勝田文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
絵柄が、前歯の裏にくっつくような、のっぺりとした独特のものなので、表紙だけを見た時は「んぅ~」と思っていたが、読んでいる内に、深い落ち着いたコクのあるストーリーに苦手意識を払拭された
どの編にも、食べ物と食事風景が出てくるも、食漫画のジャンルに入れたいほどではない
だが、裏表紙のあらすじにもある通り、「おいしい短編集」ってのは間違いない
豚のしょうが焼きのようにガッツリとはしていない、カレーライスのように万民受けする感じでもない、お好み焼きのように腹に溜まるほどでもない
当初こそ、おでんのような“美味しさ”かな、と思っていたが、この感想を書くにあたり、数度ばかり読み返してみて、鍋物だな、と確信 -
Posted by ブクログ
幼い頃にたった一人の肉親である母を亡くし、その母の親友一家に引き取られて育ったヒロイン梅子。
その家の一人息子である蔵之介とは兄妹のように育ったが、周知の事実であるかの如く、梅子の高校卒業と同時に結婚しちゃった話からこの物語は始まる。
(いや、結婚に至るまでには、もちろんひと悶着あったのだけどね)
お互いを「好きだ」というような情熱はひとつも描かれていないけれど、兄妹のような幼馴染みだったからお互いの存在はあって当たり前、さりとてなくなると息苦しい空気のように、大事な存在なのだなぁ。
イケメン(されどうだつのあがらぬ優男)蔵之介の家族への愛情、特に乃子への子煩悩な姿に和みっぱなしの私(笑)
小 -
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5年生で友達になったアイちゃんとミポリン。二人とも卓球が上手で、もっと二人と仲良くなりたい若菜は卓球を始めた。やり始めると楽しくて、二人に色々教えてもらいたいのに、二人ともそうそう乗り気になってくれない。そんな時、児童館で卓球大会が開催されることに。ダブルスなので一番ヘタッピな自分は遠慮して、二人に出て優勝を狙ってもらおうと話をしていると、同じクラスの変わり者のシーラが声をかけてきた。ひょんなことから、若菜とシーラ、アイちゃんとミポリンで試合に出ることになった。
シーラのキャラが天真爛漫で可愛くて、若菜がちょっとグズグズしてても気にならないくらいテンポ良く話が進みます。卓球と友情のお話。シー -
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表題作は漫画版で日本版の《あしながおじさん》。いつか自分なりに《あしながおじさん》を物語として描くことが実はこっそり目標だったので私は漫画家でも作家でもないが先を越されたとわけのわからない悔しさをあじわったものの素直に素敵な漫画になっていて読めて嬉しかった。また表題作以外の収録作もすべていい。勝田文の描く人物は年甲斐もなくぐずぐずしていることが多いがそれが本当に魅力的だ。ぐずぐずしていてちょっとひねてるけどうぶで純粋ででももちろんそんなことは照れて絶対認めないそんな登場人物たちがかわいくて仕方がない。表題作以外では特に《パーラー》が好き。