久坂部羊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
下巻に入り、当初の安楽死の問題よりも医師会問題に重点が置かれたようになる。
そのため、興味を持ちきれない。
途中にはさまれる白川とは別の安楽死反対派の医師が、苦しむ患者を前に安楽死を決断出来ない状況の描写は、医師ならではの生々しい残酷さで読者を引き込む。
この作品では、多くのひとが死んでいく。殺されたり自殺したり。
安楽死と医師会の問題に巻き込まれ、ひとが実際に死んでしまうことはあるのだろうけれど、警察も余り捜査をしていなかったり、犯人がどういう手口で犯行を行ったのかが重視されていない。
ひとが死んでいるのに、あっさり過ぎてしまうということに、ひとの命を雑に扱っている印象を受け、読んでいて気分が良くない。作者が医師であるから尚更不快になる。
本書における謎の『センセイ』が、結構早い段階で予想がついてしまっていたことも残念な点。
安楽死によって利益を得る人物と考えれば、簡単にある人物に辿り着く。
もうひとひねりあっても良かったのではないかと思う。
誤植なのか文章自体がおかしいのかわからないが、読んでいて首を捻ることが数回あったことも残念。
今まで読んできた久坂部羊さんの作品の中では、最も出来が悪いと言わざるを得ない。
この作品に上下巻というのは、無駄にページを使いすぎ。
それでも、安楽死について考えさせられた。
わたしたちは、いかに生きるかにばかり気が行きがちだが、いかに死ぬかにもっと思いを向けても良いのではないかということを考えさせる一冊だった。
医学が進歩したため、こういった安楽死をはじめ脳死など、ひとの命の終わりが曖昧に複雑になってしまった。
単純でなくなってしまった以上は、それぞれが自分の意見を持ち、家族に伝えておくくらいはしておきたいものだと感じた。
ひとの生き死にを、理由はあっても人間が決めることがそもそも良いことには思えないので、可能なら、安楽死など不要となることが望ましいとは思う。 -
Posted by ブクログ
安楽死と医師会に焦点を絞った、久坂部羊さんらしい医療への問題を掲げた作品。
21歳の末期癌患者である若者の除ききれない激痛と向き合う主治医白川。
付き添いをしている伯母の頼みもあり、患者自身の意思を確認したため、安楽死を決断する。
しかし、殆ど見舞いにも訪れなかった母親によって告発される。
安楽死の四要件(P46)
患者が耐えがたい肉体的苦痛に苦しんでいること。
苦痛を除去する方法を尽くし、ほかに代替手段がないこと。
生命の短縮を承諾する本人の、明示的な意思表示があること。
死が避けられず、死期が迫っていること。
白川も感じているが、この要件って少しおかしい。
痛みがあって苦しんでいて、死期が迫っているのなら死ぬのを待てるはず。
痛みがあって苦しんでいて、すぐに死ねないからこそ何とかして欲しい何とかしたいと思うものだ。
どんな患者でもこの要件を満たすことなど出来ないのではないだろうか。
安楽死の問題は高齢者の問題と考えられがちだが実際は違う。
高齢者なら、心臓その他の臓器の衰えがあるため、じきに死ねる。
若い癌患者だからこそ、心臓がいつまでも止まらない。いつまでも苦しまなければならない。
このことに気づくのは、やはり医療の現場にいる医師や看護師だからこそと感じる。
頭で考えるだけで現場の実態を知らない裁判所だから、こういった実態に見合わないトンチンカンな規定を平気で揚げてくる。畑の違う問題を深く知らない人間が判断するということは、随分と恐ろしいことだと感じた。
久坂部羊さんの作品は全体として長めのものが多いが、テーマが明らかで読みやすく書かれているものが多い。その中では本作はやや纏まりが悪いというか盛り込みすぎてしまったかもしれない。
安楽死の問題に始まり、医師会の問題へと展開していくのだが、引き込まれにくい。安楽死に比べて医師会の問題をすぐに想像出来ないからだろう。
医師会が正しいものでないと患者に影響があることはわかるが、そもそも医師会がよくわからない。作品を読んでいけばわかるのだが、やはり直接の問題ではないし、患者がどうにか出来る問題ではないため伝わりが悪いのだと思う。
残念だと感じたことは、上巻の最後のほう食事の場面での描写。
冬らしい冬瓜って、冬瓜は夏野菜ですとツッコミを入れつつ下巻へ。 -
Posted by ブクログ
医療過誤は、ニンゲンであるからこそ、起こる。
それを どう防ぐかが 課題なのだが。
松野という ジャーナリスト。
正義 という言葉を振り回すいやな記者。
そのオトコが、医療過誤を 追求する。
設定の角度が イマイチ だね。
自分が ガンだと診断されたが、それが誤診だった。
その体験が 医療に不信をもち、追求しようとする。
江崎は 麻酔医。
痛恨のミスを 事例として集める。
なぜなのか?
どうも、その動機が よく見えない。
医療を どのように 変えていくのかが
見えていないような気がするから、物足りないのか?
香村は 心臓外科の助教授。
エリート中のエリート。
研究の水準が高いが、手術は 雑だった。
教授選が まもなく、おこなわれる時に
医療ミスを 起こして、隠蔽しようとしている。
告発文が医療過誤で死んだ父親の娘の
中山枝利子にとどき、裁判を始めることに。
江崎は それを 助けようとする。
それで、暴漢に襲われ、左遷される。
佐久間和尚という 厚生労働省の 主任企画官。
『寝たきり老人』が 日本の課題という。
心臓が強くて、アタマの血管が弱いという。
若肉老食 の時代。
さて、どんな展開となるのか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻はかなり惹き込まれて読んだのですが、下巻は上巻でちりばめられたいろんな要素の畳み方がちょっと雑に感じられてしまい、残念。
まずはJAMA。様々な知謀を巡らせて国内医療の覇権を握ったと思ったら、代表の新見はおかしくなっちゃうし、その後不自然なほどバタバタと人が死んでいくし…
そして阻止連。結局無能な集団のまま消滅。唯一まともだった東氏は新見の手でアッサリと離脱。古林康代もサックリ死亡。
これだけ関係者が不審死してたらだれがどう見ても超怪しんで、わずかでも関係している人たちに捜査の目を向ける思うんだけど。
で、話の黒幕「センセイ」の正体のガッカリ感といったら…正直、何の驚きも無かったし、この程度のヤツが黒幕かーという残念感しかありませんでした。
もっとも最後、各組織がグダグダになるところや、不審死が相次ぐことの影響とかまで考えが至らないのは、「センセイ」があの程度の人だからかなー、と変なところで納得。
ヘビーで関心が強かった題材なだけに、良い出来であってほしいという期待感が大きすぎたのかもしれません。(同著者の「無痛」が個人的にヒットだったのも、その期待感に繋がってたと思います。)