小野寺健のレビュー一覧

  • 嵐が丘(下)

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    オースティンがイギリスの中産階級における人間の社会性とか理性、そして感情を描いたのに対して、エミリー・ブロンテはそれらはとは全く対極にあるものをテーマにして実存小説を書いた。
    キャサリンとヒースクリフのお互いに対する、一般的な人間が共感できない感情が著者が描きたかったのだと思うが、まあそれは当時評価されなかったのも頷ける。
    最終的には悲劇も新しい幸福の芽吹きも、イングランドの荘厳な自然に回収されていくのだ。

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    2026年06月14日
  • 嵐が丘(下)

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    この表現であっているのか分からないけど、
    凄く体力がいる本だ、、
    人生をかけて復習をしたヒースクリフが行き着く先とは。
    やってることはとんでもない。

    ただ、惹かれあうのはどうしたって
    感情だけでどうにでもならないのだろうな。
    そして翻訳のかたの解釈まで乗っていて、
    より深く味わえる本だった。

    これが映像になるのが楽しみで仕方ない。
    憎悪、愛着、執着が詰まった話だった。

    本ってすごい、こんなにのめり込んだの久しぶり。
    最近本の魅力に気がついて、
    新参者だからこれからたくさん開拓していきたいな。

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    2026年03月15日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    ノーベル文学賞を受賞したカズオイシグロ氏のデビュー作とのことです。
    今イギリスで生活している女性の人生について、戦後の長崎で生活していた時の記憶を交えて描かれています。

    「遠い山なみの光」というタイトルは、主人公の女性の記憶にある戦後まもない長崎の風景と当時の将来への希望を表したものであると思います。

    ストーリーですが、主人公の悦子はかつて戦後まもなくの長崎に夫と二人で生活していて、初めての子供を妊娠して幸せに暮らしていました。女の子を出産後、理由は描かれていませんが当時の夫とは別れ、二人目のイギリス人の夫と共に娘(景子)を連れてイギリスに渡り、現在はイギリスの田舎で生活しています。

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    2026年01月13日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    ネタバレ

    万里子に繰り返し「なんでそんなもの持ってるの」と言われる、あの綱。
    あれは景子の首に掛かるものだったのか。
    佐知子の記憶が現在の心境によって揺らがされていることに気づいてハッとさせられた。

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    2025年12月06日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    ネタバレ

    カズオイシグロは、前にも日の名残り、私を離さないでを読んだことがあり、
    今回映画化されたことを受けて興味をもって読んだ。
    流れ、雰囲気は日の名残りに近い。
    途中途中のエピソードが何に繋がるのか、なんでそのようなことを思い出すのか、最後に少しわかる。

    相変わらずの読後感に圧倒されたが、今回一番圧倒されたのは、意外にも巻末の三宅香帆さんの書評だった。
    書評に解説が書いてあり、人によってはつまらなく感じるかもしれないが、自分は三宅さんの書評を読んでこの本の理解と読後感を深めることができた。

    人は誰しも人には言えないことを抱えて生きる。
    そして、テクニック的には書かれていないことを想像して読むのが

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    2025年11月19日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    オーウェルはパリとロンドンで自ら進んで窮困生活を送った。その時の様子を彼らしい文章で描く傑作。誰のせいで人々は貧困から抜け出せないのか。彼が後に書く有名な小説のベースは間違いなくここでの貧困生活。

    Down and Out in Paris and London
    George Orwell, 1933

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    2025年10月24日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    深い。
    これは秘密にしたい後悔という「亡霊」の物語である。
    それは足元にからまった縄のように、私たちに気もつかぬうちに絡まりついている。

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    2025年10月18日
  • 嵐が丘(上)

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    ネタバレ

    恋のから騒ぎの曲。
    昼ドラ華の嵐。
    上巻はストーリーが面白くて夢中で読んでいたが、下巻では登場人物が想像できない程に残酷で、続けて読む気がしなかった。

    こんなに酷い人間を創造できる作者の女性が怖かった。
    作者の父親はアイルランド出身で差別されていた。
    閉鎖的な田舎で暮らしていた環境が残酷なキャラクターを生み出したのか。
    ベルギーに留学しているので、視野は広げられたはず。
    あとがきによると、同じ時代のジェインオースティンは、幸せに育てられて、その著書の内容にも反映されている。

    環境と教育が大事。
    ヒースクリフを親切で拾ってきたばっかりに、隣家も巻き込んで不幸の連鎖。
    代々同じ環境で育つと、不

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    2025年10月18日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    オトラジシリーズ。
    市井の人々の鮮やかな描写に驚くばかり。
    一九八四年に通ずる体制批判も垣間見えた。
    人の本質を突いた魅力的な一冊。

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    2025年09月13日
  • 嵐が丘(下)

    購入済み

    この緻密で酷薄で、これほどに情熱的な物語を、1800年代というだいぶ前の、田舎に住む、おそらくは人生経験も限られた二十代の女性が完成させたとはとても信じられません。
    まさに唯一無二と言ってよいでしょう。

    そしてこの激しい作品を完成させた女性は、人生に挫折し若くして逝去した実兄の後を追うように、三十歳で亡くなりました。常に毅然とし、作品へのどのような評価も聞き流していたといいます。

    天国の眠りとしての成就でなく、迷える魂となって再び荒野を駆け巡りたい。
    そう断言した著者を、心から敬服します。

    翻訳者も、心底疲れたとあとがきに書いていましたが、著者の強くどこまでも深い魂に触れた、本当によい翻

    #泣ける #感動する #深い

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    2025年06月09日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    パリとロンドンでの極貧生活を綴った作品。
    勝手にもう少し社会批判的な内容を想像していたが、作者が作中でいうとおり単に「旅日記」としても面白く読めた。

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    2025年03月27日
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

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    ジョージ・オーウェルが何を思い描き「動物農場」や「1984」を綴ったか、そして彼の生活を愛する様子がエッセイや手紙を通して語られている。
    彼は意外にも愛しく思う女性と結ばれ、家庭を持ち、親しい友人と適度な頻度で文通していた。全体主義を文学的に批判する様子を見て、鋭い洞察力を磨き、鍛練に勤しんでいる、若干ではあるが冷徹な人であると思い込んでいた。
    しかし、本書を読み終えて、彼もイギリスで貧しいながらも執筆を積み重ね、また、その中で戦争や貧困、ファシズムを経験し、苦労の末に書き上げた一作なのだと理解することができた。

    文学者の生涯を追いつつ、彼らの思いを想像するというのも粋な体験だなと思った。

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    2025年03月25日
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

    匿名

    購入済み

    ジョージ・オーウェルというと『1984年』や『動物農場』のイメージから政治性の強い作家とのイメージが強いですが(実際そうなのですが)、このエッセイでは彼のもう一つの側面であるとともに、そうした政治への関心の根っこにあるとも言える生活に関するエッセイが見所となっていると言えるかと思います。オーウェルは「ナショナリズム」を批判していますが、パトリオティズムを擁護しています。その背景にここに書かれているようなイギリス的な生活への愛着があったのだなと思わされます。

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    2024年08月17日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    前半のパリでは、高級ホテル、高級レストランで働いていた筆者がその裏側のとんでもないカオスぶりを面白おかしく描き出す。人物描写が巧みで、活気にあふれた破茶滅茶な喧騒があたかも目の前で起きているかのような臨場感。どんちゃん騒ぎのパリ、ちょっとみてみたい。
    後半のロンドンは、浮浪者に身を窶した筆者の、まさしく放浪記である。魅力ある浮浪者仲間の生き様はときに明るく読める瞬間もあるが、根本的にはイギリスの制度上の問題や大衆の意識について、鋭い疑問を投げかけている。

    ブレイディみかこ氏の「労働者階級の反乱-地べたからみた英国EU離脱-」でも似たようなことが述べられていた点は非常に面白い。
    本書は約100

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    2023年11月05日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    前半はパリの貧窮生活、後半はロンドンの浮浪者生活を描くルポルタージュ。

    パリのホテルの裏方現場の様子が、具体的かつとてもイキイキしていて、目に浮かぶようだ。
    ロンドン生活の描写はもっとあっさりしているが、罵言の変遷や施しを受ける浮浪者の心理など、オーウェルの着目点は今読んでも新鮮で魅力的だ。
    翻訳もとても読みやすい。

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    2023年11月02日
  • インドへの道

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    前半ではイギリス人とインド人が分かり合える希望がある。しかしある事件をきっかけにその希望が途絶えたように思われ、インド人アジズの反英感情は爆発する。それでもいつかは本当の意味で友人になれる日が来るのではないかという希望が再び暗示される終わりを迎える。

    まごうことなき傑作。イギリス人がインド人を軸にこのような物語を書けるものなのか。著者E・M.フォースターのもう一つの代表作『ハワーズ・エンド』は好きな人もたまに見かけるが、個人的にはそっちよりもこちらの方が好みだった。

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    2023年08月05日
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

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    言わずと知れた『動物農場』『1984年』の著者、ジョージ・オーウェルのエッセイ!どんな人なのかと思ったら、回顧主義者のちょっとメンドクサイおっさんで、食器洗いに苦心している庶民的なところもあり、全文通して真面目な文体なのにめっちゃ面白い人だった(interestingというよりfunny)!

    第2部の『ジュラ島便り』はジョージ・オーウェルが知人にあてた書簡をとりまとめたものなのだけど、この時に、あの『1984年』を書いていたんだなぁ、と思うと不思議な感じです。この手紙を書いた2、3年後には亡くなってるんですよね。人生は短い。

    もし、ジョージ・オーウェルが現代に蘇ったら、私なら間違いなく、い

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    2022年11月18日
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

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    津村紀久子さんの「苦手から始める作文教室」の中で、紹介されていたので、すぐ本屋で買って読みました。「動物農場」「1984年」など、全体主義に対する反体制の強い作品のイメージがある著者の柔らかな目線で、綴られる随筆集です。紅茶の淹れ方や、クリケットのことなど、日常で思うことをありのままエッセイとして描いているので、とても読みやすかったです。著者のイメージが180度変わりました。

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    2022年10月30日
  • 嵐が丘(上)

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    嵐が丘に行ってふたつの屋敷を行き来してみたい
    でも実際にそうしなくても、想像の中で何度もそうできた
    ドロドロしてもよさそうだし実際ドロドロしてるのだろうけど、嵐が丘の爽やかさと主人公ふたりの情熱的ではあるもののピュアな精神がそう感じさせない
    愛憎劇という言葉がなぜかピンとこないのは多分そのせい

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    2022年07月31日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    『屋根裏部屋の一つには、仮装舞踏会で履くようなアメリカ向けのけばけばしい靴を作っている、ブルガリア人の学生がいた。この学生は六時から十二時までベッドの上にすわりこんで十二足の靴をつくり、三十五フラン稼いだ。そして、あとの時間はソルボンヌの講義に出るのだった』

    ジョージ・オーウェルといえば「1984」で、全体主義を揶揄するディストピア小説ということになるのだろうけれど、近未来として描かれたその年は既に過去の時となり、危惧されていた第三次世界大戦も起こらず、現実の世の中はオーウェルが極端に描いて見せた世界とは異なっている。しかしそこに描かれた人々の暮らしは、実のところ絵空事ではなく、少しだけ見方

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    2021年10月21日