小野寺健のレビュー一覧

  • 嵐が丘(上)
    ※全体のネタバレになってしまうので、具体的なテキストレビューは下巻の方に書きました。

    非常に面白かったです。
    憎み合おうがどうしようもなく惹かれあう激しい愛憎劇がお好きな方にはほんとお勧め。
  • 嵐が丘(下)
    下巻は親世代の三角関係がすこしずらした形で子世代に反復される。
    ヒースクリフの悪辣ぶりには磨きがかかり、
    家政婦ネリーの皮肉が冴えわたる。

    それにしてもネリーはよくしゃべる。
    要はおばさんの長話だというのに
    これだけおもしろいなんて、もう反則である。
  • 嵐が丘(上)
    キャサリンはヒースクリフ、ヒースクリフはキャサリン。
    幼い日にかたく結ばれた愛情が
    許されないものだと知ったとき、
    若いふたりに致命的なすれ違いが生じる。その狂おしい顛末。

    あらためて読んでみると、ネリーしゃべりすぎ(笑)
    ネリーが妙な気をまわすせいで
    こじれてる部分もかなりありそうだし、
    案外「...続きを読む
  • パリ・ロンドン放浪記
    パリ編の方が断然面白い。「金は人々を労働から解放するが、貧乏は人々を常識的な行動基準から解放する」にはオオウケ。
  • パリ・ロンドン放浪記
    都市の貧困を自らの体験をもとに描く。出てくる人物が魅力的で、小説みたいにグイグイ読めちゃう。著者特有の超ピリ辛な社会考察も盛りだくさんで、現代社会においてもなお有効。うーん、さすが。とりあえずパリの高級レストランには行かないぞ。
  • オーウェル評論集
    英米文学の知識があれば、もっと楽しく読めたと思う。
    ディケンズの評論は何とか読んだが、他の文芸論は読まなかった。

    全編を通して伝わってくるのは、オーウェルの建前論を排した実直さ。
    ユダヤ人差別について述べた評論では以下の指摘が鋭い。
    曰く、
    「ユダヤ人差別について検討しようとするのなら、...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    タイトルからは想像できない、薄暗くてちょっと不気味な小説。
    現在居住するロンドンで自分の娘を自殺で亡くした悦子が、その体験をきっかけに、長崎に住んでいたときに出会った少し変わった母娘、佐知子と万里子との経験を回想するというもの。
    大戦直後、まだ原爆からの復興も道半ばの長崎を舞台背景に、母娘との出来事...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    あまり見えない双眼鏡が象徴的
    みようとしてもみえない、でもあながち間違ってない、暗がりの中にぼんやり浮かぶ日本像
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ
    J.オーウェルというと1984年と動物農場のイメージしかなく、生活のために書評や短文エッセイを書いていたとは知らなかった。
    文化や自然に関してあくまで保守的な態度である点、産業主義的な娯楽や全体主義に関しては批判的である点、洞察力に優れている点はイメージ通りだが、あの理知的な文章で食器洗いに毒付いて...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    はじめてのカズオ・イシグロ作品。

    幾度と出てくる自らの主張を正当化するちくはぐな噛み合わぬ会話から、戦後日本の価値観の移り変わりと混乱を感じる。

    娘の自殺、離婚・異国への移住。大きな出来事の全ては語られず、過去の日常を回想することで、その背景に何があったのか、受け取り方が無数にある。読み取りきれ...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    カズオ・イシグロ氏の作品、私はこれで二作目です。
    私は前回『私を離さないで』を読み、そのディストピア的雰囲気と他人の為に命を供することを運命づける命、という存在に、意識のある家畜などを想起しました。まあとにかく、その設定に魂消た。

    そして今回の作品も実は原作は40年前となかなか古め、そして不穏さが...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    アホやけん、解説見るまで対比させてんの気付かなかった
    この人は女にも男にも日本人にもイギリス人にもなれるな
  • 遠い山なみの光
    色んなことが分からないまま終わったけど、嫌じゃない。知りたかった結末もあるけど、ストーリー展開的に、分からないままでいいやって思えた。
    謎っぽい書き方だから、続きが気になって、割とすぐ読めた、
  • 嵐が丘(下)
    ヒースクリフと二代目キャサリンがどうなったのか
    が気になってサクサク読めた。
    物語を色に例えるならダークグレーかな。
    重苦しくて辛かった。
    なにしろベートーベンが生きてた古い時代に書かれた物語だから読みにくそうなイメージだったが、翻訳がとても自然で読みやすくて有り難かった。
    訳者は真剣にこの作品と向...続きを読む
  • 嵐が丘(上)
    登場人物は少ないのだが、少しややこしいため
    巻頭の人物関係図を何度も確かめてしまった。
    ネリーさんがお手伝いという立場にもかかわらず、
    自分の心情や態度を貫き通して勇ましいなぁと
    思った。
    読んでいて気持ちが灰色になったが続きが気になる
    ので下巻も読もう。
  • 遠い山なみの光
    イギリスの田舎町に住む「わたし」のところに、次女の「ニキ」がやってきた所から話は始まる。わたしは、二人で自殺した長女「景子」の話をしていると、生まれ育った長崎に戦後いた頃に出会った「佐知子」と「万里子」という母娘のこと思い出す。

    万里子は、戦時中の東京で、近所に住む女性が、自分の赤ちゃんを水に沈め...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    一旦読み終わったあと、また最初から読み返したくなる。
    悦子が長女を失ったことについての心情や詳細な経緯は語られない。悦子の長崎時代の回想を通して、「多分こうだったんじゃないか」「きっとそうだ」と読者に思わせる表現になっている。
    他の方のレビューでもあったけれど、そもそも語り手である悦子すら、本当のこ...続きを読む
  • 嵐が丘(下)
    ヒースクリフの復讐は次の世代をも巻き込んでいく。ネリーの語る回想は、冒頭で青年が見た光景まで進むが……。

    恋愛を扱っているのに恋愛小説っぽくなく、むしろ不気味なサスペンスを感じる下巻。しかしヒースクリフとキャサリンの愛にはすさまじいものがあり、そこだけは素直に感動した。キャサリンの方は上巻で本音を...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    面白かった。
    英語だとどんな風に描かれてるんだろうと、気になった。
    完全に作者の意図が理解できている気がしない。不思議な小説。
  • 遠い山なみの光

    なぜか引き込まれる

     授業の課題のため購入しました。
     淡々と進んでいく話の中で世界に引き込まれていきます。考察がありすぎて深いです。
     登場人物の類似点や時代背景に注目して読んでみてください。初めてカズオさんの小説を読みましたが、他の作品も読んでみたいと思いました。