小野寺健のレビュー一覧

  • 嵐が丘(上)

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    キャサリンはヒースクリフ、ヒースクリフはキャサリン。
    幼い日にかたく結ばれた愛情が
    許されないものだと知ったとき、
    若いふたりに致命的なすれ違いが生じる。その狂おしい顛末。

    あらためて読んでみると、ネリーしゃべりすぎ(笑)
    ネリーが妙な気をまわすせいで
    こじれてる部分もかなりありそうだし、
    案外「信頼できない語り手」なのかもしれない。

    小野寺訳はネリーの小姑じみた嫌味も、
    キャサリンの純粋さもうまくひろいあげてあざやか。
    おどろおどろしさだけでなく、
    風俗小説ふうのおもしろみがあることに気付かされた。

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    2011年01月26日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    パリ編の方が断然面白い。「金は人々を労働から解放するが、貧乏は人々を常識的な行動基準から解放する」にはオオウケ。

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    2010年06月18日
  • オーウェル評論集

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    英米文学の知識があれば、もっと楽しく読めたと思う。
    ディケンズの評論は何とか読んだが、他の文芸論は読まなかった。

    全編を通して伝わってくるのは、オーウェルの建前論を排した実直さ。
    ユダヤ人差別について述べた評論では以下の指摘が鋭い。
    曰く、
    「ユダヤ人差別について検討しようとするのなら、なぜあきらかに非合理なこんな信念が人々の心をとらえるのだろう?とは考えず、なぜユダヤ人差別思想はわたしの心をとらえるのだろう?という疑問から出発しなければならない。」

    また、なんらかの「主義」をもつ人々に対しての、「認めることの出来ない事実」の指摘も手厳しい。
    たとえば、平和主義者に対して、
    「彼らが暴力を「放棄」できるのは、他の人間が彼らに代わって暴力を行使してくれるからだ」

    凝り固まった頭が解れていくような気分になります。
    お勧めします。

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    2009年10月04日
  • 嵐が丘(下)

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    読書会のため再読。語りの入れ子、夢の多用、象徴となるアイテムなどで不安感が膨らむ。構造のシンメトリー。ネリーの見てない聞いてないことは語られていないので、謎は多い。これは人を惹きつけるわけだ。

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    2026年06月03日
  • 嵐が丘(上)

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    読書会のため再読中。鴻巣訳の新潮文庫も併読中。誰もいい人がいない。実はネリーも曲者なのでは?という気がしてきている。下へ。

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    2026年06月03日
  • 嵐が丘(下)

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    常套句に騙されるな!

    ヒースクリフはどうしてこう誰も彼も不幸にしなきゃ気が済まなかったんだろう?

    愛憎半ばする?愛と憎しみは紙一重?表裏一体?

    ほんとかよ

    愛が深ければ深いほど、それが裏切られたときの憎しみは深くなるのです

    ほんとかよ

    少なくとも、自分には愛が憎しみに変わった経験なんかないけどね

    常套句に騙されていやしないかい?
    常套句に自分の思考を乗っ取られてしまってはいないかい?

    そんなのはごめんだな

    だから言います
    ヒースクリフの気持ちは全く理解できない

    ただね

    ヒースクリフは愛するがゆえに復讐に駆り立てられたってとこも疑わないとだな
    そんな簡単なことだったのかな
    作者エミリー・ブロンテがヒースクリフに込めたのは百年後に常套句になってしまうような簡単な精神だったのかな〜

    教えて廣野由美子さん!

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    2026年05月09日
  • 嵐が丘(上)

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    ネタバレ

    キャサリンはヒースクリフを誰よりも理解し、強く結ばれているのに、彼と生きる選択はできなかった。彼女にとってヒースクリフは「愛する相手」であると同時に、「自分自身のような存在」で、現実の結婚相手とは別の場所にいたのだと思う。安定した生活や立場を求める気持ちと、本心とのあいだで揺れ続けた結果、どちらも失ってしまった。その弱さと矛盾が、物語全体の重く苦しい空気を生んでいるように感じた。

    嵐が丘の荒れの描写がリアル。

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    2026年04月19日
  • 嵐が丘(下)

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    リントンが最低。意気地も無く、卑怯で、泣き言でキャシーをつなぎ止めることばかりしている。
    これにまんまと同情して、もう会いにこないと言ったと思ったら
    すぐにリントンにまたかまうキャシーも
    いい加減にさっさと見捨てればいいのにと何度も思ってじれったかった。

    半ば無理やりリントンと結婚させられていたけど
    この時代、教会に行かず、役所に届けもせず、何を持って結婚した事実ができてしまうのか
    しかも相続まで絡んだ結婚が成立してしまうのか謎。

    キャシーがあんなにもヘアトンの無知を嘲笑っていたのも
    かなり性格が悪いと思う。
    ほんとに、ネリー以外にまともな性格のキャラクターは出ないのかと。

    ヘアトンがキャシーにそれでも近づきたくて
    向学心を持って関係が良くなっていくところは
    ちょっと良かった。

    しかしヒースクリフ、復讐心とはいえちょっと酷すぎる。
    あと、ジョウゼフ、これも狂言回し的な役割だけど
    まあほんっとにロクでもない爺さんだった。

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    2026年03月30日
  • 嵐が丘(上)

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    キャサリンとヒースクリフは互いに罵り合い、リスペクトのかけらも感じない関係性。
    しかしお互いがなくてはならない存在で、男女の愛というよりは、魂の双子の愛、生き物として離れがたい愛で結びつけられている。

    ネリー以外は、他社への虐めや軽蔑、憎悪を隠そうともしない登場人物ばかりで、
    もっと人に寛容になろうよという気持ち。

    キャサリンの癇癪持ちっぷりもひどい。
    思い通りにならないも家政婦のネリーをつねりあげるなど
    性格がとにかくよろしくない。

    ヒースクリフを下男同然に扱うヒンドリーといい
    他人にどう思われてもいいトランプ的なキャラクターが実に多くて
    寄宿学校で育ち広い世界を知ったとは言えない
    ブロンテがどうやってこんな苛烈な
    人物たちを創造したのか不思議な気がする。

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    2026年03月30日
  • 嵐が丘(上)

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    トワイライトでベラが愛読してて、
    いつか絶対に読みたいと思っていた嵐が丘...♡

    2月の映画公開するから 理解度をあげて、
    楽しみたくて読んだ

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    2026年03月15日
  • 嵐が丘(下)

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    結末としては救いのある終わり方だったが、物語の大部分はヒースクリフの非道な行動によって占められている。彼は自分の子どもに対しても愛情を示さず、復讐の手段として利用していた。その結果、リントンは全く幸福を得ることなく、物語の中でも特に痛ましい存在だった。

    ヒースクリフの死後、キャサリンとヘアトンの関係は一気に幸せへと向かう。そのシーンがあまりにも突然で驚いたが、幸せそうでキラキラしていた。

    終盤に描かれるヒースクリフとキャサリン(母)が丘のふもとに佇んでいるという描写にはなんだかホッとした。ヒースクリフがようやく心の安定を得てよかったなと思った。

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    2026年02月07日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    1920〜30年代のパリ・ロンドンの最底辺の生活を描いたルポ
    貧乏の酷さと汚さ、非人間的な労働環境などがリアルに書かれている。本当に酷い生活なんだけどどこか楽しそうにも見える。それは周りの人間の面白さだったり、人生に対する吹っ切れ方からくる。でも貧乏を肯定するわけではなく、社会の間違った構造や無駄な消費が、貧乏や非人間的な労働を生んでいるという指摘もしている。
    貧困に生きる人々を愛おしく描きながら、その背景にある構造には厳しく批判を入れているのである。

    パリとロンドンの違いも面白い。パリの方は取り繕うことが少ない、全員が自分のために勝手に生きているって感じ。あと出てくる人が多様。大陸だからなのか。
    ホテルの仕事があまりにも忙しすぎて、仕事中に従業員同士で罵倒しあうけど、仕事が終わったら謝るっていうエピソードが良かった。

    ロンドンは労働の場面があまりなく、職がなく救貧院をめぐって放浪する。ロンドンでは最底辺でもルールに縛られる。本当に最低限だが福祉があるゆえに、全く無益に放浪するだけの人がいる。
    ボゾが星を見るところが良かった。

    以下好きな部分メモ
    p108
    食べ物には高い金を払えば払うほど、それだけ余分な汗と唾をいっしょに食わされることになる。

    p172
    汚れというのはじつに人を選ぶものだ。いい服装をしているときには寄りつかないのに、襟からカラーが消えたとなると、とたんに四方八方から飛んでくる。

    p246
    慈善を受ける者は、必ずと言っていいほど、与えてくれる人間を憎むものだ

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    2025年12月07日
  • 嵐が丘(下)

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    語り手を通した事実の屈折は文学的に効果的とは言えず、メロドラマ的な展開が物語の強度を弱めているように思われる。しかしながら、ヒースクリフが抱いてきたさまざまな激情には、人間のありようを映す普遍性がある。もしこれを愛というのなら、人間とはなんと悲しい存在であることか。

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    2025年10月15日
  • 嵐が丘(上)

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    語り手を通した事実の屈折は文学的に効果的とは言えず、メロドラマ的な展開が物語の強度を弱めているように思われる。しかしながら、ヒースクリフが抱いてきたさまざまな激情には、人間のありようを映す普遍性がある。もしこれを愛というのなら、人間とはなんと悲しい存在であることか。

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    2025年10月15日
  • 回想のブライズヘッド 下

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    「ノスタルジー」は「nostos(帰郷)」と「algos(苦痛)」。大学時代のセバスチャンとの良き思い出を胸にしまい、堕落するセバスチャンを心に留め、望郷の彼方に取り戻せない過去を諦観する。ほろ苦きジューリアとの愛の成就も、結局は赦しの先にある共有できぬ過去と無神論とカトリック信者という絶対的断絶を持って終焉へと向かう。それらも戦争という徹底したリアリズムのなかだからこそ鮮明に際立つのかもしれない。
    20世紀前半~中盤の英国文化を色濃く感じさせる小説ゆえに、日本人だとやや理解しにくい部分もあるが、ノスタルジー小説の古典的名作。

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    2025年04月15日
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

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    とても面白い。
    冒頭の3篇(一杯のおいしい紅茶、イギリス料理の弁護、パブ「水月」)だけで元は取れる。

    雑誌への寄稿文や、1984年を書くために移り住んだジュラ島から送られた友人たちへの手紙などを集めた本。
    主に1945年前後の大戦による配給制下で物価が高騰しているイギリスで書かれた文章であり、当時の庶民生活も窺い知れる。
    他書からの再録がほとんどのようだが、この本のみに収録されたエッセイが6篇あるし、著者のエッセイ集を初めて読むならこの本が一番読みやすいのではなかろうか。

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    2025年03月28日
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

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    オーウェルといえば政治的な要素を含む小説やエッセイのイメージだったので、食事や家事、流行りの音楽、洋服などの日常生活に関するエッセイが入っていると聞いて気になり購入。当時のイギリスの生活に密接した内容なので興味深かった。
    本来のオーウェルの人柄がより伝わってくるような気がしたしTHEステレオタイプ的なイギリス人ってかんじの皮肉も聞いていて文章としてとても面白かった。
    代表作が重い内容であるからこそ本人の人柄や価値観を知ることによって、その作品で何を伝えたいのかということがより分かりやすくなるような気がするのでこういうエッセイは好きです。

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    2025年03月12日
  • 嵐が丘(上)

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    ネタバレ

    読書期間 2025/2/5〜2025/2/7

    面白かった!英文学の名作と言われるのがよくわかった

    エドガーかヒースクリフかと言われたら私はヒースクリフ派だな。新しい世界を見せてくれそうだし、何しろ世界を敵に回しても愛してくれそうだし

    主人公のロックウッド、勝手に押しかけたのに送って貰えずにキレるの図々しくて面白い。同級生が卒論で「ロックウッドは人付き合い嫌いと言いながら、ヒースクリフに興味津々で、人嫌いとは言えないのではないか」と言っていたのを思い出し、面白く読んでいた

    正直登場人物はネリーとエドガー以外感情移入できる人はいなかったかなぁ。キャサリンはわがままで自分勝手だし、アーンショウはめちゃくちゃ暴力的な人だし、ヒースクリフも恐ろしいし、、っていう感じで

    普通に、自分がエドガーの立場だったら奥さんにヒースクリフみたいな「元好きな人」が近づかれたらめちゃくちゃ嫌だもんな。キャサリンが一時の気の迷い?で結婚したせいで、ヒースクリフと二人で周囲を振り回してる感じ。でもいいよ、この相思相愛感私は好きだよ

    語りの感じは引き込まれて、情景が頭に浮かぶ、とても良い語り。すぐに読み終わった

    かの有名な”I am Heathcliff”のセリフを割と序盤で言っててびっくりした。

    後半も楽しみ

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    2025年02月07日
  • 嵐が丘(下)

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    ネタバレ

    タイトルだけは知っていた古典作品を読むシリーズ。身分の違いに引き裂かれた恋に対する復讐の裏で生き続ける純粋な愛の話。かもしれないし精神的に不安定な一族とそこに訪れる外部の人間との交わらない生の模様なのかもしれず、荒野に佇む幽霊の話なのかもしれない。多様な側面がある物語。

    舞台となるヨークシャーの寒村にある嵐が丘、スラッシュクロス、アーンショウ家、リントン家と家の外からやってくるヒースクリフ、ネリーをはじめとした使用人達。そして訪問者のロックウッド。一人もまともな奴がいない。あえていうならネリーが常識人に近いと言えるか。そのネリーは単なる善良な平民ではなく、物語世界を解釈して語る物語の進行者である。
    ネリーによって語られる物語は恐ろしくも哀しいヒースクリフの復讐劇とその背景にある何人も立ち入ることのできないヒースクリフとキャサリンの間の絆。本当にネリーの語る物語としてのヒースクリフとキャサリンの言葉の通りに絆が存在したのか。それはわからない。それでも幽霊としてロックウッドやそこに住む人たちに現れるのであればその思いは確かに存在したのだろう。そして荒野の墓地はまだその余韻を響かせている。

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    2024年12月07日
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

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    スポーツや文化、世界情勢など様々な分野に対する、イギリス人らしい、アイロニーとユーモアを効かした文章は、インテリジェンスを感じ、その時代の空気も感じさせてくれる。
    紅茶に対する拘りも、イギリス人らしい偏屈さでまた良し。

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    2024年10月20日