寺島実郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
少し古い2010年の書籍にはなるが、現代を生きる人間にとって必要な世の中を見る力、世界観を教えてくれる。筆者は若かりし頃に三井物産に勤め海外転勤を繰り返した事から、海外から見る日本の視点についてあるべき姿を示してくれる。日本人は内に閉じこもりがちなのは、黒船来航まで鎖国を維持して外国文化の流入を制限していた事からもわかる。日本は島国だから外国勢力は海を越えるしかなく、その航海技術を持つ国でなければ中々到達できない。ヨーロッパなど陸続きで自国以外からの人や文化の流れに晒されてきたから、国際的な感覚を人々は持ち合わせていただろう。それに比べて日本人は一部のインテリ層しか外国へ留学しないし、勿論、渡航費用の出せる一定以上の収入がある層以外はその機会さえ奪われてしまう。それに加えて言語の壁も大きい。最近は語学力の育成にも力が入っており、特に若年層は言葉の壁は徐々に低くなっているが、そうなると一方では日本人らしさの喪失に繋がると危機感を煽るものも出てくる。果たして日本人らしさとは島国に閉じこもる事なのだろうか。いやそうでは無い。住む場所は島国であっても、海外を知り国際的な感覚を身につけなければ、世界から孤立した人材になってしまう。これは日本人らしさではなく海外から見た相対的な日本人らしさを理解できないことにも繋がっていく。この方がより恐ろしい。
ご存知の通り太平洋戦争はこの国際的な感覚が極端に不足していた事が原因の一つと言える。工業力も経済力も遥かに強大な大国アメリカに戦いを挑んだこともあるが、アメリカ人に対する認識すら、簡単に逃げる奴らぐらいにしか考えていなかったのだろう。敗戦が濃厚になった時期にも、日本を狙って参戦したがっているソ連に和平の仲介の期待を寄せるなど、認識不足もここまで来ると最早笑い話のレベルだ。
話は逸れたが本書はそうした海外知らずの日本人を警告し、国際感覚を身につける大切さを教えてくれる。中国やイギリスが世界地図をみてどの様な国家戦略を描いてきたか、世界中に散らばるユダヤ人達が如何に強力なネットワークを築いてきたか幾つも例を挙げて危機感を伝えてくれる。
そして日本人がなぜ国際感覚に弱く、外を知ろうとしないのか、戦後アメリカ占領下とその後の安全保障条約の傘に隠れて生きてきた日本人がアメリカを通してしか世界を見ていない事に警鐘を鳴らすのである。
本書は最後に神田や早稲田の古本街に行く事を勧める。私も大学から近いこともあり、よく古本街に出向いていたが、並べられた本のタイトルを片っ端から見ている時が1番楽しかった。これも知りたいあれも知りたいと一冊100円足らずの古本を買っては読み漁っていた。積み上がる読破した本達が高さを増す程に満たされる心。そんな学生時代を過ごした後、いざ社会人になると何と本を読む時間の減ったことか。自分の仕事や生活に手一杯で全く読書の時間が無い20代を過ごした。
活字に触れない期間は自分の内に閉じこもっていたに等しい。新たな世界を見に行く時間も気力も仕事に奪われ、自分を仕事一本の閉鎖的人間にしてしまっていた様に思う。今は時間的な余裕が増えたというより無駄をやめて時間を作って読書する様になった。少しリスタートに時間が掛かったが、過去の世界を拡げずに過ごした期間を少しずつ取り戻そうとしている。
若い人には沢山本を読んで世界を拡げて欲しい。そして遥か100km上空の大気圏から日本を眺めてほしい。広い太平洋を挟んで親しい隣国アメリカ、大西洋を渡ってヨーロッパに翼を広げ、遠くロシアをユーラシア大陸を渡る鳥達の様に羽ばたいてこそ日本の本当の姿が見えるだろう。 -
Posted by ブクログ
このタイトルに関する内容が書いてあるのは第1章のみだったような印象。
それ以外は、これからの日本ないしは国際社会についての未来予想図や、評価されるであろうビジネス形態などが著者の意見として述べられていた。日本の武器は技術力のみである!みたいな。
全体としては求めていた内容と少し違ったが、第1章50ページは参考になる部分が多かった。
目の前のことに懸命に取り組むことで現状は打破できる、働くことを通して世の中や時代に関わり歴史の進歩に加わる、職業に貴賎なし
「事実かどうかではなくそのような思いを心に抱いて生きることが大事」っていうところ大事。
本の内容とは関係ないが「職業に貴賎なし」という言葉を最近やたらと見たり聞いたりする。
そういったツールに触れる機会が多いからなのか、アンテナが張ってるからなのか。
何はともあれ、アベノミクスの三本の矢ぐらい人に説明できるぐらい知っておきたいな…
あと、この本で幾度となく出てくる「青い鳥」という表現、なんだかおもしろい。 -
Posted by ブクログ
今この本を検索した際、前作も一緒にヒットして、再確認してみたけど、やっぱり星5つ付けてた。で、それならばってことで、次回作にも手を出してみた訳です。でもこれは期待はずれ。前回もこういう系統の内容だっけ?って首を傾げてしまった。広い意味でいうと、今回の震災の経験を通して世界に目を向けよう、ってメッセージかもしらんけど、正直、タイトルと内容の齟齬が目立ってしまっている。前作にあやかりたいという魂胆が見え見えだし、こんな内容だったらいっそのこと、原発関連書籍ってことをもっと前面に謳うべきじゃないか。という訳で、かなりの流し読みになったけど、タイトル抜きに考えても、充実しているとは言い難い内容でした。