【感想・ネタバレ】中東・エネルギー・地政学―全体知への体験的接近のレビュー

あらすじ

三井物産に入社して以来、イランでのIJPCプロジェクトをきっかけに
中東、アメリカを中心に欧州など、世界と深く深くかかわってきた著者が、
自身の過去を語りつつ、いま世界で何がおきているかを整理する。

戦後、海外派兵をしなくなった日本で、ピーク時は3500人もの邦人がイランで働いていた
三井物産のIJPCプロジェクト。

イラン革命、イラン・イラク戦争の荒波に翻弄され、そのとき
世界で何が起きているのかを現地で調査するところから、
寺島氏の情報収集活動が始まった――。 そうして形成されたインテリジェンスが、
現在の知的活動を支えている。

寺島氏の経験を追体験することで、エネルギー面で見た戦後日本の歴史と、
これからの日本のエネルギー政策、中東との関わりがどうあるべきか、気づきを得られる。

宗教対立、グローバル・ジハード、エネルギーとしての原子力、アメリカの外交政策など、
現代を動かす重要な要素のそれぞれがどう絡み合っているかを読み解いていく。

21世紀の経済社会を生きる人へ、現場からのインテリジェンスに基づいた世界認識を示す。

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Posted by ブクログ

【広く,深く,また広く】エネルギー問題を端緒として国際情勢分析に向き合い始めた著者が,自身の歩みを記しながら,中東地域を始めとする国際情勢の行く末を見通した作品。著者は,三井物産戦略研究所会長や日本総合研究所会長を歴任された寺島実郎。


中東や国際情勢を知るための本という側面もありますが,それ以上に,中東地域に日本として政治的に関わり始めざるを得なくなった世代の第一人者が,どのように中東や国際情勢を捉えていたかという点を知るために最適の一冊。日本の外交に関する見方に関しては賛否が分かれるところもあるかと思いますが,歴史的資料としても今後用いられることになるのではないかと思います。

〜歴史に向き合ってきて,私の心にある確信のようなものが芽生えてきている。それは,いかなる曲折を経ようとも,結局のところ,歴史は条理の側に動くということである。〜

自分があまり多くは読まないタイプの視点だったかも☆5つ

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2018年09月19日

Posted by ブクログ

 この本は「戦後日本 = エネルギー = 中東 = 中東史」の相関を探りその重層的理解のための試みで、そこから見えてくる日本という国の構造を直視することを、筆者は時代の目撃者としての責任として最後に述べている。報道だけでは捉え切れない事象を理解する上で貴重な一冊と言える。

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

スエズ運河の下には地下道が掘ってある。つまり、ユーラシア大陸とアフリカ大陸はトンネルでつながっている。公然の秘密ともいえるが、エジプト領のシナイ半島とガザ地区は地下トンネルでつながって、ガザ地区の命綱となっている。
イスラエルへ戻ったユダヤ人の多くはウクライナからだった。
イラン・イラク戦争のときに残った日本人は、自衛隊が助けにきてほしいなどと思ってはいなかった。日本はそういうことをしない国になったと腹をくくっていた。

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2016年12月07日

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