あらすじ
冷戦の終焉から20年が経過した今も、日本人の多くは冷戦型世界観と思考様式に呪縛され、その先に歩み出せずにいる。「アメリカを通じてしか世界を見ない」習性からいかに脱却し、世界の現実と向き合うのか。自らの生きた戦後日本を徹底的に問い直す思索を通じて、あるべき時代の構想を提起する、『世界』好評連載の第3弾。
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Posted by ブクログ
現在の「政治・経済」を扱っている書はあまたあるが、やはり本書は読み応えがある。
「経済」における「直面する危機」や「政治」における「日米同盟」についての多くの考察は、著者が「脳力のレッスン」というだけに、どう考えたらよいのかという多くの指針を含んだものとなっている。
もちろんすべて全面的に賛同できる内容ばかりではないが、一般にマスコミで流される表層的な情報にとどまらず、確かに一段と深い考察であると思う。
著者の「立ち位置」は、かつては「右」と思われていた位置であるだろうが、世の中全体の価値観が右に移動した結果、今では「中道左派」になるのではないだろうか。
著者の主張は「大中華圏(グレーターチャイナ)」とあるように、一見「親中」にも見られるから、現在ではやや影響力も落としているかもしれないが、本書の日本の過去をも含んだ考察満載の「時評エッセイ」は、読者を多くの深い思考に誘ってくれるという意味でも高く評価したい。
Posted by ブクログ
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