あらすじ
大学の女子寮で同室の先輩・鯨井ルカ&後輩・入巣柚実。バンド活動に打ち込む先輩は、いつも金欠ピーピー状態。これといって打ち込むもののない後輩はバイトの日々……。ぬるま湯に頭まで浸かったような、でも当人にはそれなりに切実だったりもする「大学生」という不思議な時間――。ぐるぐる廻る青春のアレやコレやを描いた大学生日常ストーリー。
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Posted by ブクログ
石黒さんの漫画なにげに初めて読んだけどめっちゃ面白かった! これ大学生の頃に読みたかったな〜〜〜(けどそれだと進路のこと余計に思い悩んじゃうかな…)
コメディがうますぎる。とりあえず(女性が男性を)物理的に殴っておけばなんとか(いい感じのプロットに)なる、という作家性。萌えキャラカーナビ男最高。
最後はある種残酷な、あの2人の先輩-後輩関係の交換可能性の提示とも読めるが、しかしルカ先輩のほうには(多分)そういう失踪した先輩はいないだろうから、最後まで彼女らの特別性を肯定しているとも解釈できる。
自分はもう「駄サイクル」を揶揄する側にはいなくて、自分の居心地のいいコミュニティを見つけられて、部外者には迷惑をかけずにそれなりに幸せな生活を送れているのなら万々歳じゃん、心身の健康がいちばん! とむしろ肯定しちゃう(どころか羨んじゃう)側の人間になってしまった。つまりは青春期を抜けて「大人」になったのだとよく分かった。達成すべき「夢」の存在よりも、サスティナビリティのほうが大事だよね!
でも、決められた枠をぶち壊して、ステージを降りて、われわれ読者の前からその姿を消す先輩の行動から、痛快さと勇気を受け取れる心くらいはまだ残っているよ。
真っ当な青春もの
主に女子大生お2人の話で、モラトリアムの話ではあるのでしょう。紙魚丸氏の「惰性67パーセント」みたいな部分もありますし。
後輩の入巣さんに感情移入する読者も多そうです。多くの人は、自分に何が出来るか、分からぬままのような気もしますし。(そういうのを探ろうとも思わない)
先輩のルカさん、もしかしたらレールに乗ったまま突っ走っていたらもっと先まで行けたかも知れませんが、やはり良いものと売れるものって違うかも知れませんので……
駄サイクル、にも身につまされるものがありました。再読したい作品です。