小野寺健のレビュー一覧

  • 嵐が丘(下)

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    ネタバレ

    文学史上に残る世界的な傑作……とされているが、個人的にはそこまで評価したいとは思わなかった。理解が難しいこともあるが、そもそも内容が暗すぎるのである。とくにヒースクリフは、いまでいう「サイコパス」としか思えない。屋敷を2つとも手中に収め、両家の家族をバラバラにしてしまうその様は、人こそ殺してはいないが、「北九州一家監禁殺人事件」「尼崎連続殺人事件」を想起させられた。むろん、内容が暗いからといって文学として質が低いということはないし、実際このような物語を着想することはすばらしいと思うが、とはいえやはり1人の読者として、積極的に評価したい気持にはなれなかった。最終的にキャシーとヘアトンが結ばれたこ

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    2022年04月15日
  • 嵐が丘(上)

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    ネタバレ

    文学史上に残る世界的な傑作……とされているが、個人的にはそこまで評価したいとは思わなかった。理解が難しいこともあるが、そもそも内容が暗すぎるのである。とくにヒースクリフは、いまでいう「サイコパス」としか思えない。屋敷を2つとも手中に収め、両家の家族をバラバラにしてしまうその様は、人こそ殺してはいないが、「北九州一家監禁殺人事件」「尼崎連続殺人事件」を想起させられた。むろん、内容が暗いからといって文学として質が低いということはないし、実際このような物語を着想することはすばらしいと思うが、とはいえやはり1人の読者として、積極的に評価したい気持にはなれなかった。最終的にキャシーとヘアトンが結ばれたこ

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    2022年04月15日
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

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    タイトルになっている紅茶の淹れ方(ミルクが先か紅茶が先か)から始まるエッセイ。
    冬に故障する水道管や終わらない皿洗いに文句を言っていたりはわかるぞ、となる。

    手紙に丁寧に自分の住む田舎への行き方の記載(何時の船に乗って、ここからはハイヤーで、この町で宿をとった方が、等)が細かく丁寧。

    しかしよくよく読んでいくと戦争や国家の体制への考えなどは『1984』の著者なんだなあ、と感じさせるものがある。
    巻末の「ウクライナ版への序文」は今のロシアとウクライナの戦争状態を想起する。

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    2022年03月16日
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

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    『1984年』のジョージ・オーウェルの随筆および書簡集とあったので読んでみた。
    これを読むと、ごくありふれた生活感情の持ち主だったことがわかる。紅茶の淹れ方のこだわりや、ビール大好きなところなど、何だか微笑ましくさえ感じられる。だからこそ、『1984年』や『動物農場』がこの人によって書かれたのだということに意味を感じる。当たり前の生活感情を持った一個人だからこそ、当たり前でない「何か」が生活の中に忍び込んでくることにアンテナを立てられたのかもしれないということ。そして、当たり前の生活感情と非凡な表現能力は乖離しないものなのだということ。当たり前に暮らしながら、当たり前でない何かを残せることに、

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    2021年12月23日
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

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    1984の作者ってこういう人だったのか、という驚き、安心。最後の「なぜ書くか」があって1984の見方が変わった。

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    2021年05月15日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    ジャック・ロンドンと違い、著者はイギリス人=ヨーロッパ人であること、そして、必要に迫られて貧乏暮らしをしたことなど、貧しさが他人事ではない印象。
    そして面白いのは、母国については批判的なのに、パリに対しては友人のような気安さがある。

    「金が人間を労働から解放してくれるように、貧乏は人間を常識的な行動基準から解放してくれる」
    そして、考えないようになっていく。
    本当の貧乏の中で、革命は生まれないのではないかという気づきが新鮮だった。

    そういう意味で、今の日本は全体的に貧しいと思う。誰も自分で考えず、誰かが考えてくれるのを待ち、それが気に入らないと「批判」する。

    そんな仕組みの中で、埋もれな

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    2021年04月17日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    オーウェル最初の単行本のせいか、それとも小説よりこういうルポのほうが本人の気質に合っていつのか、実にイキイキして面白い。1920年代の貧乏な人々の暮らしと息づかいが目の前に。

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    2020年09月01日
  • 嵐が丘(上)

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    個性のある登場人物たちが出会い、化学反応を起こながら話が展開していく。冒頭の人物関係図は読むのに役立つが、反面ネタバレ要素もあり微妙なところです。話の中心人物であるヒースクリフの高等が謎で、キャサリンを差し置いてなぜかイザベラと結婚してしまう謎は下巻でもう少し明らかになるのでしょうか。上巻での説明では納得出来ないです。最後のページで物語の主観者であるロックウッドが話に介入する予感があって楽しみです。
    上巻はまさに語り部であるネリーが奇しくも言ったダラダラ感があります。下巻でテンポよく進む展開でありますように。

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    2019年09月16日
  • 回想のブライズヘッド 下

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    これの上巻も含めて何冊か自分が読んだウォーの本の中で、一番文章が心に響いた。英国貴族の没落を描いてアメリカでウケたという内容(ヒイ)。テーマはカソリックにこだわって自分の幸せを見出だせない愚かな生き方なのだろうか。メンツって大事だけど「なんのためのだ?」と気付いちゃうと全てが崩壊する。下巻で全く出てこないセバスチャンのように酒浸りになる。その行為こそが神に近付くことだそうで。まあ働かなくても生きてけるならそれも良し。

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    2018年12月16日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    BRUTUSの危険な読書特集で気になった一冊。
    「放浪記」なので、多少は「旅行記」的な内容も期待してはいたんですが、まったくそんなことはなく、1920年代当時のパリとロンドンの底辺での生活を、文字通り放浪しながら綴ったルポタージュ。
    ジョージ・オーウェルって「1984」で名前を聞いたことがあったけど、これが原点なんですね。
    とりあえず、南京虫が気になった。

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    2018年09月20日
  • 嵐が丘(上)

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    海外文学は敷居が高いように感じていたのですが、手始めに母が少女時代に読んでいたというこの作品を手に取ってみた。
    アーンション家一族、気性が荒すぎて恐怖さえ抱きます。狂気じみてる。下巻が楽しみです。

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    2018年05月24日
  • 嵐が丘(上)

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    初めてのブロンテ、と言うより元々海外の小説はあまり読まないので、こんな有名な3姉妹作家と作品それ自体の存在を知らなかった…。何人かの友人はこのウェブ本棚を見てくれているので、幾人かが失笑している顔が思い浮かびますw。

    まだ下巻を残しているが、この小説は間違いなく当たり。血縁、愛憎を用いて地獄絵図を描くというのはベタベタな手法だし、ヒースクリフは「よくもまぁここまで…」というほどの極悪人なのだが、何故か「カッコイイ」のだ(そしてヒンドリーはカッコ悪いのだ)。ヒースクリフみたいなタイプを彼氏や結婚相手には絶対にしないだろうが、女性の読者にとっても魅力的なのはヒースクリフではないだろうか?(あくま

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    2016年05月27日
  • 嵐が丘(下)

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    私は『嵐が丘』というのは、イメージで恋愛ものだと思っていたけど、読んでみて要素はあるけど、とんでもない!復讐なのだ。

    狭い世界で数人しか知らない中で暮らしている。そんな中での復讐劇。

    最初の方で、家系図があり、なぜこの3人が一緒に暮らしているのか、とても疑問に思った。組み合わせがおかしいではないか?しかも、人間関係が最悪の状態なのだ。
    いったい何があって、こんなことになっているのか?
    その謎を家政婦ネリーの語る過去によってわかる構成になり、さらにその後が描かれている。

    ヒースクリフはある出来事から憎しみや嫉妬を増幅させ、言葉の端々で、態度で、人をコントロールし、表に出し切っていく。みんな

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    2015年11月25日
  • 嵐が丘(上)

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    ヒースクリフもキャサリンもなんて気性が荒いの。ヒースクリフは恐ろしいな。こんな人たちと暮らすなんて無理!
    レビューは下巻で書く。

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    2015年11月21日
  • 回想のブライズヘッド 上

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    オックスフォードの学生の自伝を記した小説である。ドイツの大学町の回想、仙台の回想、本郷の回想という中での一群の小説として考えればいいと思う。

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    2015年06月13日
  • ウェイクフィールドの牧師 むだばなし

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    我らが誇りは、倒れなかったことではなく、倒れる度に立ち上がったことであるという名言を残したとされるゴールドスミスの著者ということで購入。子供達の栄達を望むというある意味俗物的な希望をあからさまにしながら、素朴で品があるのがいい。勧善懲悪のラストもよし。200年前の外国の人も現在の我々と気持ちは変わらないものですね。

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    2015年04月14日
  • 嵐が丘(上)

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    狂った人たちによる愛憎劇。リントン家とアーンショウ家の人たちが狂っていく様子が凄まじい。ヒースクリフの復讐がどういう結末を迎えるのか楽しみ。下巻読もう。

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    2015年01月25日
  • 嵐が丘(上)

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    激情。野蛮なまでに人を愛すること。地位や裕福さが幸せにつながらない不条理さ。憎い、でも愛しいあなた。あなたは私そのもの。

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    2013年05月02日
  • 嵐が丘(下)

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    永遠に続く愛が困難なように、永遠に続く憎悪もまた困難である。人は生涯を憎しみで染め切れるほど強くはない。ヒースクリフは愛するが故に憎み、憎む事でまた愛情を確認する感情の永久機関を手にしたのだが、それは感情を向けるべき相手の死と折り合いをつけるための必然的産物だったのではないだろうか。「あたしは死しか感じもしなければ、見えもしないわ!死んだような気持ちよ」嵐が丘を染める感情の暴風雨が晴れたその先の風景は、やり切れない程の死の景色が広がっていた。著者が本作を刊行した翌年に病没してしまうことも、無関係ではない。

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    2013年02月15日
  • 嵐が丘(上)

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    再読。改めて読み返してみても凄まじい、荒れ狂う感情と罵詈雑言の暴風雨。著者の生い立ちを知った今となっては、思わず「お嬢さん、そんな辛辣な言葉をどこで身につけたのでしょうか」と問い正したくなる。ここには汲めど尽きぬ感情の濁流はあれど、純粋な感情は存在しない。愛は憎しみを帯び、憎しみが愛の源泉となるような、愛憎割り切れぬ思いが出口を求める事もなく渦巻いていている。決して嵐が丘の外の世界を描こうとせず、外部のものも決して関与できないその世界観が作者の内面そのものだと考えてみて、ただただ呆然とするばかりであった。

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    2013年02月13日