寺島実郎のレビュー一覧
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以前、知人がフリーメーソンについて書かれた本をうずたかく積み上げて、ユダヤについてとうとうと話し出し、否定も同意も出来なくて、立ち往生したことがある。二次大戦のときにジェノサイドにあったことや、イスラエルのかつての大統領が軍閥出身(?)だったり、バーンスタインや、クレーメルがユダヤ系だったり、断片的なイメージと、ただ、おかしい、キリストを売った、などといったって、どうしてこんなことになる? というイメージである。そこからは、思考の連続として、フリーメーソンに無条件には飛べねえやなあ、と思うが、話す材料が決定的に不足していて、日本人にもフリーメーソンに入っている人がいて、みたいな本を一冊くれてやる、というのをもらってようやく解放された。こういう経験をする人は意外に多いのではないか。
こうなってしまうのは、たぶん、客観的にみることのできる距離をとれていないからだ。まず、歴史がよくわからない。国がないというのは、その民俗のたどってきた歴史が積み重ねられるのにとても不利だ。
この本は、この不利な状況を実は、ユダヤの視点は国にとどまらず、世界に向いていたととらえなおす。たしかに、理数系や音楽など国に縛られないある意味、全人類共通の文化に創造性を発揮した偉人がユダヤには多いのだ。本をまだ、全部読みきれていない。だが、現在全世界的な影響を及ぼす課題が大きくなって、この視点の重さを感じざるを得ない。 -
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【ジェロントロジー宣言 「知の再武装」で100歳人生を生き抜く】寺島実郎著、NHK出版、2018年
「今度、札幌に行くから食事をしよう」
と誘っていただき寺島実郎さんと本当に久しぶりにご飯をご一緒した。
初めて会ったのは早稲田を卒業する年だった。
三井物産のオフィスに緊張して行ったのを覚えている。
それから10年以上お会いすることはなかったが、再会したのはソフトバンク社長室の時。様々な会合でご一緒し、グッと距離が縮まった。復興支援財団の評議員もお願いして就任してもらった。
校長になってからは初めての機会だった。
「荒井くんが頑張っているのは各方面から聞こえてくるよ」とおっしゃっていただいて驚いた。
普段なら寺島さんの話に耳を傾ける一方だったが、気がついたら教育のこと、高校のこと、を沢山話していた。
あれだけアウトプットされる方は、インプットの量も質も桁違いにすごいのだ、と別れてから思い至った。
本書のタイトルになっている「ジェロントロジー:Gerontology」とは「老年学」と訳される。高齢者にまつわる学問領域で、身体、心、生活、社会などを分析している。
本書で、団塊の世代が社会のお荷物にならないためには「知の再武装をすることだ」という寺島さん。
同時に、僕達団塊ジュニアのこともすごく心配されていた。どの組織でも中堅マネジメントになった40代が今の変化に対応できていないそうだ。
僕は小学校まで昭和の教育、中学校から平成の教育を受けたが、日本の教育の一つの帰結のような気がしている。
では、令和の教育とはどうなのか。
寺島さんは多摩大学の学長でもあり、沢山の示唆を頂きました。
本当にありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
#ゆたか読書 -
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本書はもともと2000年に単行本として出版されたものを2007年に選書化し、文庫化するにあたって2006~7年に書かれたエッセイ2編を付している。だから、基本的にはミレニアムを迎えるにあたって100年前を振り返るというスタンスで書かれている。また、その基本には昨今の日本が米国を通して世界を見る状況にあるのに対して、欧州が過去の存在になっていることへの批判がある。
1900年は18世紀最後の年であり、市民革命などを経て、さらには社会主義の理念とその実態とのはざまに揺れる社会風潮があったようだ。結果的に2度の世界大戦を引き出すきっかけもすでに生まれていた。
こうした欧州の中に飛び込んでいき、それぞれの個性で欧州を血肉化していた日本人たちの姿が点描されている。今日のように情報化がなされていない時代において、日本と国際社会を繋ぐものは個人の資質であり、その細い糸を通して必死で吸収していたようである。日本が欧州化をめざした結果、生じた今後の歴史的展開を考えると、そのすべてが評価できるわけではない。ただ、その時代をかなりの背伸びややせ我慢をしながら生きていた100年まえの日本のエリートたちの姿を垣間見ることができる。
紹介されている漱石の日清・日露戦争時代の日本の浮かれた国民感情に対する冷静で批判的な発言などは、今日再評価されてもいいのではないかと思った。 -
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ネタバレ・「何のために働くのか」という難しいテーマに対し、若者への熱いメッセージが込められた1冊。「我が人生を振り返って」で振り返っているように(P73)、様々なできごとや出会いをとおして、筆者は自分や時代と向き合ってきた。
・働くことはカセギ(経済的自立)とツトメ(社会参画、社会貢献)であり、「働くことを通して、世の中や時代に働きかけ、歴史の進歩に加わること」(P48)それが、働くこと、生きることの意味だと筆者は言う。そして、自分らしい仕事を探すのではなく、仕事を通じて自分の可能性を懸命に探求していけば、おのずと「これをやるために生まれてきたんだ」と思える仕事に出会える」(P51)とのこと。なるほど。
・時代を切り拓いた先人の特徴を3つあげており、興味深い。①あらゆる物事には、歴史的な背景や理由がある。その構造変化を注視し、いかなる可能性を自分にもたらすのか深く考えている(P57)。②時代の潮流を掴むための「気づきと行動力」「使命感の自覚」がある(P60)。③人間力、一点の素心を持っている(P64)。
・「いま、どんな時代を生きているか」を知ることが必要であり、筆者による時代認識の解説がある。①グローバル化と全員参加型秩序、②アジアダイナミズムとネットワーク型の世界観、③IT革命の本質、④食と農業の未来、⑤技術と産業の創生とTPP、⑥エネルギーパラダイムの転換。について。
・働くことの意義を考えるきっかけとして、刺激を与えてくれる一冊だと思う。