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『さんかく窓の外側は夜』とは? 映画化決定、ガチで怖いホラーなのにBL要素も!?【ネタバレ注意】

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『さんかく窓の外側は夜』バナー

岡田将生さん&志尊淳さんのダブル主演で、2020年10月30日に実写映画が公開される『さんかく窓の外側は夜』。ホラー×バディ×ほんのりBLみという贅沢仕様で、ヤマシタトモコ先生の魅力がぎゅっと詰まった新感覚の作品です。ヤマシタワールド初心者の方にもわかりやすく、その魅力をご紹介します!

※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事には一部ネタバレを含みます。

『さんかく窓の外側は夜』作品紹介

『さんかく窓の外側は夜』書影

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『さんかく窓の外側は夜』あらすじ

強い霊感を持ち、死人をはっきりと見られる三角康介。書店員として地味な毎日を過ごしていましたが、ある日彼を「運命」だという冷川理人と出会います。三角の力に心酔した冷川は、心霊にまつわる探偵の仕事に強引に三角を巻き込むことに。

『さんかく窓の外側は夜』プロポーズシーン

やがて2人は、不可解で残忍な事件の裏に潜む「ヒウラエリカ」の存在を知り……。

『さんかく窓の外側は夜』登場人物紹介

冷川理人(ひやかわ・りひと)

『さんかく窓の外側は夜』冷川理人

霊を「ぶん投げ」て祓う力を持つ、自称“拝み屋”。三角に触れていると除霊の効率が上がると、三角を無理やり仕事に引きこみます。お金が好き。

『さんかく窓の外側は夜』冷川理人

日本語の語彙が少なくコミニュニケーションに問題あり、親も友達もいないといい、時に霊的なものを食べてるシーンもある謎の男。一見飄々としたスマートイケメンのようで、実は壮絶な過去を背負っていることがわかります。

三角康介(みかど・こうすけ)

『さんかく窓の外側は夜』三角康介

真面目な書店員。物心ついた時から死人が見えています。とても怖がりで、死人を区別するため、また“見えすぎ”を避けるためにメガネを外していることが多いです。老けて見えるけど24歳。

『さんかく窓の外側は夜』三角康介

空気を読む力に長けており、観察力も鋭くよく気がつくのは、4歳の時に父親が不可解な失踪を遂げ、母親と二人暮らししているからかもしれません。優しいいい子です。

非浦英莉可(ひうら・えりか)

『さんかく窓の外側は夜』非浦英莉可

16歳ですが、高校は“仕事”のために休みがち。「先生」の指示のもと、“呪い”を作り出せる「呪い屋さん」「死霊遣い(ネクロマンサー)」として複数の事件に関与。死人を自分の中に「入れる」ことができ、何回もの“死”を経験しています。

迎系多(むかえ・けいた)

『さんかく窓の外側は夜』迎系多

華やかな外見の占い師。占い自体はインチキですが、鋭い観察力と親身になったアドバイスで女性に人気です。霊感は本物で、霊の説得・除霊や結界を張ることができます。子供の頃に観た映画「エクソシスト」の影響でクリスチャンに。

半澤日路輝(はんざわ・ひろき)

警視庁捜査第一課殺人犯捜査第9係の刑事。霊感ゼロのリアリスト&愛妻家で、妻の冴子以外は信じていませんが、冷川と三角のことは信頼しています。

『さんかく窓の外側は夜』半澤日路輝

同様に冷川も、半澤の「信じない」力を頼りにしているようです。

逆木一臣(さかき・かずおみ)

『さんかく窓の外側は夜』逆木一臣

体格が大きく、コワモテのヤクザ。英莉可の父親が、彼女を先生に“売った”時からボディガードとして側にいます。実はまだ28歳。

先生(せんせい)

宗教法人「掌光(しょうこう)の教え」の2代目教祖。元は逆木がいた暴力団の顧問でした。悪意を溜め込む「貯金箱」を作ったり、英莉可を使って残忍な事件を起こさせたりしていますが、何を企んでいるのかは未知。

『さんかく窓の外側は夜』先生

本名は不明。英莉可含む誰もが彼の顔を覚えていられません。それは先生が自らに「戒め」の呪いをかけているためで、その理由は三角の家族に関係があるようです。

『さんかく窓の外側は夜』作品の魅力と謎!

今作の魅力を6つのポイントで紐解きます。

1)ホラー×バディ×BLのどこから味わってもオイシイ仕様

「ホラーが好き」「バディものが好き」「BLが好き」のうちどれか一つに当てはまるだけでも楽しく読めてしまう今作。全て好きなら読まなきゃソン!

まず「ホラー」の観点からいえば、この作品

ふっっっっつーーーーーにガチホラーです。

生きている人と何ら変わりないような死人、顔がねじれたような死人、顔にぽっかり穴が空いた生者……と多彩な表現で読者の息の根を止めに来るヤマシタ先生。素敵です。

『さんかく窓の外側は夜』ホラー描写

そんな心霊にまつわるアレやコレやに挑むのが冷川&三角の「バディ」。強い力を持つ冷川は、本来であれば一人で除霊が可能ですし、三角に会うまではそれで生計を立てていたくらいです。しかし、「運命の相手」である三角を強引に自分の世界に引き込んだことからもわかるように、というか冷川自身が言っているように、彼には三角が必要なのです!!

この二人、バディもの好きにはとてもオイシイ“凸凹コンビ”。一見三角が冷川の強引さに付き合っているようですが、三角も三角で激しくワケアリの過去を持つ冷川を放っておけず、事態はどんどんややこしいことに……。利害の一致から始まった関係がかけがえのないものになっていく、ミステリー・サスペンスものの鉄板展開が一部の層にはBとLに見えてしまってまぁもう燃えて萌えて仕方がないワケです。大変なんです。

2)ホラー漫画としての斬新な切り口

上で少し述べたように、今作はホラー漫画としても秀逸。ただのおばけ漫画と異なる特徴として、呪いを「作り出せる」ものとして、しかも宗教と絡めて扱っている点が挙げられます。

ストーリーの重要な鍵を握る女子高生・英莉可は、死者を体内に取り入れ、その力を借りて人を呪う力を持っています。彼女が人を呪う描写は独特で、一つのフキダシに「会話のセリフ」と「呪うセリフ」を同時に入れるなど、類を見ない工夫がなされています。

『さんかく窓の外側は夜』呪うセリフ

黒いフキダシは以降も使われており、例えば英莉可が霊感のあまりない逆木に聞かれたくない言葉(※悪口含む)を、三角に伝える時などにも見られます。

『さんかく窓の外側は夜』うける英莉可

このことから、霊感のある人間には通じる一種の周波数のようなものだと考えられます。

霊力の強さが人によって異なるように、霊との接し方もキャラによって違うのもユニーク。冷川は「ぶん投げる」、系多は「説得する」、英莉可は「中に入れる」。では三角は……?

また、ほかに独特な描写の例として、“除霊”も挙げられます。こちらについては後ほど6つめのポイントにて!

3)“三角形”の謎

タイトルにもある「三角形」は、ズバリ「三角」の苗字や冷川が作る結界の形など、作中に多数登場するモチーフ。三角形が何を表すのかはまだわかっていませんが、冷川の霊力が「三角形」として表出するのかもしれません。その根拠は、三角の腰に現れた三角形のあざ。

『さんかく窓の外側は夜』三角形

冷川と三角が「契約」を交わして以降、2巻(第8話)で初めて登場します。三角が自分以外の霊能力者と接し、何かを感じた冷川が繋いだ“鎖”のようなもの。このあたりから冷川の言動はエスカレートし、三角への独占欲は激しさを増していきます。

「さんかく窓の外側は夜」というタイトルには、「さんかく窓(=冷川が作った結界)」の外側は「(死人が跳梁跋扈する)夜」、つまり怖がりの三角は冷川の結界の中でのみ安心して生きられるよ、という冷川からの一方的なメッセージが込められているのかもしれませんね。たぎる。

ちなみに冷川は、生活能力は低い代わりに霊力は強め。
彼の能力の一部として
・三角を通じての除霊
・他人との感覚(視覚、聴覚)の共有
・他人の意識の操作(幽体離脱、意識の乗っ取りなどが可能)

『さんかく窓の外側は夜』幽体離脱

・他人の体を勝手に動かす
・結界を張る
・肉体から精神が離れていても、結界を通じて音を聴いたり瞬間移動したりできる

『さんかく窓の外側は夜』瞬間移動
・結界を通じて他人を一方的に空間移動させられる
などがあります。チートイケメンです。
なお、結界は系多や英莉可も作ることができます。英莉可の場合、とても大きくて暗い結界ができるようです。

4)「先生」「掌光の教え」の謎

英莉可のバックについているのが、いかにも怪しげなのにその力はホンモノである宗教団体「掌光の教え」。霊的な怖さとは違い、いわゆる“普通”だった人が信仰によって変わってしまう怖さには、嫌な汗がにじみ出る不気味さがあります。

読み進めるほどに、英莉可の力を悪用しようとする「先生」、そして「先生」を教祖として祭り上げている宗教団体「掌光の教え」の正体が明らかに。かつては「掌光会」と呼ばれ、「大掌(だいしょう)様」と称えられる教祖を崇める「掌光の教え」は、過去に半澤が扱った集団自殺事件に関与していました。その中心にいたのは、そして「先生」が自らに呪いをかけてまで忘れようとした人物とは……。

『さんかく窓の外側は夜』「掌光の教え」

一見無関係な点と点が結ばれ、線ができていく。スリルたっぷりの展開がたまらないのです!

5)英莉可はヤマシタ先生の描く“思春期女子”の集大成!?

『ドントクライ、ガール』(リブレ)のたえ子、『違国日記』(祥伝社)の朝など、一般レーベルから出ているヤマシタ作品には“思春期女子”が頻繁に登場しています。

今作でそのポジションにあたるのが英莉可。初登場時には悪魔か魔女かといわんばかりの闇深げな存在でしたが、実はちゃんと年齢相応の女の子なのです。信じられる者はいないと孤独を抱えていた英莉可は闇堕ちしそうになるも、三角たち仲間に助けられて教団から逃げることを決意。

『さんかく窓の外側は夜』信じる英莉可

『さんかく窓の外側は夜』いい大人がいなかった話

「自分の能力の重さに気づいていない無垢な存在」というテンプレ的な設定に、ヤマシタ作品ならではの、不安定だけれど強い存在感がプラスされた英莉可。今までの作品で、周囲の大人を振り回しつつ自分をもてあましている“ヤマシタ女子”に親しんできたファンなら、歓喜するキャラクターになっているのではないでしょうか。これぞ集大成。

死んだような目で呪いを作り出していた英莉可は、三角と出会って自分の力を人のために使いたいと考えるように。これからもその成長を見守らせてくださいお嬢さん……。

『さんかく窓の外側は夜』守る英莉可

6)除霊シーンが……なんだか色っぽい!

ポイント2で除霊の描写が独特だと述べましたが、

まあ、なんていうか、その、

ひっっっじょ〜〜〜にBL的なのです。察して。

もちろんR18指定の内容ではありません(が、それがかえってドキドキしちゃう)。とはいえそもそもの除霊方法が、冷川が三角の魂のようなモノ=“核心”を通じて霊を「ぶん投げる」なので、いわば魂と魂の触れ合いがそこに存在するわけなのです。高次元のBLでは?

ちなみに除霊の感想は……。

『さんかく窓の外側は夜』除霊の感想

気絶するほど気持ちいいみたいです。あらやだ。

しかも、意図的か語彙力が乏しいからかは不明ですが、冷川の発言には意味深なものが多数。

『さんかく窓の外側は夜』意味深発言

例えばこの会話、何の話してるかわかりますか?(ゲス顔) 答えは2巻(12話)にて。

意味深といえば、冷川の三角に対する執着心。ポイント3でも触れましたが、系多や英莉可ら強い霊感をもつ人間が干渉してこないように、冷川は三角を三角形のあざで繋ぎ止めています。さらに、英莉可が三角に興味を示すだけでムッとする冷川。それはまるで嫉妬! 束縛が強いぞ! でも付き合ってないというからびっくりです。

『さんかく窓の外側は夜』三角の奪い合い

今作は、ホラーならではの得体の知れない怖さと、人間から芽生える生々しい怖さとのバランスが抜群。2020年3月末現在の最新巻である8巻の段階では、特に後者の“怖さ”が浮き彫りになってきました。先生をはじめとする「掌光の教え」の不気味さはもちろんですが、気になるのは冷川と普通の人間との“ズレ”。今でこそきゃっきゃしている冷川と三角ですが、今後は憎しみを原動力に生きる冷川と、冷川に人を呪わせたくない三角の衝突が見られるのではと思います。それはそれで楽しみですね。

『さんかく窓の外側は夜』読者の声

この作品のBLな部分、ホラーな部分、謎解き的な部分…作品のいろいろな面に惹かれた読者の声をご紹介します!

斬新で面白ーい
オカルトが題材なのにオカルトっぽくないというか。
掴んでぶん投げるとかインターネットで調べるとかテキトーな感じなのがまたいい。
猟奇的だけど謎解き、ボーイズラブぽく仕上げてんのにそうじゃない。
ツカミは凄くいいので、次作からもっと複雑な展開を期待してます。
それにしても画風がいい。見やすくて。
いい作品見つけられてラッキー。

BLとして読んでも間違いない
ドキドキするサスペンスBLとして読んでいます。今回映画化も決定してキャストもぴったりで楽しみ!

謎がきになる
BL作品として紹介され読み始めましたが、読むうちに二人の関係以上に霊の謎が気になりすぎて購入してしまいました。
わかりそうでわからない、謎が連鎖していくシナリオがめちゃくちゃ面白いです。

面白い!
イッキ読みし、続刊を購入しました!
2人の軽妙なやり取りと、怖がりながら冷川に協力する三角、なんだかんだとちゃんと三角を守る冷川のコンビがいい感じ(≧∇≦)b

面白い!こわい!そしてエロい!卑猥!
腐った目でセリフだけ追ってると、もうエロくてエロくて腐センサー点滅しっ放し!
でも腐った目で見なければ普通のホラーなんですよね。流石です。
怖さも、ただ霊が出てきて怖いってレベルじゃなかった!これからもっと物語が複雑になって行くんだろうな…恐怖も、霊的なものから生身の人間の恐ろしさになっていくんだろうな…。1巻は伏線散らばり放題で、今後の展開がたのしみ。でも怖い…!
posted.by ブクログ

2020年10月待望の映画化!

今作の実写映画は2020年10月30日に公開予定。冷川役に岡田将生さん、三角役に志尊淳さんというイケメン祭りが開催されます。また、英莉可役には元欅坂46の平手友梨奈さんとぴったりなキャスティング! それぞれのキャラクターが抱える恐怖、悩み、葛藤と、ホラー部分がどのように描かれるのか、ワクワクして続報を待ちましょう!

終わりに

さんざん「ホラー」「バディ」「BL」と今作のうまみを述べてきたわけですが、根底にあるテーマは「信じること」(あるいは「信じないこと」)、「損得抜きで人を助ける」ことの重要さ。

『さんかく窓の外側は夜』信じる英莉可

例えば英莉可は三角に助けられて自分の力を「呪い」以外に使う道を選び、逆木もそんな彼女を守りたいと考えています(このコンビもいいワケですよ)。辛い境遇を生きてきたにもかかわらず、根が優しい三角と系多は言わずもがな。しかし、あまりにも壮絶な過去のために、唯一このテーマを理解できないのが冷川なのです。

果たして三角との絆はどうなるのか? 今後は特に冷川の動向に注目です!

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