小野寺健のレビュー一覧

  • 遠い山なみの光
    先に名前のインパクトのある、素直に素晴らしいだろうと思い実際に文学に触れた重篤感があり、なにより読み易い。なんだろうかこの感覚は、たしかに不思議な登場人物に終わらせ方に ラストもページ捲ってありゃまあニキのお見送りが終わりかいってなあーってこと。ニキもそうだが掴みきれずに 万里子も、うーむだし、景子...続きを読む
  • パリ・ロンドン放浪記
    前半のパリでは、高級ホテル、高級レストランで働いていた筆者がその裏側のとんでもないカオスぶりを面白おかしく描き出す。人物描写が巧みで、活気にあふれた破茶滅茶な喧騒があたかも目の前で起きているかのような臨場感。どんちゃん騒ぎのパリ、ちょっとみてみたい。
    後半のロンドンは、浮浪者に身を窶した筆者の、まさ...続きを読む
  • パリ・ロンドン放浪記
    前半はパリの貧窮生活、後半はロンドンの浮浪者生活を描くルポルタージュ。

    パリのホテルの裏方現場の様子が、具体的かつとてもイキイキしていて、目に浮かぶようだ。
    ロンドン生活の描写はもっとあっさりしているが、罵言の変遷や施しを受ける浮浪者の心理など、オーウェルの着目点は今読んでも新鮮で魅力的だ。
    翻訳...続きを読む
  • インドへの道
    前半ではイギリス人とインド人が分かり合える希望がある。しかしある事件をきっかけにその希望が途絶えたように思われ、インド人アジズの反英感情は爆発する。それでもいつかは本当の意味で友人になれる日が来るのではないかという希望が再び暗示される終わりを迎える。

    まごうことなき傑作。イギリス人がインド人を軸に...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    カズオイシグロさん、生まれも育ちもイギリスだとおもってたけど、5歳までは日本に居たのね

    足に絡まるロープがループするとこ怖
    えつこさんがさちこさん、、?
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ
    言わずと知れた『動物農場』『1984年』の著者、ジョージ・オーウェルのエッセイ!どんな人なのかと思ったら、回顧主義者のちょっとメンドクサイおっさんで、食器洗いに苦心している庶民的なところもあり、全文通して真面目な文体なのにめっちゃ面白い人だった(interestingというよりfunny)!

    第2...続きを読む
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ
    津村紀久子さんの「苦手から始める作文教室」の中で、紹介されていたので、すぐ本屋で買って読みました。「動物農場」「1984年」など、全体主義に対する反体制の強い作品のイメージがある著者の柔らかな目線で、綴られる随筆集です。紅茶の淹れ方や、クリケットのことなど、日常で思うことをありのままエッセイとして描...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    戦後の諦めを含んだ前向きさとか、イデオロギーの急変による軋轢とか、親と子とか、後悔とか、折り合いとか。本当にすごい。
    池澤夏樹の解説も良い。

    250
    「いまさら、むしかえしてみても始まらないわ」
  • 遠い山なみの光
    後半に向かうにつれ、何を語っているのかが見えてきて、ぞくぞく恐ろしい。
    原爆に遭い家族を亡くしたエツコの記憶の混同と異常性。
    自分の生き方を肯定しながら、記憶の中で、上品で優しく明るい自分を作り上げながら生きてきたのであろうことも。

    カズオイシグロ作品に多く見られる記憶の捏造。
    記憶を作り替えなけ...続きを読む
  • 嵐が丘(上)
    嵐が丘に行ってふたつの屋敷を行き来してみたい
    でも実際にそうしなくても、想像の中で何度もそうできた
    ドロドロしてもよさそうだし実際ドロドロしてるのだろうけど、嵐が丘の爽やかさと主人公ふたりの情熱的ではあるもののピュアな精神がそう感じさせない
    愛憎劇という言葉がなぜかピンとこないのは多分そのせい
  • 遠い山なみの光
    再読。いやこれめちゃくちゃ怖くない?なんで昔読んだときは気づかなかったんだろ?ぜんぜん女性の自立とか復興への希望みたいないい話じゃないじゃんか。解説書いた人トチ狂っとるんか?
    「信用できない語り手」という補助線を引いて読むべきだった。語り手による語りは信用できないものだということは緒方さんの饒舌さが...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    女性の男性からの独立や、不条理なパラダイムシフトで没落した人々のもがきといった、複数のテーマが書かれている。

    回想の中で過去と現在を行き来し、「いい母親」よりも非隷属的な、自立した女性になることを選んだ自己を、同じ選択をした過去の友人に重ね合わせる。友人に対する非難は、過去の自分からの、現在の自分...続きを読む
  • パリ・ロンドン放浪記
    『屋根裏部屋の一つには、仮装舞踏会で履くようなアメリカ向けのけばけばしい靴を作っている、ブルガリア人の学生がいた。この学生は六時から十二時までベッドの上にすわりこんで十二足の靴をつくり、三十五フラン稼いだ。そして、あとの時間はソルボンヌの講義に出るのだった』

    ジョージ・オーウェルといえば「1984...続きを読む
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ
    ジョージ・オーウェルの随筆集。「Ⅰ食事・住まい・スポーツ・自然」完璧な紅茶の淹れ方についての議論はつきなさそう。ガラクタ屋の雰囲気やスクラップスクリーンに妙な魅力を感じる。「Ⅱジュラ島便り」この章は個人に宛てた書簡が中心なので、当時の生活風景や人となりが伝わってきて好き。「Ⅲユーモア・書物・書くこと...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    戦後の騒乱の中で生きた女性の物語。
    戦前、戦中に良いとされていたものは覆され、戦後には戦前の地位や名誉はなんの意味もなくなる。
    愛国主義を掲げて教壇に立っていた義理父は戦後、落伍者となり息子にも相手にされず、ひっそりと隠居生活を送る。
    戦争で旦那を亡くした佐知子は、娘の万里子とともにアメリカ人の愛人...続きを読む
  • パリ・ロンドン放浪記
    『1984年』、『動物農場』と、政治思想を前面に押し出した作品を書いた著者が、どのような旅の記録をまとめるのかと身構えつつ読んでみたけれど、これは面白い……。
    いえ、面白いと言ってはいけないのかも。
    パリとロンドンでの浮浪者生活を描いたものなのだから。
    パリでは道端で人が死んでも驚かないほど無気力な...続きを読む
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ
    オーウェルといえば1984や動物農場などの作品のイメージが強いけれど、このエッセイを読んで彼に対する印象が大きく変わった。特に1章の食事や日常生活に関する内容がとても面白い。電車の中で笑いをこらえてしまうようなところさえあった。筆者が言うには、おいしい紅茶を入れるには11点もの譲れない条件があるらし...続きを読む
  • 嵐が丘(下)
    愛か憎悪か。より深淵な感情が物語を衝き動かす。英国北部の広大な二大豪邸に道徳と教養を奪われた無法者が放たれる。禍いは明らかだ。自然美溢れる丘陵地帯を舞台に荒れ狂う魂が躍動する。獰猛な恋慕に終焉は無く、未だに奥底で燻り続けている。
  • パリ・ロンドン放浪記
    あまり期待せずに読み始めたら面白くて止まらなくなった。オーウェルの観察眼と表現力が光る。翻訳も素晴らしい。

    パリ編もロンドン編もおもしろいが、特筆すべきだと感じたのはP232〜234で、オーウェルが自ら経験した窮乏生活から学んだ「物乞いの社会的地位」について述べている部分が感慨深い。

    それに続く...続きを読む
  • パリ・ロンドン放浪記
    この本を普段の生活では味わえない価値観というエンターテインメントとして捉えたくはないと思った。

    現在日本も人手不足だけど、法律や福祉を正せば輝ける人材もあるのではないかと思う。

    ホテルに対する記述が、私が思っていたけど言葉にできなかったもやもやを晴らしてくれた。
    「高級といわれているものの実質は...続きを読む