ぶくまる – 書店員おすすめの漫画・本を紹介!

書店員が選んだ「本当に面白い漫画・本」をご紹介!

【ねこ好き必見】最高に可愛くて癒される!おすすめ猫漫画19選

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※2019/10/10更新: 『おじさまと猫』・『まめねこ』・『カボチャの冒険』の3作品を追加しました。

猫、なんと言う魅惑的な生き物。そのツンデレぶりに日々振り回されている方も多いのではないでしょうか。

今回は、猫好きな書店員が選んだ、おすすめの猫漫画をご紹介します。コミックエッセイのような作品から、クスッと笑えるギャグが楽しい猫まで、バラエティに富んだ19作品。笑えてほっこりして、時にウルッとさせられる、癒しの猫漫画をお楽しみください。

また、リンク先の電子書籍ストアBookLive!では、新規入会者限定の50%OFFクーポンを差し上げています。気になる作品にご利用ください。

目次

ぽんたの自由奔放な行動に振り回され続ける『鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!』

鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!

『鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!』 1〜3巻 鴻池剛 / KADOKAWA / エンターブレイン

Twitterで100万以上のフォロワーを持つ作者による実録漫画。2巻まで発売されている単行本には書き下ろしパートもあり、こちらもヒット作になっています。

1巻は「2年前から飼っている猫の遊び方がおかしい」という、作者のつぶやきからスタートします。それは猫じゃらしの遊び方のこと。フワフワした部分をガブッと噛んで走り出し、床に棒をカリカリさせて楽しんでいるのです。そんな猫の一人遊びをじっと見つめる作者は、困惑のあまり表情を失っているのでした。

猫の名前はぽんた。そう簡単には人間の思惑通りに動いてくれないツンデレで、意外な行動に作者はいつも絶句するばかり。ぽんたの行動も面白いのですが、それに対する作者のリアクションが輪をかけて面白く、爆笑というよりも、じわじわと笑いがこみ上げてくるタイプの作品です。時折、写真が挿入され、リアルぽんたの姿が見られるのもポイント。漫画と同じ表情をしているので、ここでもおかしさがこみ上げてきます。

1巻の書き下ろしでは、ぽんたを飼い始めた顛末が初めて語られることに。また、2巻になると子猫のアルフレッドが、新たに家にやって来ます。もちろん、ぽんたが最初から仲良く接するはずもなく、2匹との同居は狂騒状態。果たして2匹は仲良くなれるのか、作者の気苦労はどこまで続くのか? 猫という生き物の気まぐれぶりを、これでもかというくらい味わえる作品です。

『鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!』を試し読みする

猫の面白い生態が分かる、ほのぼの系エッセイコミック『うちの猫がまた変なことしてる。』

うちの猫がまた変なことしてる。『うちの猫がまた変なことしてる。』 1〜4巻 卵山玉子 / KADOKAWA / メディアファクトリー

アメーバブログの「猫との生活」ランキングで1位の座を守り続ける人気ブログの書籍版。ウェブ未発表のエピソードもあり、ファンからの高い評価を得ています。

内容は、作者と2匹の猫・トンちゃんとシノさんとの日々をつづる、ほのぼの系コミックエッセイです。トンちゃんもシノさんもメスですが、性格はまるで違います。作者によればトンちゃんは「パワー系 ツンデレ担当」、シノさんは「スピード系 和顔担当」とのこと。かわいい絵柄で描かれた2匹の行動と、それに対する作者の絶妙なツッコミが、本作の魅力です。

たとえば、作者が眠る時、顔にお尻をくっつけてくるシノさん。実は猫が飼い主にお尻を向けるのは、信頼の証や飼い主を守ろうとする気持ちの表れなのだそうです。とは言え、顔にぴったり肛門を密着されるのも困りもの。作者は「お気持ちだけでけっこうです」と涙を流します。(第1巻p.22)

一方、トイレの後に砂をかき混ぜていると、飼い主がうんちの回収に来ることを知ったトンちゃんは、便意もないのにただ砂をかき混ぜて、作者をトイレまで呼び出します。「掘っただけか」とツッコむ作者に、トンちゃんは「うん」と素直なお返事。こんなふうに何気ない猫と作者のやり取りが面白くて、猫を飼っている人はもちろん、そうでない人もクスリと笑えるのです。

マンガの内容に合わせてトンちゃんとシノさんの写真が掲載されており、毛並みのお手入れや爪切りのやり方、猫がいる部屋のお掃除事情など、実用的なコラムも満載。2巻以降は、実家で飼っていた猫の思い出話も描かれることに。そこに登場するのは一代目のシロさんと2代目のトラちゃんという、ちょっとワイルドな2匹です。

ほのぼのとした気持ちになりながら、猫の面白い生態をじっくり観察できる作品です。

『うちの猫がまた変なことしてる。』を試し読みする

人間視点と猫視点から同じエピソードが語られる『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』

同居人はひざ、時々、頭のうえ。

『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』 1〜5巻 みなつき・二ツ家あす / フレックスコミックス

「僕は今 猫に命を狙われている」

そんな不穏なセリフから始まるのが本作。とは言えホラー漫画ではありません。主人公の朏 素晴(みかづき すばる)はミステリー作家。23歳の若さながら人気作家として、新作の執筆に忙しい日々を送っています。

素晴は両親を事故で失い、実家で一人暮らし。他人の存在は思考の妨げにしかならないと考える、人付き合いが苦手なタイプでした。そんな彼が偶然出会ったのは1匹のノラ猫。ネタになると思って自宅に連れ帰った素晴は、陽(ハル)と名付けたその猫と暮らし始めるのでした。

本作の特徴は、一つのエピソードをまず素晴視点で描いて、その後にハル視点で繰り返しているところです。ハルはしゃべれませんが思考は擬人化されているので、同じ場面について、素晴とハルがそれぞれどう感じていたかが分かります。たとえば名付けのシーン。「ハル」と呼ぶと猫が応えたような気がして嬉しくなる素晴でしたが、ハルにとってその言葉は、過去の経験から餌をもらえる時の合図みたいなもの。そのため、TVから「春」という言葉が流れた時も、同じように嬉しそうに反応してしまうのです。

また、素晴は猫を飼うことに関しては素人で、餌をやり過ぎてハルの健康を害してしまうことも。そんな時に出会ったのが、ペットショップで働く女性・押守なな(おうかみ なな)でした。ハルを飼い始めたことで、人との繋がりが生まれ始める素晴。本作は、猫との同居の物語であると同時に、素晴の人間的な成長の物語でもあります。

『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』を試し読みする

心で泣いている人たちにそっと語りかける優しい猫の物語、『夜廻り猫』

夜廻り猫

『夜廻り猫』 1〜5巻 深谷かほる / 講談社

Twitterで2〜3日に1話というハイペースで発表され続けて大きな反響を呼び、2018年4月現在、単行本も3巻まで発売されている人情味たっぷりの猫漫画。2017年には、第21回手塚治虫文化賞短編賞と第5回ブクログ大賞・マンガ部門大賞を受賞しました。

作者は、渡辺直美さんの主演でドラマ化された『カンナさーん!』などで知られる深谷かほる先生。たまに数話にまたがるエピソードもありますが、基本的には1ページ8コマで完結。短い物語の中に、人生の滋味がたっぷり詰まっている作品です。

主人公は、灰色の毛並みのしゃべる猫・遠藤平蔵。名前からして激シブですが、どてらを羽織って魚の缶詰を帽子代わりにかぶるという出で立ちも貫禄十分。そんな猫が、

「泣く子はいねが〜 泣いてる子はいねが〜」

と夜な夜な町を巡回しては、心で泣いている人にそっと語りかけるというのが、本作のストーリーです。

平蔵のいいところは、人生訓めいたセリフを言わないことです。人間たちの話をじっと聞き、ちょっと見当外れのことを言ったり、ただうなずいたり、気づくといなくなっていたり。それでも平蔵と接した人の心には何かが残り、読者もそのお裾分けをいただけるのです。年齢に関係なく楽しめる作品ですが、酸いも甘いもかみ分けた大人なら、平蔵と人間たちのユーモラスなやり取りの中に隠れている人生の本質みたいなものを、より感じ取れるのではないでしょうか?

ニヒルな野良猫のニイや、平蔵と行動を共にすることになる子猫の重郎など、猫キャラも魅力的。劇中に登場した料理を写真付きで紹介する「夜廻り猫レストラン」も配信中です。

『夜廻り猫』を試し読みする

悪の組織のボスが、不敵な笑いとともに猫を愛でる『悪のボスと猫。』

悪のボスと猫。

『悪のボスと猫。』 1〜2巻 ボマーン / 双葉社

悪の組織のボスは、なぜか猫を飼っているイメージがある。そんな発想から生まれたギャグ漫画が本作。『夜廻り猫』と同じようにTwitter上で発表され、人気を博しています。

第1回は悪のボスが椅子に腰掛け、ワイングラスを片手に葉巻をくゆらせるというお決まりの絵から始まります。もちろん膝の上には長毛種の猫。次のコマでは「フギャーッ」と恐ろしげに猫が泣き叫び、悪の雰囲気満点です。しかし不敵な笑いを浮かべながら、ボスが取り出したのはキャットフード。ボスは猫に餌を与えたかっただけなのでした。

つまり、この作品の魅力はある種のギャップ萌え。オールバックで黒スーツのボスが悪事をなすように見えて、毎回やっているのは猫を愛でることだけ。本当にそれしかやっていないのです。ボスには一切セリフがなく、ただ「フハハハハ…!!」と不敵な笑いを浮かべているというのもポイント。言葉がなくても猫とのコミュニケーションは可能ですし、人間同士の会話シーンがない分、ボスがどれほど猫に関心を傾けて生きているかが伝わってきます。

ボスだけでなく、手下や敵にも猫好きが登場。あらくれ者のギャングたちが、揃いも揃って猫に夢中というシュールな光景を楽しんでください。

『悪のボスと猫。』を試し読みする

さまざまな街で繰り広げられる猫と人間のオムニバスストーリー、『ねこノート』

 ねこノート
『ねこノート』1〜5巻 生藤由美 / 集英社

白ネコ・ゾッチャの恋と冒険を描いた全14巻『ゾッチャの日常』の作者である生藤由美先生の猫漫画・最新作です。1話完結のオムニバスで、さまざまな猫が登場。人間たちとドラマを繰り広げます。

第1話「虎鉄」の舞台となるのは尾道。瀬戸内海に面した坂の街で数々の映画の舞台になったことで有名ですが、同時に猫の街としても知られています。そんな街を朝早くから散策している2人の女性の前に現れるのが、虎鉄という名の猫。虎鉄は猫ながら観光案内役を自任し、女性たちを素敵な坂道へと導いていくのでした。

「虎鉄」のストーリーからも分かる通り、本作は猫の目線で描かれた、人間との関係性の物語です。現実ではしゃべることができない猫たちですが、心の中ではこんなことを考えているのかも。そんな想像をもとに毎回、心温まるストーリーが展開していきます。

各話のタイトルになっているのは主人公となる猫の名前。姿形も違えば性格も違う。そんな猫たちのモノローグと、彼らから見た人間の姿をたっぷり味わうことができます。時には猫たちの優しさにホロリと泣かされることも。本作を読むと、街で出会った猫にきっと優しく接したくなると思います。

また、生藤先生が描く猫の容姿や動きは、とてもリアル。猫好きにとってはどのコマも印象に残るはずです。あなた好みの猫の表情や仕草を探しながら読むのも楽しいですよ。

『ねこノート』を試し読みする

ダメ男とネコ、その出会いと成長と別れに涙が止まらない『猫なんかよんでもこない。』

猫なんかよんでもこない。完結『猫なんかよんでもこない。』 全5巻 杉作 / 実業之日本社漫画

家の兄が、寒い冬の夜に拾って来た2匹の子猫、クロ(オス)とチン子(新潟弁でちんこい=小さい、メス)。ある事情でプロボクサーの道を諦めた弟・ミツオと猫を置いて、兄は郷里に帰ってしまいます。まるっと大きい目がとにかくかわいい、でもやんちゃな2匹と、ちょっとダメな男が、ぼろアパートで織りなす不器用で愛すべき日々。しかし、去勢手術をせずに外猫にしていたクロが猫エイズにかかり、早すぎる別れが来てしまいます。クロに何をしてやれたのか……と後悔するミツオ。やがてミツオは、チン子と共に漫画家としての道を歩み出します。2巻以降では、いろいろな猫や人との出会いを経て、子猫のポコがミツオとチン子の生活に加わり、ミツオ自身にも家族が増えます。

チンクロに夜中に運動会をされて寝られなかったり、里子に出すはずの子猫に情が移って結局飼うことにしてしまったり、子猫をなかなか受け入れない先住猫のチン子に手を焼いたり、帰って来ないチン子が心配で探しまわったり……。猫と生活するってどんな感じなんだろう? と思っている方は、ミツオと猫たちの生活を通して、そのリアルを知ることができます。

そして、動物を飼ったことがある人なら、人間の都合を優先してしまい「あの時ああしてやれば……」と悔やんだことが、1度や2度はあるのではないでしょうか。

「チン子には家族も友達も仲のよい友達猫もいなくて俺しかいない。助けられていたのは俺の方だった」

ミツオの心情は胸に迫ることも多いです。

2016年には映画化も決定した本作。読んだ後は、あなたの愛しい猫を抱きしめたくなることでしょう。

『猫なんかよんでもこない。』を試し読みする

強面な剣の達人も猫にはデレデレ!『東伍郎とまろすけ』

東伍郎とまろすけ(1)

『東伍郎とまろすけ』 1~3巻 長月キュー / 小学館

時は幕末、夏目東伍郎(なつめ とうごろう)は剣の達人。師範をつとめる道場の内外を問わず、彼に敵う者はおらず、立ち会いを求める相手もひとにらみで逃げ出すほど。道場に通う立花は、そんな東伍郎に憧れ、強さの秘密を知りたいと思いますが……。

実は東伍郎、家に帰れば愛猫・まろすけにメロメロのデレデレ! 腹モフに身悶える大の猫好きなのです。そんな東伍郎の愛情を一身に受けて、ストレスで腹はげができちゃう愛猫まろすけ、実は猫たらし(自覚なし!)の立花、剣豪で猫好きの大佛、猫師匠の金貸しおばば、猫にやたらと好かれる菓子職人のお玉など、個性豊かなキャラクターたちと猫が織りなす、江戸版「猫好きあるある」の世界が繰り広げられます。

猫漫画には珍しい時代物ですが、猫カフェなどの現代の猫事情をうまく取り入れ、それが違和感なく溶け込んでいます。そして、とにかくまろすけをはじめとする猫の描写がかわいい! 東伍郎でなくとも、腹モフしたくなるはず。また、東伍郎とまろすけと異人との出会い、東伍郎の猫好きのルーツなど、単なる猫好きギャグ漫画に留まらないストーリー展開で、猫好きならずとも楽しめる作品です。

『東伍郎とまろすけ』を試し読みする

ねことじいちゃんのどこか懐かしく愛おしい日々『【フルカラー版】ねことじいちゃん』

【電子限定フルカラー版】ねことじいちゃん

完結『【フルカラー版】ねことじいちゃん』 全1巻 ねこまき(ミューズワーク) / KADOKAWA / メディアファクトリー

元・先生の大吉じいさんは、おばあさんに先立たれ、猫のタマ(10才)と、海の見える町で2人暮らし。現在と過去が交差する、どこか懐かしさを感じさせる情景と、穏やかな春夏秋冬、そこで送られる二人の生活が、やわらかな水彩タッチで描かれています。電子書籍版は全ページフルカラーなので、特におすすめです。

大吉じいさんと、エコバッグから顔だけ出してるタマのお買い物風景は、思わずニンマリしてしまうかわいさ! また、町のいたるところにいる大量の野良猫たちも、みんなまるっこくてキュンキュンしてしまいます。

意外と気が強い茶トラのタマさんは、大吉じいさんのことを「飼い主にしてしもべ」だと思っています。散歩も「自分が連れていってあげてる」と思っているところがありますが、大吉じいさんは当然知るよしもありません。そんなところも、読んでいて思わずホッコリ。

タマとの出会いは、おばあさんが弱った子猫を見つけたことがきっかけ。そのおばあさんとの思い出を振り返る場面は、しんみりしながらも心が温かくなります。

まるで、タマとじいちゃんと一緒に縁側でひなたぼっこしているような、優しい気持ちになれる作品です。

『【フルカラー版】ねことじいちゃん』を試し読みする

ホラー漫画家の恐ろしくもおかしい仁義なき猫生活!『伊藤潤二の猫日記 よん&むー』

伊藤潤二の猫日記 よん&むー

完結『伊藤潤二の猫日記 よん&むー』 全1巻 伊藤潤二 / 講談社

犬派だったJさん(伊藤潤二先生)は、結婚&新居購入を機に、猫を飼うことになります。婚約者の実家から連れてきた、呪い顔で背中にドクロを持つ甘えん坊猫・よん、ペットショップで一目ぼれした外国種の子猫・むー。猫との生活が始まったものの、Jさんの奮闘むなしく2匹の猫は全く彼になつきません。妻の猫じゃらしには喜ぶのに、なぜに自分の猫じゃらしは効かないのか? 猫に一緒に寝てもらうためには、どうしたらいいのか? Jさんの涙ぐましい努力に、自分の姿を重ねる飼い主さんも多いのではないでしょうか?

作者の伊藤潤二先生は、『富江』『溶解教室』をはじめとしたホラー漫画の巨匠。それゆえ、絵のタッチはまるっきりホラー! その絵と内容のギャップが余計におかしさを生んでいます。リアルタッチのよん&むーも、見慣れると妙に可愛く見えるから不思議! 漫画の合間にあるQ&Aコーナー「お尋ね申すJ先生!」も、妙に気になるおもしろさです。

伊藤潤二先生をはじめ、有名漫画家さんには猫を飼っている方が多く、本作の他にも、いくえみ綾先生の『いくえみ綾のかわいいにもほどがある』や、ヤマザキマリ先生の『アラビア猫のゴルム』など、漫画家の猫愛をひしひしと感じる作品が多数あります。意外なプライベートを垣間見ることもできますよ。

『伊藤潤二の猫日記 よん&むー』を試し読みする

迷子の子猫と拾った家族のハートフルストーリー『チーズスイートホーム』

チーズスイートホーム 1巻

完結『チーズスイートホーム』 全12巻 こなみかなた / 講談社

家族との初めての散歩で、はぐれて迷子になってしまった子猫チー。それを拾ったのは、ペット禁止のマンションに住んでいる山田さん一家。なんとかおうちに帰ろうとするチーと、もらい手を探しながらも優しくチーを保護するおとーさんとおかーさんとヨウヘイ。行きがかり上、チーを拾ってしまった山田一家ですが、一緒に暮らすうちにチーとの絆を築いていきます。それでも、時々チーが思い出すぎゅうぎゅうでふわふわな誰か……。果たしてチーは元のおうちに帰れるのか? そしてその時ヨウヘイは?

全12巻の本作は、2004~2015年という長期に渡って連載されましたが、その内容はチーが拾われてからの数ヶ月間のお話で、チーはずっと子猫のままです。「おうちかえう」、「おかーさんらー」「ヨーヘーちゅごーい」など、チーの幼ネコ語がとにかくかわいい! 親友・コッチをはじめとして、チーを取り巻く周囲の猫たちも、みな味があります。後半、涙腺が崩壊する展開になりますが、ハッピーエンドですので、安心して読んでくださいね。

作者のこなみかなた先生は、『ふくふくふにゃ~ん』シリーズも手がけた猫漫画の名手。『チーズスイートホーム』はアニメ化され、AppleのCMにも使われるなど、チーは幅広く人々に愛されています。

『チーズスイートホーム』を試し読みする

猫舌なのに主人のためにおかゆを作る不思議なねこのドタバタストーリー『おかゆネコ』

おかゆネコ(1)

完結『おかゆネコ』 全7巻 吉田戦車 / 小学館

菊川八郎はひとり暮らしのサラリーマン。ある日、彼のもとへ突然やってきたのは、なぜか人語を解する猫・ツブ! 生活習慣や食生活が乱れているご主人のため、猫舌なのにツブは日々おかゆを作るのです。

ナンセンスギャグのパイオニア・吉田戦車先生の猫漫画。これまでに紹介した作品と違い、猫がまるで人間のように振る舞います。猫がしゃべっておかゆを作る。吉田戦車先生らしいシュールさが特徴で、おかゆにも詳しくなれて、なんだかお得!? 猫漫画のようであり、グルメ漫画のようであり、そのあいまいさも含めて、作品のいい味になっています!

『おかゆネコ』を試し読みする

猫絵師と猫又が織りなすちょっと不思議な江戸の人情ストーリー『猫絵十兵衛御伽草紙』

猫絵十兵衛御伽草紙 1巻

『猫絵十兵衛御伽草紙』 1~20巻 永尾まる / 少年画報社

江戸が舞台の、猫絵師・十兵衛と人語を話す猫又・ニタが織りなす人情ばなし。家々を巡り、ふすまなどに「鼠除け」の猫を描く十兵衛、ニタはその絵に魂を吹き込みます。一話完結が基本で、笑ったり、泣いたり、ほっこりしたり、じんわり心が温かくなる人情ばなしが中心です。主人を思う猫、猫を思う主人。双方の気持ちに、ほろりとすること間違いなし。

ニタは人間のように振る舞っていますが、それでもやっぱり猫! 猫好きさんは「ああ、猫ってこうだよねえ」と、思わずニヤリとしてしまうことでしょう。

江戸の町や当時の風習も丁寧に描かれているので、時代ものが好きな方にもおすすめです。

『猫絵十兵衛御伽草紙』を試し読みする

猫が教えてくれた、たくさんのこと。おかしくて切ない猫との日々。『ペン太のこと』

ペン太のこと 1巻

完結『ペン太のこと』 全10巻 片倉真二 / 講談社

多忙な日々を送っていた「僕」(作者)。忙しすぎて家族ともぎくしゃくしていたそんなある日、ふと立ち寄ったペットショップで、他の猫に踏まれても爆睡する子猫と出会います。ペン太(女の子ですが)と名付けられたその子猫のおかげで、家族仲も元通りに。ペン太はまったく猫らしくなく、虫捕りは下手だし、高い所には飛び乗れないし、すぐおなかを出して寝転がってしまいます。でも、それがペン太のいいところ。一家は、やがてポン太、金太、はむやんという新しい家族を迎えます。「僕」は一番お姉さんのペン太が天寿をまっとうするまで、ずっと一緒にいられると思っていたのですが、10年目のある日……。

もともとはブログで描かれていたWEB漫画でしたが、大幅加筆の上で書籍化されました。猫も人もデフォルメされたイラストが、とぼけた味わいで癒やされます。最初は笑えて、最後は号泣……。猫との別れを経験した人なら、涙を抑えることができないかもしれません。でも、ただ悲しいだけではなく、飼い主の愛がぎゅっと詰まっています。続編では、ペン太の思い出を交えつつ、ポン太や金太など他の猫との日常がメインに描かれています。

『ペン太のこと』を試し読みする

猫系男子と個性的な猫たちのハートウォーミングコメディ『片桐くん家に猫がいる』

片桐くん家に猫がいる 1巻

完結『片桐くん家に猫がいる』 全7巻 吉川景都 / 新潮社

職場のかわいい女の子に誘われても、仕事が終わったらまっすぐ帰宅する片桐くん。実はおじいちゃんの忘れ形見の猫3匹と暮らしている草食系ならぬ猫系男子! いい子だけどちょっとおバカな「ハツ」、賢くて要領のいい「ミノ」、アウトローな「ぎあら」と、三匹三様な猫たちに振り回されつつも、仕事でへこんだ日には癒やされたりする日々。ちょっとした隙に逃げ出したり、出かけようと荷物を持ったらバッグに入り込んでいたり……。猫を飼っている方なら、「そうそう、これこれ!」「分かる!」と、3匹の行動に思わずほくそ笑んでしまうことでしょう。

猫系男子とはいえ、片桐くんもお年頃。飼い猫たちも片桐くんの恋の行方は気になるようです。悲しい要素がほとんどない、ほんわかハートウォーミングなコメディなので、心が疲れている時にもおすすめ。巻が進むと、ユッケ、サンチュの2匹の猫も加わって、片桐家はますますにぎやかに! 個性豊かな猫たちに、きっとあなたも癒やされますよ。

『片桐くん家に猫がいる』を試し読みする

残念女子とシュールな猫の、ナンセンスな日常『木曜日のフルット』

木曜日のフルット(1)

『木曜日のフルット』 1~7巻 石黒正数 / 秋田書店

『それでも町は廻っている』『外天楼』の石黒正数先生が描く、自分をノラネコだと思っているフルットと、フルットを餌付けしている鯨井先輩が織りなす、2ページのショート漫画です。石黒先生ならではのシュールな世界観で、2足歩行のデフォルメされた猫たちの言動がほんわか可愛く描かれています。

毎日、釣りをしたりゴルフをしたり、時にはとなり町の猫たちとエサ場を争ったり、猫でありながら人間のように、悠々自適に暮らす猫たち。一方の人間も、定職に就かず、パチンコやマンガ家の手伝いをして暮らす「残念女子」な鯨井さんをはじめ、周囲の人々も普通のようでどこかヘンなところがあり、いつの間にかこの街の不思議なペースにハマってしまいます。

時々、哲学的なことを考えるフルットや、達観して人間を見つめているノラネコたちの発言がシュールで面白く、2ページの他愛無い日常の中にこめられた、意外と(?)深い内容に、クスッとしながら思わず感心させられてしまうことも。2度、3度と読み返すと、そのたびに発見がある、不思議な味わいの作品です。

『木曜日のフルット』を試し読みする

猫と過ごすニャニげない毎日『おじさまと猫』

(C)Umi Sakurai/SQUARE ENIX

『おじさまと猫』 1〜3巻 桜井海/スクウェア・エニックス

一人暮らしのおじさまが猫を飼う、ただそれだけのお話です。
ただそれだけのお話なのに、溢れんばかりの愛がそこにはあって、心の中がじんわり温かくなっていくような不思議なぬくもりを感じられる物語です。

2人(1人と1匹)の出会いはペットショップから始まります。売れ残ってしまったブサカワな成猫。この猫に目を止めたダンディなおじさまは、彼を飼うことに即決。家に連れて帰り、彼に「ふくまる」という名前をつけ抱きしめます。かくしておじさまと猫の幸せの日々がスタートするのですが、両者にとってこの生活は今まで感じたことのないほどの幸福感に満たされたものに…!

この物語のチャーミングなところは、おじさまと猫、両方の視点から、その幸せな日々が綴られるところです。誰も自分を飼ってはくれないと諦めていた猫が、初めて自分を可愛がってくれるおじさまと出会えた喜び。そして、妻を亡くして一人暮らしだったおじさまが猫を飼うことで再び色付いていく毎日。そのどちらの気持ちも、可愛くって何ともいじらしい!決して言葉が通じるわけではないけれど、想いは伝わるものです。仮に伝わらなかったとして、そのすれ違いすらも愛おしかったり。

また、猫と一緒に寝るといつの間にかベッドの中心を占拠されていた等、クスッと笑ってしまう猫あるあるも満載な一冊。

猫好きのあなた、読まない手はないですよ!
例えば忙しい毎日に少し疲れてしまったとき、ぜひこの物語の愛くるしい猫とおじさまに癒されてみてください!

『おじさまと猫』を試し読みする

関西弁のチビ猫2匹はやんちゃ真っ盛り『まめねこ』

『まめねこ』 1〜8巻 ねこまき(ミューズワーク)/さくら舎

ごく普通の一般家庭、昔ながらの二世帯住宅代表みたいな家で飼われることになった、2匹の猫の物語。
白と茶色の毛並みが特徴の「あずき(♀)」は、やんちゃで姉御肌。
灰色のコロコロした「だいず(♂)」は、おっとりしていて食いしん坊。
この2匹のチビ猫たちが、まるで漫才コンビのようにボケたりツッコんだりしながら、新しく住むことになった家の中を大冒険します。
そもそもなぜ関西弁…??
猫らしからぬ浪速のノリと、ほのぼのとした絵のタッチ、結構癖になっちゃいます。

またお約束の猫あるあるも満載です。
基本的にあずきとだいずの目線から物事を解釈していくので、家がしっちゃかめっちゃかになりがち。
特に、つるっ禿げのおじいちゃんが外出する際に被るカツラ。
これは猫たちにとって格好の遊び道具で…(猫じゃらしのように遊びまくります)。
おじいちゃんが気づいた時にはすでにストレートヘアーだったカツラが、パーマをあてたようにボロボロに。
それでも一応被ってみるおじいちゃんの、なんと愛おしいこと。

他にも家族のメンバーとチビ猫たちとの絶妙な会話(正確には話してはいないけれど)がクスッと笑えます。
どんないたずらをしでかしったって憎めない愛嬌があるから許される。
猫って罪ですよね…。

まるであずきとだいずが家に来たみたいな気分で、探究心溢れる2匹とのゆるーい生活が味わえます。
何も考えずに家でまったりしたい時、あずきとだいずに癒されてみるのもありかも?

『まめねこ』を試し読みする

田舎で猫と暮らす少年の猫観察日記『カボチャの冒険』

完結『カボチャの冒険』 全1巻 五十嵐大介/竹書房

周囲を大自然で囲まれた田舎の一軒家。
ここに住む少年は、飼い猫のカボチャのことが大好きで。
紡がれていく少年とカボチャとのエピソードは、まるで少年の視点から見たカボチャの観察日記のようで、なんだかとっても新感覚な猫漫画です。

猫漫画といえば、基本的には室内飼いの猫がメインのようなイメージがありますが、田舎暮らしのカボチャは外の山々を駆け回るワイルド猫。
仔猫の時に少年に拾われて以降、特に何も教わっていないのに、いきなり小鳥をキャッチして丸ごと食べてしまったり。
そんなカボチャの野生的な姿を見るたびに、少年は毎回カボチャの成長を感じて嬉しくなります。
同時に、これが本能の正体…??とカボチャへの探究心でいっぱいに。

絵のタッチも独特で味わい深く、少年の語り口と合わさって、日記のような空気感を醸し出しています。
少年がカボチャのことをどれだけ好きで、どんなに心配しているか、少年のモノローグと表情からありありと伝わってくるだけに、そんな愛情つゆ知らずといったようなドライな態度のカボチャは、罪ですよね。
でもだからと言って、本当にドライに思っているかといえば、答えはノーで。
カボチャの安心しきった寝顔を見れば、幸せに生きていることが分かります。

危険な山に意気揚々と繰り出していくカボチャを、心配しつつも遠くから見守る少年の親心にも共感します。
そんな親心にも無関心に突き進んでいくカボチャはやっぱり生粋の猫で、猫ってやっぱり罪深い生き物だなぁと。
どこか懐かしく、どこか新感覚な猫漫画、ぜひ読んでみてください!

『カボチャの冒険』を試し読みする

最後に

膨大な猫漫画の中から、選定者も迷いに迷いながら、バラエティ豊かな19作品をご紹介しました。漫画でありながら思わず腹モフして抱きしめたくなる、愛おしい猫たちがいっぱいです。

この記事をきっかけに、あなたのお気に入りの猫ちゃんを見つけてくださいね。

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犬好き書店員が選ぶ、犬好きのためのおすすめ犬漫画9選

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