小野寺健のレビュー一覧

  • パリ・ロンドン放浪記

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    あまり期待せずに読み始めたら面白くて止まらなくなった。オーウェルの観察眼と表現力が光る。翻訳も素晴らしい。

    パリ編もロンドン編もおもしろいが、特筆すべきだと感じたのはP232〜234で、オーウェルが自ら経験した窮乏生活から学んだ「物乞いの社会的地位」について述べている部分が感慨深い。

    それに続く、ロンドンのスラングと罵詈雑言について、また「零落した人間」についてなど、終盤にさしかかったところからの記述が深い。

    そして、ここで出てくる『暇つぶしの才覚』という表現がタイムリーだった。この本を読んだのがちょうどコロナ騒ぎの真っ只中で、自粛生活がつらい、暇でしょうがない、などという世間の話題をよく聞いたが、そういう人々は本書でいうところの『暇つぶしの才覚もないまま』大人になってしまったのだろう…などと思ったり。
    それに比して、巣ごもりを満喫できる我々読書好きは『暇つぶしの才覚』があるということかしら。。



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    2022年03月16日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    この本を普段の生活では味わえない価値観というエンターテインメントとして捉えたくはないと思った。

    現在日本も人手不足だけど、法律や福祉を正せば輝ける人材もあるのではないかと思う。

    ホテルに対する記述が、私が思っていたけど言葉にできなかったもやもやを晴らしてくれた。
    「高級といわれているものの実質は、要するに従業員が余分に働き、客は余分な金を払うというだけのことなのである。」
    この文章が言いたかったことを表してくれた。
    こういった商売で経済が回っているのは事実だけど、本来必要な所に金が行き届いていない原因でもあるのではないか。

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    2020年03月20日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    社会にとって有益な仕事に妥当な賃金が払われず、なんでもない仕事が逆に法外に高い賃金を獲得するこの不平等はいつの世も同じだなと感じた。

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    2020年02月02日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    ジョージオーウェルと言えば動物農場...と思いきやこんなルポ的な旅日記のような、そんな本も書いていたんですね。
    しかも1933年と、かなり若い時の執筆です。

    パリとロンドンでの底辺暮らしの経験をみずみずしい感性で綴ったエネルギーを感じる一冊です。

    個人的には前半のパリの話の方が好きです。

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    2019年06月15日
  • オーウェル評論集

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    大好きな作家のひとり。数多くの体験記、書評、社会評論などのうちから、とりわけ時代批評に根差した主題が収載されている。

    自伝は、場面が鮮やかに迫ってくる。書評は、衒いがないのに新鮮。社会評論には、時代をこえた示唆がある。

    ここでこうして書いている自分の不誠実さが身にしみる。

    自分自身を見つめなおすこと、寛容であること、”真実”に向き合うこと。その難しさと大切さを教えてくれる。

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    2019年01月18日
  • オーウェル評論集

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     1948年に発売されベストセラーだった。『1984年』を読んで、「なんと退屈なホラー小説」「露骨な反共」と思った人は多いだろう、だが
    だがオーウェルは読む価値がある。
    英国には≪王制廃止≫共和制の時期もあるし、マルクス以前からの社会主義運動の伝統もある。オーウェルは階級闘争のモティベーションは認めていたがスペイン人民戦線敗北後「底辺を上部に取り換えても混乱のあと同じことをするだけ」と≪革命≫を評価しなかった。WW2最中(以降でも。『冷戦』を公言できるまでは。)の英国では「ドイツだけでなくUSSRにも強制収容所はある」と同盟国を棄損するような言動は自粛させられ『動物農場』は寓話であるがソ連を当てこすったのは明白として文壇の顰蹙をかった…ス後、急転47歳の彼の生涯は宣揚され

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    2020年02月22日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    前半のパリ編が秀逸。
    20代の1年半をパリで過ごしたからこそ描写できた街の一面。南京虫と悪臭漂う底辺の暮らしを、ヨーロッパ中から集まってくる様々な人の人生との出会いを通して、生き生きとどろどろと描きだしている。
    20世紀前半のこの時から、パリの根本部分は変わっていないと思う。

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    2018年08月28日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    オーウェルの突撃ルポ、デビュー作。1927年から3年間、パリ貧民街とロンドンのホームレス界にどっぷり浸かって取材。やはり性来の裕福さがポジティブな行動と考え方を生んでいる感はあり、よくある王子さまが身分を隠して庶民の中で生活をして学んだり、社長の息子が平社員として素性を隠して研修するという、ベタな物語を実際に行ったルポルタージュ。面白がってはあかんのかもしれませんが、単純に面白いです。だいたいにしてオーウェルがええとこの子なだけに、目が曇ってなくて、好奇心と探究心があるというか、面白がっているところが文章にも現れていて、読んでいるほうもワクワクします。

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    2018年09月17日
  • オーウェル評論集

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    「ナショナリズムとは何か」と問う時、最も明確な指標を与えてくれる作家。ナショナリズムが帰属するのは国家民族に限らず、本質的に権力志向と結びついている。WWⅡ当時の英国-ソ連間の国民意識についても詳述されており興味深い。

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    2017年08月11日
  • 嵐が丘(下)

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    ネタバレ

    上巻が重かっただけに下巻はキャサリンの娘キャシーの天真爛漫さに救われた
    前半 ヒースクリフの息子リントン ロンドン育ちのせいなのか、マジか?!ってくらい、虚弱すぎる キャシーの方が数倍たくましい ほんとうにヒースクリフの実子か? やっぱり荒野で育った子達はたくましいw
    中盤 リントンのキャラが、もう、ひ弱とかいうレベルじゃない 段々とギャグに思えてくる キャシーはこの小皇帝のどこがいいんだ リントンのキャシーへの独占欲の強さは父親譲りのようだ  
    ネリーが仕えてるお嬢様に対しての口の利き方が乱暴すぎる 田舎のメイドだからなのか ずっと違和感があった
    なぜ、父親がヒースクリフを下男として育てなかったかずっと疑問だったが、実はよそで産ませた子だったとの解釈あり なのでキャシー達と兄弟のように育てたという説を読んで納得できた 
    ハッピーエンドだと聞いていたから、なんとか頑張って読んだ でなければ、とっくに挫折してたと思う
    普段ロマ本に浸かっているせいか重厚な純文学に圧倒された 

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    2016年04月20日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    1984年の著者で有名なジョージ・オーウェル。

    若い時に、あえて貧乏生活を自分に課して
    どんぞこの生活をする。
    3日に1日のパン。寝る暇もない労働。浮浪者となりイギリスを彷徨う。。

    自分が見ている世界とまったく違う世界。
    それが目の前にあるように感じられるように書いている。
    純粋に面白い。

    これを読んだ後にいまの自分の生活を省みるとどんだけ恵まれてるんだと思う。

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    2014年01月26日
  • 嵐が丘(下)

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    魂揺さぶる美しい散文たち。激しい愛と苦悩、美しい若い恋人たち。近代文学のスフィンクスと呼ばれるだけのことはある。久々に本当に読んでよかった一冊。

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    2013年05月24日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    あまりに飄々としていてユーモラスなんで、
    フィクションかと思えてくるんですけどルポタージュなんですよね。
    いや、それくらい楽しい本ではあるんです。

    フランスでの変人に囲まれた貧乏暮らしにしても、
    ロンドンでの浮浪者暮らしにしても、
    20世紀のヨーロッパの裏側が見える感じがいいですね。
    それにしたって陰鬱な雰囲気ではなく、
    どこか異世界の物語を読んでいるように感じられます。

    軽妙なタッチで書かれているので読んでるときは気づきませんでしたが、
    これが実体験だというのは、なかなか凄いことだと思いますよ。
    こういう人になりたいもんだと思います。

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    2013年01月28日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    自らに貧乏生活を課し、パリとロンドンで浮浪者となった作者の生活と、出会った人々達とのエピソード集。

    文体から彼の誠実な人柄が伝わってきて面白い。パリ編はコミカルだが、ロンドンでは浮浪者に対する扱いの差が起因しているのか、重々しい。

    一人一人の浮浪者達が生き生きと描かれていた。浮浪者も、金持ちも、同じ人間であると作者は伝えている。

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    2012年12月15日
  • 嵐が丘(下)

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    ラストがやや弱いかなと感じたけど、ヒースクリフの執念に感服。
    愛のための殺人は小説でよく題材にされるけれど、情熱的な愛と冷静な法的手段を併せ持ったヒースクリフこそ、完全な復讐鬼だと感じた。

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    2012年11月28日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    ネタバレ

    大した家柄の筆者が身をやつして、戦間期のパリとロンドンで最下層の生活をレポートする。戦勝国にもロクでもない生活があったという当たり前の事実に気付かされるとともに、ロクでもない生活を最大限に楽しむ心意気を感じられる。
    この筆者はなぜここまでやるのだろうという興味がムクムクと湧く。筆者がこの後にスペイン内戦に身を投じるのは当然の流れなのか。なんにしても密かにあこがれのルポライターである。

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    2012年09月25日
  • 嵐が丘(上)

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    『嵐が丘』というタイトルだけで、詳しい内容を知らずに読み始めた。

    こんなに激しい物語だとは思わなかった。
    でもどんどん話に惹き込まれる。

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    2012年09月07日
  • 嵐が丘(上)

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    帯の強くて脆い愛とありましたが、どこが!と全力で言える。
    登場人物全員過激で辛辣で非情です。
    今のところ誰も好きじゃないんですけど、この先がどうなるのかすごく気になる。
    一番可哀想なイザベラ・・・せめてイザベラだけでも救いがあればいいのですが・・・

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    2012年03月19日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    『1984』や『動物農場』で知られるジョージ・オーウェルは、世界恐慌の余波がまだ残るパリ、ロンドンを放浪していた。そのときの悲惨な貧困生活をユーモア溢れる文章で記したのが、この『パリ・ロンドン放浪記』。
     特に興味深いのが、オーウェルがどんなに貧しくなっても、虚栄心を捨てきれないという描写。例えば、お金あるときにはレストランで外食することができたが、困窮極まってそれが不可能になってしまってからも、見栄をはるためにレストランへ行く振りをして公園で時間を潰し、帰りにパンをポケットに忍ばせてこそこそとアパートに帰る。他にも、ルームメイトと食べ物を譲り合って、結局相手に食べ物の取り分を多くとられてしまったりする。それでさらに可笑しいのは、ルームメイトがその譲り合いで食べ物を多くとってしまうことに、密かにオーウェルが腹を立ててるということ。それだったら最初から見栄を張らなかったらいいのに!人間は虚栄心のために愚かで不合理なことをしてしまう、そんな滑稽さがとても可笑しい。
     もう一つ興味深かったのは、オーウェルがホテルのレストランで皿洗いをしていたときの話。レストランの食事をするところでは、華やかな社交場が展開されている。それとは対照的に、オーウェルが働く厨房はというと、ゴミの山が積まれ、ネズミが我が物顔に走り回る始末。そんな環境から出される料理に表の客たちは舌鼓を打つ。さらにひどいことに、忙しさや客に腹を立てた従業員は、華やかな世界の人々へのささやかな復讐として、スープにつばを吐く。こんな状況は、映画『ファイトクラブ』でも描かれていた。監督は、『パリ・ロンドン放浪記』を読んでいるのだろうかと気になる。飲食業で働いていた人たちは、ここまで極端ではないにしても多かれ少なかれ、共感を持てるのではないだろうか。僕が高校のとき、バイトしていたところでも、例えばラーメンの麺がのびすぎたら冷麺にまわすといったことなどが行われていた。「自分が働いていた店では、自分は決して食事しようなどとは思わない」、そう思う人は多いと思う。オーウェルはこう皮肉を言う、飲食業で働くという経験をした「おかげで幻想のひとつ、すなわちフランス人は見ただけで料理のよしあしが分かるという妄想を打破することができた」。
     この作品は、ドキュメンタリーという体裁をとっているけれど、小説としても十分楽しめることができる。

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    2011年11月10日
  • 嵐が丘(上)

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    ネタバレ

    ※全体のネタバレになってしまうので、具体的なテキストレビューは下巻の方に書きました。

    非常に面白かったです。
    憎み合おうがどうしようもなく惹かれあう激しい愛憎劇がお好きな方にはほんとお勧め。

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    2011年10月24日