あらすじ
大学の女子寮で同室の先輩・鯨井ルカ&後輩・入巣柚実。バンド活動に打ち込む先輩は、いつも金欠ピーピー状態。これといって打ち込むもののない後輩はバイトの日々……。ぬるま湯に頭まで浸かったような、でも当人にはそれなりに切実だったりもする「大学生」という不思議な時間――。ぐるぐる廻る青春のアレやコレやを描いた大学生日常ストーリー。
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2025年に実写映画化予定
大学生のモラトリアムを描いた傑作青春漫画です。
女子寮で同居する先輩・鯨井ルカと後輩・入巣柚実のゆるい日常と、バンド活動や恋愛を通じた成長がコミカルかつ切なく綴られていきます。「駄サイクル」と呼ばれる停滞感や将来への不安を鋭く捉え、ルカの夢追いと柚実の無気力が交錯する人間ドラマが心を打ちます。
各話のしりとり形式のタイトルや伏線も巧みで、読後には希望と寂寥感が残る作品となっています。
2025年に実写映画化される隠れた名作ですよ。
素敵な短編
木曜日のフルットの先輩の
もう一つの世界に思えました。
石黒先生の描く少しトリッキーな行動と
繊細な心理描写のバランスが素晴らしい。
Posted by ブクログ
石黒さんの漫画なにげに初めて読んだけどめっちゃ面白かった! これ大学生の頃に読みたかったな〜〜〜(けどそれだと進路のこと余計に思い悩んじゃうかな…)
コメディがうますぎる。とりあえず(女性が男性を)物理的に殴っておけばなんとか(いい感じのプロットに)なる、という作家性。萌えキャラカーナビ男最高。
最後はある種残酷な、あの2人の先輩-後輩関係の交換可能性の提示とも読めるが、しかしルカ先輩のほうには(多分)そういう失踪した先輩はいないだろうから、最後まで彼女らの特別性を肯定しているとも解釈できる。
自分はもう「駄サイクル」を揶揄する側にはいなくて、自分の居心地のいいコミュニティを見つけられて、部外者には迷惑をかけずにそれなりに幸せな生活を送れているのなら万々歳じゃん、心身の健康がいちばん! とむしろ肯定しちゃう(どころか羨んじゃう)側の人間になってしまった。つまりは青春期を抜けて「大人」になったのだとよく分かった。達成すべき「夢」の存在よりも、サスティナビリティのほうが大事だよね!
でも、決められた枠をぶち壊して、ステージを降りて、われわれ読者の前からその姿を消す先輩の行動から、痛快さと勇気を受け取れる心くらいはまだ残っているよ。
日常ものであり、同時を夢追い人の物語でもある。
等身大の大学生を上手くかけていて、本当にどこかにいそうな、そんな不思議な感じがします。
1巻で終わっていますがこれで満足する。それ以上もそれ以下も必要ない、完璧な作品だと思いました。
Posted by ブクログ
これは...傑作!
何者かになりたい若者と何者になればいいのかわからない若者の話
寮住まい貧乏大学生女子二人の温くて楽しい日常、しかし垣間見える、自身の有り様についての葛藤
なりたい自分になるのは人に、周りに、世間に承認されることなのか。それとも。
そこはかとなくやる気のようなものをもらえる一冊。
絵がシンプルな描線ながらすごく上手いのが説得力を生んでいる。
Posted by ブクログ
ザ・モラトリアム。
何かしなければいけないと思いながら、なんとなくその場しのぎの時間の過ごし方をしてしまって、自分と周りを比べて、考え込んでいるフリをして、自分はまだ大丈夫と言い聞かせるような。
ネルムバカの歌詞が有名になった自分がこのままでいいのかという確認になってるねんなー。
理想と現実の狭間でみんなもがいてるんよなー。
Posted by ブクログ
それ町やフルットから石黒先生を知って、今回短編を初読み。
ラストは非日常な感じですが、やっぱり日常を丁寧に描くのがうまい先生だなあ。
誰もが持つかも知れない悩みや負の感情、前向きな気持ちなんかを、面白おかしく描いています。
Posted by ブクログ
”ぐるぐる回り続けるだけで一歩も全身しない駄目なサイクルのこと”
"輪の中で需要と供給が成立しちゃってんだよ。自称ア〜チストが何人か集まってそいつら同士で 見る→ホメる→作る→ホメられる→ を繰り返しているんだ"
"それはそれで自己顕示欲を満たすための完成された空間なんだよ"
Posted by ブクログ
「駄サイクル」には、
私の中で思い当たるところがありました
自己満足や仲間内での誉めあい
で満足しているところがあると思います
それと、一巻完結で清くて好感を持ちました
画も好みなので他の作品も読んでみたいです
Posted by ブクログ
この一冊で終わってるけど、寂しいとは思わない。一本のお話。これで完結。最後のエンディングは、いろんな見方があると思う。大好きな昔ながらの邦画の匂いがするし、漫画らしいよさもある。素晴らしい作品。
Posted by ブクログ
ふたりの大学生の女の子と、たまに男の子。
日常漫画とはすこし違うかなと思うけど、妙にリアル。その中に非現実的な要素が混ざっていて、とても楽しめました。
Posted by ブクログ
「それでも町は廻っている」などもそうだけれど、石黒先生の作品を読んだときは、たいてい嫉妬の炎がめらめらと燃え上がる。
時間があるけど、お金がない。承認欲求は満たしたいが、行動に起こす勇気とやる気が無い。身内同士で褒め合って需要と供給が満たされる駄目なサイクル(駄サイクル)から抜け出したい。
そんなモラトリアムなグダグダ感と、焦燥感に振り回される、生活が描かれていて好きだ。
Posted by ブクログ
これは可愛い大学生の女の子が登場する日常系ギャグマンガかなーと軽い気持ちで読み始めたら、先輩が語るモラトリアムについてのセリフが心にグサグサ刺さる刺さる。ラストエピソードでは思わず涙してしまった。バカだった学生の頃の自分に読ませたい。
「外天楼」とこの作品を読んで確信した。石黒正数は天才だと。
Posted by ブクログ
昔兄が買った本で読んでたのにあの時は全く覚えてないし、セリフも頭に入らなかった。
今読み返せばこそ、学生も終わり社会人になったからこそ、モラトリアムの中の哀愁と取り戻せない時間と何かを諦めてしまった自分がいたのかもと思ったり思わなかったりする。
そして8割の人間であったこと、まさにこのセリフが芯を食いすぎてる。
同じことを考えることも増えてきた中この本を読んでいたこと存在を覚えていた事。ぐんぴぃのレビュー動画見たさに再度見直して良かった。
やりたいことのある人とやりたいことがない人の間に
何かしたいけど何ができるのか分からない人ってカテゴリーがあって8割方そこに属してると思うんだがね
人それぞれのベクトルで、皆、自分じゃ普通だと思ってんだよ。私から見ればお前も相当変だよ。
ある程度まで行った所にめちゃくちゃ硬くて厚い壁があるんだ。どれくらいの厚さかもわかんない壁が……。それをどうにかするために、皆切磋琢磨してんだ。でも、時々天才と呼ばれるやつが現れて、いともあっさり壁を超えていく。もしかしたらそいつらは最初から壁の向こうに生まれるのかもしれない。そう思うとアホらしくなってくるわな。
妄想ってのは妄想の中でウソを演じてる限り、絶対実現することはありえないの。
あーーー、駄サイクルだねー。私の造語。ぐるぐる廻り続けるだけで一歩も前進しない駄目なサイクルのこと。輪の中で需要と供給が成立しちゃってるんだよ。自称ア〜チストが何人か集まって、そいつら同士で見る→ホメる→作る→ホメられる、ーーを繰り返しているんだ。それはそれで自己顕示欲を満たすための完成された空間なんだよ。
デカすぎる目標を立てるのは何も出来なかった時のカモフラージュかもしれないけど、やりたいことがないって公言するのも、何も出来なかった時の言い訳なんじゃねぇ?
「色恋にうつつをぬかすのが面倒になるほど熱中出来る目的があるんですね。」
「オメーはねーのかよ」
「いや〜私…何やりたいんだろ?」
「別に…特技もないしー」
「ヘタに大学入って時間出来た分 余計分かんなくなったよな~」
目下の予定といえば ただ なんとなく卒業して… なんとなく就職して
そんでなんとなく結婚して
流行ってる本読んで
流行ってるドラマ見て
流行ってる音楽聴いて
流行ってるスポーツ少年に夢中になって
流行ってる楽器でも習って 2ヶ月でやめて
そんな普通の人生送るしかないな!
あああ すごい嫌なのに
そんな人生ならリアルにイメージ出来る!!
俺なんて…先輩にフラれた今
車で旅して
ナビ子の服をコンプリートするくらいしか…
Posted by ブクログ
石黒正数の漫画を初めて読んだ。あっさりしたキャラクターの描き方が青年誌っぽくて好み。
セリフ回しが浮遊感があってよい。先輩のグサっと刺すようなセリフもいいし、入巣や同期の男たちのふわふわした会話も面白い。
どちらかというと、ステージで輝く先輩をみて焦る、入巣の方に感情移入してしまうけど、自分の限界を感じながらもがいてる先輩のキャラクターも良いなと思った。
ずっと格闘していた壁の穴の凹みを横目に、ドアを開けて向こう側へ行く先輩のシーン、すごい。
なぜか惹きつけられて読み切ってしまった。
映画も観たいと思う。
真っ当な青春もの
主に女子大生お2人の話で、モラトリアムの話ではあるのでしょう。紙魚丸氏の「惰性67パーセント」みたいな部分もありますし。
後輩の入巣さんに感情移入する読者も多そうです。多くの人は、自分に何が出来るか、分からぬままのような気もしますし。(そういうのを探ろうとも思わない)
先輩のルカさん、もしかしたらレールに乗ったまま突っ走っていたらもっと先まで行けたかも知れませんが、やはり良いものと売れるものって違うかも知れませんので……
駄サイクル、にも身につまされるものがありました。再読したい作品です。
Posted by ブクログ
それ町とまったく同じくたんたんとした調子が
後半先輩の立身出世も一周まわって逆に味わいぶかい
顔芸にせよ情景描写にせよ
うすいというかわざとというか作風なのだろうけれど
持ち味の活かし方は上手い
大友克洋初期作品が懐かしい
Posted by ブクログ
写実的なような戯画的なような、何だかヘンテコな作品。クリエイティブや生活の捉え方がテーマになってはいるけれど、フワフワッと核心には踏み込まずにモラトリアムが描かれていて、独特の質感があった。そのおかげか、白昼夢みたいなラストのぶっ飛び展開も「まぁ……アリかな?」って許せそうになる不思議……。ネットの記事で「駄サイクル」の部分だけ先に知っていたけれど、なんだよ結構いい話が後ろに続くじゃねえか!「駄サイクル」なんて毒を吐いてみたところで、私たちはいつでもその輪の中に守られている。しりとりで終わるサブタイトルにグッとなった。
Posted by ブクログ
モラトリアムを主軸にしつつも、イライラさせない完成度が素敵。キャラクターは相変わらず愛くるしく、著者ならではの立体感のあるナラトロジーが凝縮的に楽しめました。
Posted by ブクログ
"それ町"とあまり変わらない感じかな〜と思っていたら、結構しっかりした青春モラトリアム物語でした。
夢が有ろうと無かろうと"何者"かになりたいと足掻く苦しさは同じですね。"駄サイクル"…痛いです。でも否定はしたくないかな? 自称アーティストで身内ウケしかしなくても、創作の楽しさを感じることができるのなら、それはそれで良いと思います。
Posted by ブクログ
大学生には一度読んで欲しいと思う。夢を実現する岐路の選択。作中に出てくる駄サイクルという造語は良かった。主人公の選択と結末が、読んでいて胸に穴が空くような気分でした。
Posted by ブクログ
石黒読み切りシリーズ第2弾として購入。女子大生として寮に同居する春香と夢を追う鯨井先輩のお話。二人のやり取りに笑い、なんだかんだで優しい先輩にほっこりしながらも、別れの時は突然訪れる…1巻のみなので尺として仕方ないことだけど二人の話をもっと読みたかったなぁって思える話だった
Posted by ブクログ
女子大生二人のリアル?な青春。「それ町」の歩鳥と紺先輩ぽい、あの掛け合いが好きな人は◎。
百合っちゃ百合かもしれないがキャッキャウフフなファンタジーじゃなくて生活感溢れる感じ笑
この作者さんの女子描写は、少年マンガにありがちな女子への過度な美化やあこがれが殆ど無く、
所帯じみててリアルな姿を描いているが寧ろそこがカワイイとか思ってそうで好感が持てる。
ラストはちょっと出来過ぎ感がある一方で、ひょっとして作者自身が感じた思いを描いているのではという気もする。
Posted by ブクログ
未レビュー消化。自分になにができるのか、自分の位置や目標いろんなモヤモヤを描いてる作品。田口の友達のセリフのひとつひとつがこの作品で言いたいことなのかなと思いましたが、それがわかったところで解決する問題でもないなとグルグル考えさせられるストーリーでした。
Posted by ブクログ
大学時代のもやもや。これなんだよなぁ。
入巣ちゃんかわいい。先輩かっこいいです。
しかしラストシーンの後、先輩が債務不履行で損賠請求されてるんじゃないかと心配してしまう私は一応法学部生なんだな、と思った笑
Posted by ブクログ
それ町から作者にはまり、響子とお父さんをよんでからのネムルバカ。内容的に、前出の二作品とは趣が違うように感じる。怠惰ながらもがいている感じを描いている。おもしろさのベクトルが異なるが、センチメンタルな時期にもってこいな感じ。
Posted by ブクログ
一緒に住んでる音楽やってる先輩が突然ビックになっちまうってどんな感じなんだろうな。
嫉妬とか憧れでもなく失望してたら最後にやりやがったなって言う展開が気持ちいい。
Posted by ブクログ
一見ふつうそうな後輩、一見エキセントリックな先輩。
実は中身は逆さまで、先輩は堅実に壁を掘っていた。
壁、意外に柔らかく、掘りかけの穴の隣りにドア。
この場面が素敵。
そしてラストもぐっとくる。
Posted by ブクログ
マンガ好きの間では評価の高い作品で、評価される理由はなんとなくわかるし、実際普通に面白い。が、個人的な趣味からすれば買うほどでもなかったかな、という感じ。
Posted by ブクログ
「駄サイクル=ぐるぐる廻り続けるだけで一歩も前進しない駄目なサイクルのこと」
「それ町」では肯定的に描かれている日常のサイクルがこの作品では否定的なものとして描かれている。これが高校生と大学生の違いでありモラトリアムの存在の有り無しだ。
それにしてもこのネムルバカ、よくわからない。
よく分からないながらも考えてみると、気になるのはネムルバカを歌い終わった後にルカと入巣が同じ目線に立っている場面。この場面は入巣視点であり、とすると、ルカの意味のないセルフテロを見て、入巣は、今まで自分より高い所に居たルカも実は自分と同じ様にモラトリアムに悩まされているのだと気付いたのではないか。だからこその、こういう同じ目線に立っているこの場面であると思う。
ルカが「駄サイクルはどこにでもある」と言うように、この時期は何をしても駄サイクルに感じ満足できない、つまり、「やりたいことのある人」も「やりたいことがない人」も「何かしたいけど何が出来るのか分からない人」も皆、駄サイクルに苦悩している。それがモラトリアムという時期であり大学生という時間だ、こう言う事を作者は伝えたかったのではないかと思う。
それと、各話のタイトルがしりとり形式になってる。「ネムルバカ」→「バカショージキ」みたいな。目次の横にタイトルのサイクルがありなんとなく駄サイクルを彷彿させるが、最後の「ゲンキデネ」と最初の「ネムルバカ」は繋がっていない。「駄サイクル=ぐるぐる廻り続けるだけで一歩も前進しない駄目なサイクルのこと」とルカは言っていたが、「一歩も前進していないように見えるが廻り続けているわけではない、少しずつでも進んでいる」と言う作者なりのメッセージのようにも受け取れた。
最後にもう一つ。「最後に先輩が私に何か言ったように見えた」てあるけど、これは何だろう。やっぱりタイトルの「ゲンキデネ」だろうか。