小野寺健のレビュー一覧

  • 回想のブライズヘッド 上
    オックスフォードの学生の自伝を記した小説である。ドイツの大学町の回想、仙台の回想、本郷の回想という中での一群の小説として考えればいいと思う。
  • ウェイクフィールドの牧師 むだばなし
    我らが誇りは、倒れなかったことではなく、倒れる度に立ち上がったことであるという名言を残したとされるゴールドスミスの著者ということで購入。子供達の栄達を望むというある意味俗物的な希望をあからさまにしながら、素朴で品があるのがいい。勧善懲悪のラストもよし。200年前の外国の人も現在の我々と気持ちは変わら...続きを読む
  • 嵐が丘(上)
    狂った人たちによる愛憎劇。リントン家とアーンショウ家の人たちが狂っていく様子が凄まじい。ヒースクリフの復讐がどういう結末を迎えるのか楽しみ。下巻読もう。
  • 嵐が丘(上)
    激情。野蛮なまでに人を愛すること。地位や裕福さが幸せにつながらない不条理さ。憎い、でも愛しいあなた。あなたは私そのもの。
  • 嵐が丘(下)
    永遠に続く愛が困難なように、永遠に続く憎悪もまた困難である。人は生涯を憎しみで染め切れるほど強くはない。ヒースクリフは愛するが故に憎み、憎む事でまた愛情を確認する感情の永久機関を手にしたのだが、それは感情を向けるべき相手の死と折り合いをつけるための必然的産物だったのではないだろうか。「あたしは死しか...続きを読む
  • 嵐が丘(上)
    再読。改めて読み返してみても凄まじい、荒れ狂う感情と罵詈雑言の暴風雨。著者の生い立ちを知った今となっては、思わず「お嬢さん、そんな辛辣な言葉をどこで身につけたのでしょうか」と問い正したくなる。ここには汲めど尽きぬ感情の濁流はあれど、純粋な感情は存在しない。愛は憎しみを帯び、憎しみが愛の源泉となるよう...続きを読む
  • 嵐が丘(下)
    ■ほかの訳も読んでみないと最終的に結論を言うことはできないんだけど、でも、イメージしてたよりもずっと「恋愛モノ」じゃなかった。いま私たちが言うところの「恋愛」とは違う。さらに、キャサリンとヒースクリフの間には身分差があるけど、社会的な問題提起をした小説でもない。
    ■キャサリンとヒースクリフの「愛」っ...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    カズオ・イシグロって村上春樹とよく似ているな~
    イシグロの小説は何冊か読んできたけど、
    この小説を読むと本当にそれを感じる。


    この二人の共通点は、
    どちらも「運命に対する態度」みたいなものを問題にしてるってことかな?
    物語がかもし出す不気味さ、不安感も似ているね


    相も変わらず回想調の美しい文...続きを読む
  • 嵐が丘(下)
    暴君ヒースクリフ怖ー。でも閉ざされた環境でこんなに複雑で憎しみに満ちた人間関係が、ある程度すっきりと終わった事に感動。
    登場人物全員が生き生きと描かれてる。
  • 嵐が丘(上)
    一旦造形された性格や品性っていうのはずっと変わらない物なんだと思った。でもそれは愛情感情も同じ。

    「嵐が丘」という題名にふさわしい登場人物達。荒々しい感情と相容れない立場をぶつけ合いながら、これからどうすればいいのか、どうなるのか、どうしたいのか。

    衝撃を受けつつも期待して下巻に進みます。
  • 回想のブライズヘッド 上
    イギリス文学の典型的な作品だと思う。
    全体的に暗いし、宗教的要素の強い作品だが、強く惹かれた。

    描写と人間心理の葛藤が好き☆
  • 回想のブライズヘッド 下
    セバスチアンはなにに苦しんでいたのか。
    戦争が人の運命をどう変えたのか。
    ジューリアがねぇ。
    お父さまはの中国の間。
    ひととひとか分かり合えるってことは
    あるよだろうか。
    信仰とはなにか。
    カトリックとプロテスタントの違い
    雑婚。
    結婚は人に幸せをもたらすか
    信仰がある人とない人との隔たり
    レックス...続きを読む
  • 回想のブライズヘッド 上
    テディベアを抱えている貴族のセバスチアン。
    アントニーはなぜ彼に惹かれたのか。

    信仰とはなにか。
    セバスチアンはなぜ苦しんでいたのか。

    イギリスの話で回想なのでライダーのいい時期のブライズヘッドという感がある。
  • 嵐が丘(下)
    狭い世界の中で、少ない登場人物たちがぎゅうぎゅうにせめぎ合っている。大自然にかこまれていながら不自然な環境。代々狭い人間関係で遺伝的な病もありそう…など無駄な想像か。誰が主人公とも言えず、誰も客観性を持ちあわせない、個と個の闘争。愛情にせよ復讐にせよ、何十年と熱意を持ち続けるのはものすごいエネルギー...続きを読む
  • 嵐が丘(上)
    冒頭から妙に引き込まれた。人嫌いすぎて、出てくる人出てくる人どんどん盛り下がって行くのが新鮮。本筋に入ると、今度は原色の絵の具がチューブから噴出して自分勝手に塗りたくっていくような激しさ。途中、冗長だなと感じたところで、本文にも「退屈な話」と。率直。
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ
    津村記久子『苦手からはじめる作文教室』でおすすめの本として紹介されていたので購入したもの。読んだばかりの荒川洋治『文庫の読書』でもとりあげられていて期待が高まる。
  • 遠い山なみの光
    こういうはっきりしない、行間を読みながら、想像しながら読む物語は苦手だったけど読み切れた。結局、景子が自殺した理由とか細かいところは分からず、終始、佐和子が過去を振り返り何か自分の心を整理するような感かじがした。日の名残と打って変わり、薄辛い印象のある物語だが、純文学とはこういうものかと新しいジャン...続きを読む
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ
    オーウェルの本が好きなので(まだそれほどたくさん読んだわけではないけれど)随筆も面白いんじゃないかと思い購入。イギリスの歴史や文化を知っていれば面白さが倍増すると思う。
  • 嵐が丘(上)
    個人的には、この作品を読んだ直後に出たケイト•ブッシュ「嵐が丘」を初めて聴いた時の印象が忘れられない。
    "It's me, your Cathy. I've come home. I'm so cold. Let me in your window."
    というフレーズは、この作品そのものです。

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  • 回想のブライズヘッド 上
    チャールズがセバスチャンの屋敷(ブライズヘッド邸)を訪れ、一緒にヴェネチアに行くあたりから面白くなる。