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主人公のフルットは、人間に餌付けされつつ自称「野良」の半端な猫である。エサをくれる一応の飼い主は鯨井先輩。安アパートに居を構え、ギャンブルに興じるちょっぴり残念な大人の女性だ。
フルットの自由気ままで時々シビアな野良猫生活と、鯨井先輩のやっぱりちょっぴり残念な人間生活が、独特の画風と視点で描かれる。
私のおすすめは、1巻で野良仲間と釣りをする話。川底に釣り針が引っかかり、「おれは地球を釣ってしまったということか!?」と妄想。釣り上げると地球が太陽に飲み込まれるし、離すと下に落っこちるし…と、恐怖に震える姿が愛らしい。
釣りの最中に針が川底に引っかかるなんてよくある話だが、それがフルットの視点を通すとこんな物語が広がっていくのかと驚かされる。さらにわずが2ページでオチをつける構成力にも脱帽。読み終わる頃には誰もが、普段の日常の中に潜む想像力の種を、探したくなってくるはず。
フルットが可愛らしいです。じたばたしてるところとか、飼い主が倒れて鳴いてるところとか。なかなか独立心のある、半野良猫フルットに、飼い主?のダメ人間鯨井先輩の、クスッと笑える日常生活の漫画です。
Posted by ブクログ 2012年04月21日
石黒正数『木曜日のフルット』第2巻。
こういうマンガに出会えることの幸せをどう表現したらいいんだろうな。
これほど登場人物ひとりひとりに細やかな愛情を注ぐことのできる作者、
物語の犠牲にしない作者って、たぶんそうそういないように思う。
世界のあちこちで泡立つ小さな物語(わずか2ページ!)が、
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