィス・工場・倉庫での多能工
さらには病院の看護師や医者・
あるいは新たな雇用を生むか
最も飛躍して且つ有効だと思えるのはそれぞれの生き方に沿って
過不足のないベーシックインカムの採用である
実利的な生産のほとんどをAIロボットに任せ
人間は消費と創造とそれをこなすべき労働作業とを受け持ち
人間臭く抽象性の高い仕事を遊びとして深く関わっていける道を開く
ある意味原初の人間に戻って大自然の解明に挑む
その対象は無限にあるはずだ
全ての現象や心の動きに対して何故かと問い掛けて研究実験するのもありだし
現象自体にタユタウことをたのしんでもいい
更には出合った状態から起こる想念を写し取ってもいいだろうし
そこに創造を織り込んだ表現をするのもたのしいかもしれない
何しろ無限の可能性を孕んだこの世界を可能な限り
精一杯に出合った仲間と切磋琢磨することで未知なる今に挑戦し
視野を広げ新たな発見をし全体観を膨らませて行くことを
目指していられれば幸福なのだと思う
Posted by ブクログ
少し前に流行ったクラウド、ビッグデータから、著者は今はAI(人工知能)へシフトしてきているという。そのための入門書的な新書。
内容は、1章で現代のAIの代表である、アップルの音声認識ソフトSiri、グーグルのセマンティック検索、フェイスブックのグラフ検索などの例を挙げ、2章では、AIの研究がどのように発展して来たかを説明している。
3章では、音声認識技術、グーグル・グラス、自動車の自動運転技術、家庭用ロボットなど、医療現場に導入されるロボットなどを紹介し、4章では、人間が機械に依存しすぎる危険性と、人間が機械に存在価値などを奪われる危険性にわけて解説している。
AIについては、まだまだわかないことが多いことと、筆者が書くような未来になるとは限らないが、少なくても現在地点を知る上では、格好の入門書だと思った。
Posted by ブクログ
この本は絶対2014年中に読んだ方がいい‼︎来年になったら遅いかも。なんでsiri?なんでpepper?各ITメジャーの今後3年間の競争が想像できてわくわくします。
Posted by ブクログ
ビックデータという確率・統計的手法を用いて蘇ったAIという「技術」について、その歴史から価値、将来性に触れている。知的好奇心をつすぐられる一冊。
Posted by ブクログ
展示会でディープラーニングという言葉には触れていたが、AIとつながりがあり、またこれが今、Siriをはじめとするロボット技術と非常に深い関係があることに驚かされた。自動翻訳が非常に有用になってきたと思っていたのだが、その背景がよくわかった。アシモフのロボット三原則の必要性がもうすぐそこまで必要になっていると思わされる本であった。
Posted by ブクログ
モバイルデータ通信 クラウドによる検索に 音声入力を導入。
スマホに音声入力を導入することで囲い込みができる。
ビッグデータを利用した新たな検索方法には AI 自己学習がかかせない。
aiぎじゅつの応用で実現できることや問題点の指摘がされている。
モバイル端末 アプリについての利便性を考えると高齢者への応用利用ができそうだ。
Posted by ブクログ
AIは古くから不遇と期待をその歴史の中で交互に歩んできた。
しかし近年。コンピューターの発達と、膨大な統計処理によりついにAIは確固たる技術として日の目を見るときが来るかもしれない。
その時、我々人間は何をしているのだろうか。
また、どのように承認要求と日々の糧を得るのだろうか。
他のAI本と較べてもその歴史的分析や分類などの構成も良く、小話も面白い。
オススメ
Posted by ブクログ
○IT分野を得意とする評論家で作家の小林氏の著作。
○人工知能”AI"の研究開発の歴史をまとめながら、これから行われて行くであろうAI技術の発展や、Googleやappleが目指している新たな戦略の方向性など、最新のITを巡る動向を分析したもの。
○歴史もさることながら、現在のAIを巡る動向や商品化への動き(さらには軍事用途としての利用)については、とても整理されており、純粋に凄いなぁと思った。
○AI技術の発展で、私たちの生活は、さらに180°くらい変わっていくのだろう。その変化に取り残されないように、しっかりとフォローしていきたい。
Posted by ブクログ
・ルールベースのAiから、ビッグデータと確率によるAiへ、さらにニューラルネットワークへとAiの歴史がよくわかった。昔、星新一の小説で、コンピュータにありとあらゆる知識をインプットしたらふっと消えてしまって神になったという物語を読んだことがあります。確かにあらゆる知識を溜め込めばあらゆる判断が可能になるというには、当時としては分かりやすいストーリーだったにかもしれません。
この本を読むと、人間が機械より優っていることは何なんだろうと考えさせられます。産業革命のときも当時のイギリス人は同様に考えたのでしょう。
・確率ベースのAiを使えば、人間よりベターな判断ができるようになる気がする。会社の昔の実績が認められて偉くなった人の一言に振り回されることもなくなるのかもしれない。
Posted by ブクログ
著者のいう第2のAIの冬に関するエキスパートシステムに興味を持っていて、何とか導入を企画した記憶があったので、楽しく読めた.ビッグデータを駆使して情報を集積する手法は、実用的であることは実感している.驚異的な速度で進行するIT技術をしっかりとした視点から捕らえている好著だ.
Posted by ブクログ
最近のトレンドでよく聞く言葉である「ビックデータ」と表裏一体の関係(※1)にある「AI」に関して広くざっくり紹介している本で、
急スピードで変化しているIT業界の今を捉えるひとつの視座を得ることができる。
人間がコンピュータに合わせていた時代(人の手足としてのコンピュータ、IA)から、コンピュータが人間に合わせるようになる(AI)時代への大きな変化を感じるには第2章をじっくり読むのが良い。
また、スマフォ・アンドロイドのアップル・Google対決を楽しく見守っている人は、ビッグデータ争奪戦のためのUI対決部分として第1章を読むのが良いかなと思う。
個人的にはルンバ等の家電ロボットに言及していた第3章の部分も、家にいて人と関わっていくロボットの理想形は何かを考えさせてくれて結構楽しかった。
※1・・社会がIT化されていくことで保存されるようになった大量の情報(ビッグデータ)は存在するが、人間が整理整頓するには手に余る
→AIが自発的に考えて欲しい結論を探してくれるようにならないと使えないなあ、みたいなイメージ
☆関連書籍として『考える脳、考えるコンピュータ』をおススメ、本書で出てくるディープラーニングに関して詳しい。
☆題名にはクラウドが入っているが、クラウドに関しての記述はない
Posted by ブクログ
(2016年10月19日)
再読。2年たちましたが、AIの進化は本書の書かれた時点を上回る速度で進んでいると思います。
本書に出てくる、ロボット、自動車の自動運転、そして将棋や囲碁ソフトは次から次へと新し展開が出てくるし。
未来を描いた内容だと思っていましたが、既に一部の内容は古さすら感じさせる、現実の変化のすさまじさ。10年後くらいには、本当に今までとは全く違った世界に住んでいるかもしれません。
(2014年3月14日)
ちまたでよく聞くクラウドって、データセンタとどうちがうのよ?といまだに腹に落ちていないワードなんですが、本書を読んで眼からウロコでした。スマホや各種センサーから集められる膨大なデータをセンター側でAI(人口知能)を用いて分析、判断することで、これまでとは全く異なる世界観が生まれる。。こうしてみると、やはりグーグルやアップルが見ている場所は、一般の人々よりもかなり先をいってますね。
また、本書後半では、AIの進化により仕事においても「機械との競争」が始まると問題提起されてますが、これは本当に近い将来直面する未来なんだろうと、最近のAI関連のニュースをみるとヒシヒシと思います。
Posted by ブクログ
AIそれ自体と、AIでビジネスすることについて学べる入門書として面白かった。
--
AIの歴史は1950年代に始まり、これまで様々なアプローチをしては壁にぶつかってきたが、今また新たなアプローチにより進化をしているという。
初期のアプローチである、人がコンピュータにルールを教え込むルール・ベースAIは柔軟性に欠け、複雑な問題に対応できなかった。
そのため今はルールを無視して統計的・確立的な知的処理を行う汎用性の高いアプローチが主流になった。
しかしこの手法も本来的に言葉を理解してるとは言えず、知能が進化しているわけではないので、いずれ限界にぶち当たると見られている。
そこで今大きな期待を受けているのが第三のアプローチが、人間の大脳のメカニズムをコンピュータ上で再現する手法。AIの王道とも呼べるものである。
ex) ディープ・ラーニング
---
MEMO:
32
ルール・ベースのAIから、統計的・確立的なアプローチで知的処理を行うAI
33
人間の大脳のメカニズムをコンピュータ上で再現する手法。AIの王道とも呼べる。
36
セマンティック検索とは言葉の意味を理解して、答えを返す検索エンジン
43
ビッグデータは大きく構造化データと非構造化データの2種類に大別されます。
49
「モバイルインターネットのゲートウェイを押さえたい」という点
82
その代わりグーグルが重視したのは、元の文章と翻訳された文章との間に見られる統計的な関係です。
96
スパース・コーディングから生まれた「ディープ・ラーニング」
115
Siriでは、音声操作というユーザーへの最前線(フロントエンド)をとることにより、その背後(バックエンド)では色々なサービスに仕事を割り振る特権を得ることになる。
154
介護ロボットは日本のエレクトロニクス産業にとって、近来稀に見るビッグチャンスとなる
158
AI開発の中心は今や、成熟した各種要素技術を組み合わせて、私たちの暮らしや社会を良くする段階へと移行しました。
190
ルール・ベースにせよ統計確立的アプローチにせよ、そういった理詰めの手法では人間の知性を再現することは不可能
Posted by ブクログ
クラウドからAIへ。AIは冬の時代もあったが、ビッグデータと表裏一体でもありクラウドの発展により改めて脚光を浴びてきている。AIが生み出すチャンス、開発のアプローチ、AIにより発生する諸問題など、これからのAIを語る上えの論点が紹介されている。
Posted by ブクログ
セマンティック検索。言葉の意味を理解して、答えを返す検索エンジン。
今後我々は科学技術をどのように利用していくべきか。常に考えなければならないと感じた。
Posted by ブクログ
【由来】
・
【期待したもの】
・
【要約】
・
【ノート】
・
第1章 なぜ今、AIなのか?ー米IT列強の思惑
見慣れた製品に知性を吹き込む
アカデミズムから企業手動へ
AIはどんな目的に使われるのか
Siriとは何か?
モバイル情報処理に不可欠のAI
アップルはなぜ今、音声操作を導入したのか
エキセントリックな天才を雇ったグーグルの意図
言葉の「意味」を理解する検索エンジン
グーグルはなぜ検索エンジンをAI化したのか?
フェイスブックの弱みと強み
グラフ検索とは何か
米IT3強の長期ビジョンは一致している
マイクロソフトも次世代製品をAIで強化する
第2章 ”知性”の正体ーAIの歴史から見る、進化の方向性と実力
楽観的ムードに沸いた黎明期
論理への過信が引き起こした「AIの冬」
専門家の知識を移植したエキスパート・システムで復活
第五世代コンピュータの真実
統計・確率的な考え方をAIに導入
ベイズ理論とベイジアン・ネットワークとは何か
ビッグデータの波に乗って2000年以降にブレーク
セマンティック検索の仕組み
統計・確率的AIの本質と限界
第三の選択肢として再浮上するニューラル・ネットワーク
人間の知覚メカニズムを模倣したディープ・ラーニングとは
コンピュータが概念を獲得する
歴史的な転換点を迎える「機械と人間の関係」
第3章 ”知性”の値打ちーAIが生み出す巨大なビジネス・チャンス
AI革命の先陣を切る音声認識技術
スティーブ・ジョブズが評価したSiriの本質とは何か
Siriによって、グーグルの仕事を奪いたいアップル
優勢なのはグーグル
自動運転車は「センサーの塊」
同床異夢のグーグルと自動車メーカー
実用化に立ちはだかる様々な課題
ブレークスルーへのカギを握るAI
家庭用ロボット市場を開拓したアイロボットとは
医療の現場に導入される代理ロボット
巨大市場が見込まれる介護・介助用ロボット
無限に広がるAIの応用領域
AI開発の主流「エージェント・アプローチ」とは
目標を具体化するとSF的な世界も実現できる
東日本大震災を契機に加速する自律型ロボットの開発
開かれた研究開発体制が求められる
第4章 ”知性”のの陥穽ーAIにまつわる諸問題
(1)機械(システム)への依存度が増すことによって生じる危険性
事故の責任は誰が負うのか?
ロボット兵器の脅威
ニューラル・ネットワークのブラック・ボックスとは何か
フラッシュ・クラッシュを引き起こした「ボット」とは
(2)AIによって、人間の雇用や存在価値が失われることへの不安
雇用なき景気回復の真相
多彩な職場に進出する先端ロボット
先端技術は雇用を奪うのか、作るのか?
「人間」対「マシン」の図式が浮上
コンピュータはトップ・プロに学ぶ
「人間対コンピュータ」の図式を嫌う開発者
チャンピオンが負ければ人気は衰えるのか
会話によって人間と機械を区別できるか
疑似”人格”でも人を癒すことはできる
人間のやりたいことを、なぜコンピュータにやらせるのか
科学と技術の狭間で
ビッグデータとAIを使って、どんな社会を作るべきか
”知性”のの進路を定めるのが知性
おわりにー「メルツェルの将棋指し」から「ワトソン」までの時間
Posted by ブクログ
3章までは技術的なAIの歴史を紐解く内容。
4章は哲学的な歴史の話。
4章はそもそも興味なしだし、内容もありきたり。
そこまでの印象が良かっただけに、尻すぼみの印象。
Posted by ブクログ
aiの歴史と、ai開発の派閥の話
ai研究は、科学か技術か
aiが人と機械のi/fという考え方は共感できた
aiが入り口となり、ビッグデータを収集でき、次の時代の覇者になる。aiは、収集、分析判断の両方に使っていくってことかな。
Posted by ブクログ
「クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場」
しゃべるスマホ、自動運転車、ビッグデータの解析。共通するキーテクノロジーはAI。
アップル、グーグル、フェイスブック。世界を牛耳るIT企業である。彼らは今の世界の優秀なエンジニア、研究者、経営者をどんどん集めている。というか、彼らが狙う超がつく優秀な人材は、当然ほとんどいない為、アップルから引き抜くとかフェイスブックから引き抜くとかが主で、色々ぐるぐるまわっているんだけど。
本書は、AIの内容が分かりやすく整理されている本だと思います(唯一謎が残るのは著者の経歴であるけど、まあこれは個人的なものとしてw)。開発の歴史、現状の主な応用製品、それの基礎となる技術内容 等、知識として飲み込みやすいです。
AIの歴史は、紆余曲折を経たドラマチックなものである為、読んでいる側としてもちょっと胸が熱くなります。AIが目指すものは、言ってしまえばかなり途方もないものまで目指せてしまう。例えば「AIは自己で進化し続けることが出来る。そのため、いずれ人を超えてしまうから危険だ」という論調もあります。
しかし、個人的にはあくまでもAIを創るのは人間であるのだから、そこは人間が制御するべきことであり、危険だからという理由だけで、AIの可能性を狭めてしまうのはもったいないなと思います。
また、AIに携わる研究者に対してゴールを設けて、研究を行える環境を整備するという点も興味深いです。著者は、将棋での対名人戦を例に挙げて人間とAIの関係性を述べていますが、まさにその通りで、人間との関係性を切り分けて考えないといけないです。
この時は、名人に勝てるAIは創れるのかというゴールを設定し、その為の技術者を集め、環境を整えました。実際、この対戦後、AIは解体されています。このようにゴールと環境を揃えて用意することで、AIは正しい道を歩んでいけるんじゃないかと思います。
Posted by ブクログ
AIはこれまで研究主体だったが、ビッグデータの利用によって企業主体になった。Siriや自動運転車などのアップルやグーグルなどの戦略が描かれているが、自分が関心があるのは社会面への影響。
守口市の松下記念病院では、薬剤の運搬をバーチカルコンベアに代えて、自律搬送ロボットのホスピーを導入した。
米軍やCIAが導入した無人航空機プレデターは偵察用に開発されたが、2001年の同時多発テロを機にミサイルが装備され、オバマ政権下ではイエメンやパキスタンで活動するテロリストへの攻撃に多用された。韓国軍が北朝鮮との間の非武装地帯に配置した見張りロボットSGR-1Sは、マシンガンと手榴弾発射筒を装備し、自動モードも用意されている。
証券取引をボットが行う割合は、NYSEで7割、東京でも4割を占める。
アメリカでは2001〜2010年の10年間に、業務用ソフトの導入によって電話オペレーターの64%、タイプ入力の63%、旅行エージェントの46%、簿記係の26%の職が失われた。弁護士事務所で証拠文書の解析を行うパラ・リーガルも、文書解析用ソフトの導入によって仕事が奪われている。
Posted by ブクログ
統計確率的なAI 、ベイズ理論・ベイジアンネットワーク。ニューラルネットワーク、ディープラーニング。
センサーの塊 自動運転車、家庭用ロボット、代理ロボット、介護介助ロボット、エージェントアプローチ 具体的な目的、自律型ロボット。
ブラックボックス、ロボット兵器。
Posted by ブクログ
グーグルなどの企業の活動に本格的に取り込まれ始めた最近(2013年)のAIの動向をサラッと俯瞰した本。よく網羅してると思います。
あまり考察を深ぼりしてるわけではないので、ほとんど知ってる話でしたけど、こうやって並べられるとこのジャンルがこれから数年レッドオーシャンの状態が続きそうなのがヒシヒシと感じられますね。
Posted by ブクログ
昨今、IBMやGoogle、Facebookなど様々なIT企業が力を入れている人工知能・AIについて、その歴史的な経緯や昨今の技術トレンド、今後の活用分野などが網羅的にまとめられている。
独自の知見がある、というよりは新書レベルで全体感を掴むのに最適なレベル。この世界にあまり知見がない自分としては、世界観を掴むのに役立った。
Posted by ブクログ
ここに来て産業への本格的利用が見込まれているAIの誕生と変遷とを振り返り、最新状況と更に未来予測を行う新書。非常に分かりやすくAIの仕組みや可能性と限界を書いてあるので、サッと読むにはオススメ。おそらくは人の仕事の対部分はAIがやってしまうようになるので、AIが及ぶところと、人間しかできなかったり人間の方が効果が高い仕事がなんであるかを本書を通じてよく理解して、キャリア形成などを考えるとよいように思った。
Posted by ブクログ
AI研究の現状のリポート。IT、情報科学系の最新ニュースを常にヲチしてる人以外のための解説書、てカンジ?
筆者がかなり企業寄りのスタンスで書いてるせいか、文中でなんどか繰り返されるような人間に対する機械の脅威、よりかむしろ、人間の敵は人間だ、ってほうがより鮮明になる気が。
ダッテ、機械は利己的な人間同士の対立のさいに道具として使われるんだもの。
Posted by ブクログ
本書では、AIはそれでも機械の域を出ず、人間社会がそれをうまく制御し得るという印象を持ったが、いずれAIが善悪の判断をする時は訪れうるのではないだろうか。例えばビッグデータから人間社会の好嫌/善悪を学ぶことは可能であり、それは人間が社会の中でそれらを学んでいくプロセスと何らかわりがない。AIに社会の運転を預けて行くことは判断を任せることであり、それは善悪が最終的な物差しにならざるを得ず、その善悪がAI自身が学習していくものであるなら、それは人間の制御から離れることは想像に難くない。
Posted by ブクログ
他の人のレビューにもあるように、教科書的に人工知能にまつわるトピックがまとめられた本。少なめのページ数ながら情報量は多く、その意味でコストパフォーマンスの高い良書。
人工知能の歴史、近年の技術的潮流、ビジネスとの関わり、争点となりうる倫理的・社会的な問題の四つが主な内容。
-----
最後に個人的に面白かった点をひとつ。
インターネット自体のS / N比が加速度的に小さくなりつつあり、従来の検索アプローチが役に立たなくなりつつあるというIT企業の現状認識について。
特にgoogleが大枚をはたいてAIに入れ込んでいる現状は、裏を返せば一昔前に流行ったhuman computingの処理限界を示しているのではないか。なぜならgoogleこそが史上最強の工学的human computing machineだったのだから。つまり今のインターネットの規模が、我々人類が集合的に処理できる複雑さの限界だということだ。
このことは同時に、我々の生み出す似たような集合的生産物、たとえば都市の複雑性もこれくらいということを示唆しているのだろうか。
Posted by ブクログ
これまでのAIブームの概略や現況についてはよく纏まっているのだが論点が少々わかりにくい。従前とAIブームの今回の違い(定着し飛躍するのか)の見通しは欲しかった。いくつかの話題、例えばアップルの「Siri」をUIとしたプラットフォーマー戦略の解説は興味深かったので、的を絞ったほうが読者にとってはよかったように感じた。
チューニングマシンのゼロイチの限界からクラウドを技術的背景としたベイズ統計処理、そしてまだまだ発展途上のニューロンネットワーク。ここらへんはもう少し丁寧に背景を説明してもよかったかもしれない。
いずれにせよAI分野はグーグル・アップル・フェイスバックが参入する魅力的マーケットの可能性を秘めていることには変わりないので概略を把握したい方には良いと思う。