寺島実郎のレビュー一覧
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東京MXの「寺島実郎の世界を知る力」は毎回必ず見ているが、
この本はその内容を何年分も集約したような、中身の濃いものになっている。
最大の論点は、「世界のGDPに占める日本の割合、明治維新の時は3%。
それが戦争直前に5%に上がり、敗戦で3%に戻る。
その後経済成長を果たし、1994年に18%とピークを迎え、
2023年に4%に落ち込んだ」という現実。
まさに失われた30年。この現実をどう見るか、これに尽きる。
このまま日本は「一瞬だけ反映した奇妙な国」で終わるのか。
アベノミクスの功罪、というより、安倍晋三という政治家の分析も的を射ている。
はっきり言ってしまえば学がない。学んでいないまま宰 -
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(2017/12/9)
寺島実郎さんがイギリスについて語った本。
ラグビーの発祥地だけに私も関心がある。
彼自身の駐在体験に始まり、
世界における歴史、日本とのかかわり、そして今ブレグジットに揺れる英国を
綴っている。
キーワードはタイトルにもある「ユニオンジャックの矢」
ロンドン、ドバイ、ベンガルール(インド)、シンガポール、シドニーが一直線につながる。
歴史的に強い影響力を及ぼし、現在も固いきずなで結ばれている都市だ。
そしてもうひとつ面白いのが「引き際の魔術師」
隆盛を誇った大英帝国が、撤退する際に、
ちゃっかりその地に影響力を残していることを指す。
日本軍の侵攻によるシンガポール -
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(2014/11/6)
podcastを通じて知った日本の知識人、寺島実郎さん。
語り口そのままの落ち着いた文章、読みやすい。
1900年という、日本が微妙な時代、
19世紀から20世紀への入り口となる年。
私もよく知る人物たちがその時代をどこでどう生きたか。
秋山真之、子規、諭吉、漱石、ピカソ、マルクス、音二郎、熊楠、明石、廣瀬、ヒトラー、ムッソリーニ、フロイト、、、
われわれにしたら偉人で通る人々も、若き日に見知らぬ土地を踏みしめ、
明日の日本を築いていった。
日英同盟、ハーグ条約と戦争。
ドイツの政治システムを模倣し、今も続く日本。
やはり日本はヨーロッパに学ぶべきなのだろう。
敗 -
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ネタバレ『ユニオンジャックの矢』で英国流の世界戦略、『大中華圏』でアジアで力を持つ華僑パワーを記述し、続く本書が3部作の完結編という位置づけです。世界に広がるユダヤ・パワーに焦点を当てたもので、著者が三井物産時代の体験も踏まえており、大変興味深く読みました。
いわゆる「ユダヤ陰謀論」とは全く異なり、帯にあるとおり、「体験的ユダヤ・ネットワーク論」。やはり、世界の要所要所にユダヤ・パワーありということがよくわかります。石油ショックの時に、富士重工業のみがアラブ市場を捨てて、イスラエルへと進出したことから、ユダヤ人には「スバルはベンツと並ぶ名車」と語られ、「スバルの星はダビデの星につながる」と、いま -
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2020/04/28寺島実郎日本再生の基軸
日本の世界におけるシェアを占める地位
1988年は16% 2018年は6%に下落2050年には1.8%になると言う三菱総研男
アベノミクスはマネーゲームであり実業である産業と技術そして研鑽と蓄積を直視しない
リーマンショック後の金融資本主義債務の肥大化資本主義の死に至る病
IT革命は世界を救えるか?
日本の内向今ここ私
次の時代を見据えて大きな構想が必要
勤労者世帯可処分所得のマイナス
1997年がピーク2017年は760,000円も低い楼台6労働分配率の低下と社会保険料等の増加社会負担の増加によるこれでは個人消費は伸びない
不自然な株高は持続しない -
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ネタバレ世界の事情…それはアメリカだけではないんですよ。
その他の世界をいかに知るかが
視点を広げることにもつながるのです。
著者はそんな世界の荒波にもまれた方です。
何せ情勢の大変に悪い
中東に赴くことになったのですから!!
(そこで行われていたプロジェクトはいろいろな問題から
巨額の損失で終わってしまいます…)
悲しいことに著者はそこで
情報の大事さをいやというほど痛感するのです。
世界を知るためのアドバイスとして
本を読んで視点を広げることを上げています。
実をいうとこれに似た手法、使っています。
ものすごく時間はかかりますが、視点が広がり
共通項も出てきたりと面白いですよ。
読めて非常 -
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"これから社会に巣立つ学生に向けた人生訓。社会に出てさまよっている人にもお勧めの本。
大学生になった甥っ子に進呈したいと思った。
世の中の読み方の一つを学べる。たとえば、アメリカという国を知りたいと思ったら、日本とアメリカ、中国とアメリカ、韓国とアメリカというように様々な国々との関係を見つめるということを言っている。
日本という国が世界でどのように見られているかも意識して生きていかないといけない。
特に、今後企業はグローバルな市場でビジネスを進めていくことになるし、国内にいてもコンペチターは諸外国企業だ。広く世界の動きを見つめて自分がどんな立ち位置にいたいのかを決めること。そのうえで -
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【広く,深く,また広く】エネルギー問題を端緒として国際情勢分析に向き合い始めた著者が,自身の歩みを記しながら,中東地域を始めとする国際情勢の行く末を見通した作品。著者は,三井物産戦略研究所会長や日本総合研究所会長を歴任された寺島実郎。
中東や国際情勢を知るための本という側面もありますが,それ以上に,中東地域に日本として政治的に関わり始めざるを得なくなった世代の第一人者が,どのように中東や国際情勢を捉えていたかという点を知るために最適の一冊。日本の外交に関する見方に関しては賛否が分かれるところもあるかと思いますが,歴史的資料としても今後用いられることになるのではないかと思います。
〜歴史に -
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団塊の世代がこれからの日本の重要な役割を積極的に担うことが肝要であること説いている好著だ.筆者と同い年なので,数多くの記述に納得できるものがあり楽しめた.アジアの中で日本が"浩然の気"を持つだけの素地はあるが,そこまで到達していない要因を,この世代がもつ"私生活主義"と指摘しているのも肯ける.食料の自給を最後に取り上げて,「食・農」がこれからのキーワードとしているのも,適切な着眼点だと感じた.1945年にタナボタ式に与えられた民主主義を美濃部達吉らが正当に理解していなかった事実は,未だに憲法を理解していない現総理の言動を示唆しているようだ.
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【本の内容を一言で】
偏った世界観だけでなく、違った目線から世界を「能動的に」知る必要性がある!
【内容まとめ】
1.「アメリカ・フィルター」通しの偏った世界観だけでなく、違った目線から世界を知る必要性がある!
2.「ペリー来航」が近代史の始まりではない!
3.中国をバカにしてはいけない。見習うポイントは勿論、多大なる恩があの国にはある!(ただ心酔しても駄目、やられる。)
4.agree to disagree:「賛成はできなくても、相手の主張の論点は理解した」という姿勢
5.マージナルマン(境界人):複数の系の境界に立つ生き方
【感想】
7年前にリーダーから教えてもらった本で、未だに -
Posted by ブクログ
著者の「世界を知る力」に引き続いて読んだので、多少重複部分はあったが、またしても今までの自分の価値観に照らして腹落ちした部分が多く、自分の人生観を検証する意味でも、いい読書でした。
そのポイントは、一つは「素心」でいること。何事も、謙虚さを持って、ヒトや物事に対面することの重要性。
もう一つは「情報」の解釈として、「情けに報いる」ということ。当然ながら、ヒトとの情報共有の前提として、いかに相手を信頼できるかということ。本書で明記している「こいつには、他のヒトより早く本気で伝えてやろう」と相手に思わせる人間的魅力をつけること。
この言葉には、身震いさえしました。
私も、人間的魅力と高尚な知性を兼 -
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自分の目で見て、現場に行って声を聞いてくること。観察すること。それによって見えてくる。どちらにしてもフィルターがかかるが、アメリカというフィルターなしでみられれればそれにこしたことはない。
1805年に通商関係をロシア側の要求を断って、蝦夷地域(今の北海道)の警護を命じているところがすごい。
そして1806-1807年に度々ロシアの船が樺太、利尻などに来航すると。そしてウラジオストックって訳すると「東を征服せよ、支配せよ」って意味ってすごいなあ。
それとあわせてどんどん北海道を屯田兵という形で開拓し、極東ロシアも1)農業移民という形2)ロシア革命の見せしめ 3)ヒトラーのソ連侵攻の見せしめ の