寺島実郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書はもともと2000年に単行本として出版されたものを2007年に選書化し、文庫化するにあたって2006~7年に書かれたエッセイ2編を付している。だから、基本的にはミレニアムを迎えるにあたって100年前を振り返るというスタンスで書かれている。また、その基本には昨今の日本が米国を通して世界を見る状況にあるのに対して、欧州が過去の存在になっていることへの批判がある。
1900年は18世紀最後の年であり、市民革命などを経て、さらには社会主義の理念とその実態とのはざまに揺れる社会風潮があったようだ。結果的に2度の世界大戦を引き出すきっかけもすでに生まれていた。
こうした欧州の中に飛び込んでいき、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・「何のために働くのか」という難しいテーマに対し、若者への熱いメッセージが込められた1冊。「我が人生を振り返って」で振り返っているように(P73)、様々なできごとや出会いをとおして、筆者は自分や時代と向き合ってきた。
・働くことはカセギ(経済的自立)とツトメ(社会参画、社会貢献)であり、「働くことを通して、世の中や時代に働きかけ、歴史の進歩に加わること」(P48)それが、働くこと、生きることの意味だと筆者は言う。そして、自分らしい仕事を探すのではなく、仕事を通じて自分の可能性を懸命に探求していけば、おのずと「これをやるために生まれてきたんだ」と思える仕事に出会える」(P51)とのこと。なるほど -
Posted by ブクログ
現在の「政治・経済」を扱っている書はあまたあるが、やはり本書は読み応えがある。
「経済」における「直面する危機」や「政治」における「日米同盟」についての多くの考察は、著者が「脳力のレッスン」というだけに、どう考えたらよいのかという多くの指針を含んだものとなっている。
もちろんすべて全面的に賛同できる内容ばかりではないが、一般にマスコミで流される表層的な情報にとどまらず、確かに一段と深い考察であると思う。
著者の「立ち位置」は、かつては「右」と思われていた位置であるだろうが、世の中全体の価値観が右に移動した結果、今では「中道左派」になるのではないだろうか。
著者の主張は「大中華圏(グレ -
Posted by ブクログ
さすが寺島先生、重厚感のある、知識としても満たされた、満足感のある一冊です。
少し前の本ですが、今この時に読む意味のある本のように思いました。
寺島先生の原子力への主張は、一貫していてすごいと思う。
以前に、震災直後の東北の町での中継の中でもしっかり原子力維持の主張を貫いておられた。信念を感じる。
今、まさに寺島先生が経済学者を超えて、人間の道しるべとしてどのように日本人が歩むべきが示唆させれているこの姿に感慨を感じる。
ぜひ、新しい視座を与えてほしい。日本人の本当の琴線にふれる新しい時代を指し示してほしい。寺島先生の本を読んでいるといつも思うことがある。この時代に生きていて良かった。時代を交 -
Posted by 読むコレ
世界を知る力と、近所の偉人の方の勧めで、購入して読んでいます。タイトルから、壮大な俯瞰力が得られそうな一冊に感じています。「世界を知る」とは、断片的な知識が、さまざまな相関を見出すことによってスパークして結びつき、全体的な知性へと変化していく過程を指すのではないだろうか?ー第四章 世界を知る力より。
元々、商社マンで、海外を赴任しながら、実践的に感じていた「世界」を、様々な視点から、書き下ろした「世界を知る」ことについての入門書かつ、読者には、いかにしてそういった視点を持ち、実践的に応用していく展開で、四十年の活動の形として世に出たベストセラーな、一冊です。