石黒正数のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
石黒正数『木曜日のフルット』第2巻。
こういうマンガに出会えることの幸せをどう表現したらいいんだろうな。
これほど登場人物ひとりひとりに細やかな愛情を注ぐことのできる作者、
物語の犠牲にしない作者って、たぶんそうそういないように思う。
世界のあちこちで泡立つ小さな物語(わずか2ページ!)が、
1冊に纏まるとまるで群像劇のように読めてくる不思議。
欄外の細かな仕掛けが、リアルな世界にもその泡立ちが続いていることを予想させる。
こういうの、たぶん小説にはできないし、
あるいは長編マンガというスタイルでも無理だろう。
このペースなら2年に1冊くらいかな。
石黒せんせいには息長く描いてほしいず。 -
Posted by ブクログ
ミステリーっぽい話とSFっぽい話の集まった短編集なんだけど、全体とおして話がつながっている。で、その構成が上手い。
最初、明らかにコメディ調の謎解き話ではじまり、中盤すぎまでその調子でいくのだけど、途中から雲行きがあやしくなる。各話が舞台設定だけでなく、筋として繋がっているらしいことに気がついて「えっ・・・」となり、徐々に伏線が回収されていくにつれ、とんだシリアス展開に。「え」どころか、息を呑むようにして一気に結末へもっていかれます。
まとめると、以下3点があり、エンターテイメントとして優れた作品だと思いました。
・短編集としての入口と出口での驚くべき(良い意味で)空気の違い.
・初〜中盤で