寺島実郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現在の「政治・経済」を扱っている書はあまたあるが、やはり本書は読み応えがある。
「経済」における「直面する危機」や「政治」における「日米同盟」についての多くの考察は、著者が「脳力のレッスン」というだけに、どう考えたらよいのかという多くの指針を含んだものとなっている。
もちろんすべて全面的に賛同できる内容ばかりではないが、一般にマスコミで流される表層的な情報にとどまらず、確かに一段と深い考察であると思う。
著者の「立ち位置」は、かつては「右」と思われていた位置であるだろうが、世の中全体の価値観が右に移動した結果、今では「中道左派」になるのではないだろうか。
著者の主張は「大中華圏(グレーターチャイナ)」とあるように、一見「親中」にも見られるから、現在ではやや影響力も落としているかもしれないが、本書の日本の過去をも含んだ考察満載の「時評エッセイ」は、読者を多くの深い思考に誘ってくれるという意味でも高く評価したい。 -
Posted by ブクログ
さすが寺島先生、重厚感のある、知識としても満たされた、満足感のある一冊です。
少し前の本ですが、今この時に読む意味のある本のように思いました。
寺島先生の原子力への主張は、一貫していてすごいと思う。
以前に、震災直後の東北の町での中継の中でもしっかり原子力維持の主張を貫いておられた。信念を感じる。
今、まさに寺島先生が経済学者を超えて、人間の道しるべとしてどのように日本人が歩むべきが示唆させれているこの姿に感慨を感じる。
ぜひ、新しい視座を与えてほしい。日本人の本当の琴線にふれる新しい時代を指し示してほしい。寺島先生の本を読んでいるといつも思うことがある。この時代に生きていて良かった。時代を交錯させて語るこの視点は今を生きる人たちに勇気を与えていると思う。 -
Posted by 読むコレ
世界を知る力と、近所の偉人の方の勧めで、購入して読んでいます。タイトルから、壮大な俯瞰力が得られそうな一冊に感じています。「世界を知る」とは、断片的な知識が、さまざまな相関を見出すことによってスパークして結びつき、全体的な知性へと変化していく過程を指すのではないだろうか?ー第四章 世界を知る力より。
元々、商社マンで、海外を赴任しながら、実践的に感じていた「世界」を、様々な視点から、書き下ろした「世界を知る」ことについての入門書かつ、読者には、いかにしてそういった視点を持ち、実践的に応用していく展開で、四十年の活動の形として世に出たベストセラーな、一冊です。 -
Posted by ブクログ
遅ればせながら寺島氏著作に触れた。アメリカを通しての視点ばかり、と云うのは明示されなくとも感じ取れてはいたが。過去自分が読んできた他書物からは拾い得ていなかった歴史、事実を知ったことは収穫だった。
以下は本文メモ。
江戸期の日露接触、平城京のユーラシア歴史的連携、国際人空海、中華民族の歴史的成果、ユニオンジャックの矢、世界を変えたユダヤ人、無から有を生み出す力、戦後中国に向かうはずだった投資支援が日本に、分散型ネットワーク時代に円融自在の東洋思想、日本はアジアとアメリカをつなぐ架け橋の役割、世界レベルのシンクタンクと通信社がない日本、過ちを繰り返しませぬからにみられるあいまいな戦争定義、agree to disagree、世界の不条理に目を向け解説ではなく行動で問題解決。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアメリカを通さずに広く世界を見る必要性、中国を「単体」で見ると問題の真髄がボケてしまうこと、日米関係を見る時に中国を見逃してはならないことなど、いずれもお説ごもっとも、という感じ。
この辺の国際関係に疎い人なら、それほどボリュームがないこともあり、1日でこうしたテーマを考えるための基礎をざっくり身につけられる、好い本ではないかと思います。逆に、ある程度知ってる人にはちょっと物足りない。
筆者が最後に、「この本は、若いゼミの学生か現場を支えるサラリーマン、時代を鋭い感度で見つめる知的女性に語りかける意識でつくられたもの」と書いているけど、確かに入門としてはこれぐらいのボリュームと内容でOK。もっと詳しく知りたければ、この本を取っ掛かりにやや専門的なテーマを掘り下げた本に行けば良し。
ただ、最後の章は余分だった気もするなー。まとめとしては必要だったかもしれないけど、言ってることは世に溢れる他のビジネス書と大差ない。
この本が書かれたのが2009年。ちょうど民主党政権が誕生し、鳩バカが首相になって「友愛」を説いていた頃。筆者は多少は民主党政権に期待していた様子。
続編が2011年9月に刊行されているけど、東日本以降となると、この本の内容を100%踏まえてもう少し踏み込んで、という構成にはなっていないと思われる。地震抜きで、民主党と中国の関係を論じた続編を読んでみたかったと思うと、少し残念ではある。 -
Posted by ブクログ
日本総研の理事長、多摩大学学長、三井物産戦略研究所会長である寺島実郎さんの書。
テレビのコメンテーターで何度かお見かけしたことがあり、著作を読んで見たいと思った方だ。
本書は、大震災により日本人が不安、苦悩、孤独感にさいなまれていることに対し、歴史を振り返りながら日本復興の方策について熱く語る。
親鸞の思想、幕末志士たちの生き様、関東大震災の教訓から見えてくる日本再生へのヒントは秀逸だ。
気になったフレーズは以下のとおり。
多くの人たちから、震災への見舞いと励ましの言葉を受けたが、彼らの目の奥に「さて、この苦難の先に日本はどこへ向かうのだろうか」という問いかけを感じた。
直結する祖先の誰一人欠損していても、わたしやあなたの生命は存在しなかった。
祖先の知恵に謙虚に耳を傾けることが、新しい日本を創生していく上で、求められているのかもしれない。
ジャンルが違う重いテーマである。けれども、わたしはなるべく、そういう依頼をことわらないようにしている。自分の思想を鍛えるいい機会だからである。
古今東西を問わず人間は、社会不安が募ると、混迷し迷走している状況を束ねてくれるような力を志向する政治思想にもたれかかりやすい。
出荷したとき一本15円のトウモロコシが、最終的に札幌大通公園で焼きトウモロコシとして300円で売られている。(のこりの285円はどこに行ったのであろうか?)
アジアのダイナミズムと向き合うことを判断の基本とすることは間違いない。
IAEAで「堺の核査察予算の3割が日本で使われている」と聞かされて、意表をつかれた記憶がある。
「日本には友だちがいないよね」(シュミット独元首相)
絶対他力という考え方を見つめて思うのは、やはり、最初から「所詮自力で努力しても無駄」と考えていたのでは、他力の偉大さに気が付かないとうことである。
こうした米国の底なしとも思えるやさしさの裏側には、「これで、日本は終わった。恐れるに値する存在ではなくなった」という、一種の安心感が潜んでいることを感じるのである。 -
Posted by ブクログ
著書が伝えたいことは?
日本人に問われているのは、根拠のない自己過信や無原則な一億総懺悔ではなく、筋道立った思考の再起動である。創造の為には、深い洞察が不可欠である。遠く時間の経過を振り返り、深く問題の本質を考える視座なくして、真の創造はありえない。その視座が、広く深いほど、未来への構想は中身の濃いものとなる。
日本の歩むべき進路は、『自立自尊』の意思を明確にすることである。
親鸞を引用し、親鸞が説く、絶対他力という考え方…衆生の救済、浄土往生は、わたしたち自力によって達成できるものではなく、阿弥陀仏如来の働きという絶対他力に委ねるほかないとする教えである。
わたしたち、日本人は、戦後、平和で豊かな国を目指して歩いてきた。しかし、3.11によって、物質的な豊かさや空虚さや平和なるものの浅さを知った。
豊かさと安易な平和を追求するあまり、自立自尊の精神を見失った。日本の基軸を取り戻すための、日本同盟の在り方、日本の外交安全保障の在り方について、考えることが、内発の起点である。
それを取り戻さない限り、日本の未来は拓けない。