寺島実郎のレビュー一覧
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本書を読んで、著者の視点の高さを賞賛したい。ロシアのサンクトペテルブルグ大学日本語学科の母体となった日本語学校が設立されたのは1705年と言う事実の紹介。1792年にロシアの女帝エカテリーナ2世が日本に派遣した遣日使節。現在とはまったく違う風景の世界を紹介する視点は、実に興味深かった。
「大中華圏(グレーターチャイナ)」については、著者の他の著作でも読んではいるが、その視点は実態を正しく表現していると感じたし、「ユニオンジャックの矢」についても、今でも国際社会で存在感を示すイギリス連邦のあり方として、おもしろく読めた。
民主党鳩山政権発足直後の著作であるために、「友愛」「東アジア共同体」 -
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自分の意見をしっかり形成していくためにはこのように勉強していくのだ、というとてもいいお手本になると思いました。
「(3.11のような)絶望的な状況に直面し、無力さを自覚し、瞬間的には打ちひしがれてしまったとしても、自力でとことん突き詰めてきた人には、必ず他力の働きが、闇夜のなかの一点の光明として浮かび上がってくるということだろう」と筆者は浄土真宗の他力本願の意を解して、日本人の魂の基軸を呼び覚まそうとしている。このほか夏目漱石だどか、先人の貴重な教えをうまく引用し、今の国難にどう立ち向かっていくかを力強く主張されています。東北復興に関しての具体的な対応が述べられているわけではありませんが、すく -
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ネタバレ東日本大震災から東北とそして日本がどのように復興するかを考える本。 復興を考える場合、ビジョンとともに基底となる考えが必要とするならば、それは親鸞の魂であると説明する。親鸞は悪人も善人もナムアミダブツと唱えれば救われると説いた。自分の力ではどうしようもなく、他力に頼った昔の時代背景と、大震災を体験した現在は似た境遇にある。
具体的な政策提言
・太平洋側の県と日本海側の県が経済的に協力をする。(例:新潟県と福島県)アジア経済圏に近い日本海側地域の活性化と太平洋側の被災地域の復興を同時に進める。
・首都機能の移転。移転先を東北地方とし、復興のシンボル真剣度を世界に示す。
・原発の稼動が難しい状況 -
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ネタバレ鳩山元首相の外交ブレーンとされている氏。氏の簡単な寄稿を集めた書物。第三章以降に氏の安全保障に関する意見が書かれている。けして、氏に対して批判的するつもりはない。理論と文章は美しい。しかし、どこか文学的である。
氏の論理の引用
1 単純な「反米 嫌米」でもなく、しかも安直な現状延長でもなく、主体性と自尊をもって米国との関係を正視して再構想する責任が(団塊世代には)ある
2 米国の世界戦略展開の一翼を担う存在として生きるのか、それとも日本独自の創造的進路を構築するのか、選択と結論を出す責任が(団塊世代には)ある。
ここだけみると、憲法改正論と思われるが、実は違う。以下が文学的と感じる箇所 -
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ネタバレ[ 内容 ]
戦後まもない時代に生まれ、国際ビジネスの第一線で活躍してきた著者は、自らが属する団塊の世代についても思索を続けてきた。
本書は、その思考の軌跡を十年の節目ごとに振り返ったものである。
団塊とは何か?
われわれは経済的な豊かさを超えた価値をいかに創造しうるのか?
二〇〇七年問題ともいわれる高齢社会の一大転機を前に、日本の未来の座標軸を再定義する。
成熟型の時代状況のなか、悪しき私生活主義や偏狭なナショナリズムに陥ることなく、社会へ主体的に参画する意思を問いかける。
[ 目次 ]
第1章 一九七一年五月 全共闘運動の余燼くすぶるキャンパスにて―政治的想像力から政治的構想力へ
第2章