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Posted by ブクログ
「AIは世界をどう変えるのか」
本書は、GPTモデルを開発したOpenAIを中心に、マイクロソフトやグーグルをはじめキープレイヤーによる生成AI開発ストーリーです。
これらビックテックに勢いのあるスタートアップ企業なども交えた起業ドラマであると同時に、OpenAIのサムアルトマンCEOやそのライバルとなるイーロンマスクなど錚々たるメンバーたちが繰り広げる人間ドラマを映し出しています。
手付かずの開発スタートから全世界の注目を集めるまでに発展した生成AI、そして生成AIを中心に世界では一体何が起きているのか。本書は技術者ではなくともそのストーリーを詳細に理解できる良書だと感じました。
私自身も2023年のGPT3.5に魅了されてから約2年経ちましたが、その時の感動を超える日々を今もなお味わえている自分は幸せだと感じる同時に、未知なる世界の命運を作っていく1人の登場人物になるべく日を夢見て、努力を続けたい、そう思いました。
Posted by ブクログ
☆4.5 好き者だったニューラルネットワーク
主眼にChatGPTを置きつつ、アルトマンを語る内容。
子供のころからSF小説が好きで、AGIの実現を夢想してきた。しかし、アルトマンは若くして成功した起業家で、OpenAIはその後のことにすぎないのだ。
20世紀までは、実用的な研究成果がなかったニューラルネットワーク研究。2010年代になってやうやく脚光を浴びた。
その立役者はGoogleだが、爆発的な人気で座を奪いとったOpenAI。Googleは近年の不祥事で、リベラルな企業風土から保守的になり、保身に走ったためAI開発で遅れを取った。
しかし、OpenAIも当初は崇高なAI開発を目指す非営利法人だったのに、だんだん営利企業に転身していく。AIが学習する材料はインターネットからは尽きさうだ。
AIを開発する研究者のあひだでは、AIが原子力に匹敵するのではないか。と脅威論を持つ者もゐる。かれらのあひだで、OpenAIの叛乱が起き、収束する。
AIは膨脹がとどまるところを知らない。
Posted by ブクログ
タイトルはサム・アルトマンだが、内容はOpenAIを中心とした生成AIの開発を追ったもの。
1980年代にヒントンらによって誤差の逆伝播と呼ばれるアルゴリズムが開発され、多層ニューラルネットの学習技術が確立された。 1990年代後半には、ラン・ルカンらに畳み込みニューラルネットと呼ばれる方式が開発され、多層ニューラルネットが各種の文字や数字、音声や画像などを識別するパターン認識の能力が向上した。
2012年クリフェフスキーとスツケヴァーは、2個のGPUを使って多層ニューラルネット(アレックス・ネット)を開発した。画像認識コンテストILSVRCで、2位以下を圧倒的大差で引き離す好成績を挙げて優勝し、GPUを使うとニューラルネットの学習速度が従来のCPUの100倍に高まることを示した。
アルトマンは、30歳を目前にした2015年に、汎用人工知能(AGI)を自分の手で実現すべきとの結論に至った。アルトマンは、イーロン・マスクを誘って、人類に貢献する安全なAGIを実現するためのプロジェクトを立ち上げることで合意し、ブロックマンやスツケヴァーを加えて非営利の研究団体OpenAIを設立した。
2016年に言語モデルを研究していたアレック・ラドフォードがOpenAIに入所した。2017年にGoogleがAttention Is All You Needというタイトルの論文を発表し、Transformerと呼ばれるニューラルネットが言語モデルの研究に突破口をもたらした。
2017年の末頃、首脳陣はOpenAIを営利企業化することで合意に近づいた。マスクはその株式の過半数と取締役会の指揮権を握って、そのCEOになることを要求したが、それに難色を示されるとOpenAIへの資金供給を止め、離脱した。
Googleは2018年にBERTを開発したが、人種・性的な偏見やハルシネーションを出力することが発見されために発表を躊躇した。検索エンジンなどの巨大市場を守ることを優先する経営陣の姿勢を見た研究者らは次々と退社し、Transformerの論文を共同執筆した8人の研究者は全員が去った。
2018年にOpenAIはGPT、2019年にGPT-2を開発した。LLMの規模や機械学習のデータ量が増加するほど性能が指数関数的に上昇することが発見され、「ニューラル言語モデルのスケール則」のタイトルの論文として2020年に発表された。2020年にGPT3を開発。2021年にGPT3をベースに開発された画像生成AI「DALL-E」を発表した。
2021年頃からマイクロソフトがOpenAIに出資するようになると、経営陣に不信を募らせたダリオ・アモディやカプランら15名の研究者は、雇用破壊や人類滅亡などの重大な危害をもたらさない安全なAI開発を目指す「AI憲章」を設けたアンソロピックを立ち上げた。
2022年11月にChatGPTを一般公開。2023年GPT4公開。
マスクは、2023年にxAIを立ち上げてGrokを発表した。2024年、Googleは、言語、映像、音声など様々な種類のデータを認識して処理できるマルチモーダル型のGeminiをリリースした。
NECが開発したcotomiは、主に社内文書やマニュアルの要約など、企業や自治体向けのサービスを想定。
NTTが開発したtsuzumiは、医療や金融、コールセンター業務などに特化したサービスに適している。
KDDIは、MetaのLlama2をベースにしたLLMを開発したELYZAに出資して連結子会社化した。
楽天は、フランスのMistral AIが提供するLLMをベースにして、日本語に最適化されたLLMを開発した。
影響力のあるAI専門家のうち、ジェフリー・ヒントン、ヨシュア・ベンジオはAI脅威論者で、ヤン・ルカンは楽観論者。
Posted by ブクログ
題名に「サム・アルトマン」を謳っているが、内容はAIの歴史そのものの話となっており面白い。
2024年ノーベル物理学賞を受賞した「AIのゴッドファーザー」と言われるジェフリー・ヒントン博士のディープラーニングから始まり、同年ノーベル化学賞受賞のデミス・ハサビス博士率いるDeepmind、そこからヤコブ・パチョッキ氏のベクトル「トランスフォーマー」のブレークスルー、天才技術者であるイリヤ・スツケヴァー氏と取締役会らによる解任劇、そしてAGIに求められる権利と倫理観。
一見気弱なエンジニアのような風貌をしたサム・アルトマン氏の自己顕示欲と狡猾さが興味深い。彼の野心的な性格はある意味スター性とカリスマ性を生み出し、AGIを実現し、普及させるという点においては天職といえよう。
昨今の各国首脳陣まで巻き込んだAIの加速度的浸透は、本書で取り上げられるような懸念はあるだろうが、シンギュラリティ後の世界がどのような未来であるのかワクワクする。
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