勝田文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ読みきり連作です。
楽譜に例えるなら、組曲集みたいな感じ。
芸姑だった母を早くに亡くしたヒロイン・梅子と、ヒロインがひきとられた旅館の息子で、事故によりピアニストの道を立たれてしまった蔵之介を中心としたお話です。
音楽の話もたくさん出てきて話に絡んできますが、小難しいことは一切なしで軽いタッチで描かれています。
笑える要素もたくさん。お祭りの占いのくだりは爆笑してしまいました。
劇的な展開はないものの、よく考えてみたら凄くヘビーなものを抱えているはずの人たちを明るくさらっと描いています。
最終話の蔵之介の葛藤や決断、梅子の想いは、そんなに深刻そうな描き方をされていないのに、ぐっと来るもの -
Posted by ブクログ
『本自体が放つ品格』
大好きな、大好きな小説の漫画版です。
書店でこのコミックを見つけたときに「なんと無謀なことを」と
斜に構えていたはずなのに、
どうも本自体が放つ品格が気になってレジへ。
結論として、ジーンとしてしまいました。
軽いタッチの絵柄ですが、原作への敬意と自己表現のせめぎ合いが
全ページから感じ取れて、思わず背筋が伸びます。
勝田文は未知の作家でしたが、良い。
不明を恥じつつ作品を追いかけてみます。
もちろんこの後、原作も再読しました。
やはり良い。
何度読んでも薄れることがありません。
良い本との出会いはそれだけで財産ですね。