小野寺健のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あまり期待せずに読み始めたら面白くて止まらなくなった。オーウェルの観察眼と表現力が光る。翻訳も素晴らしい。
パリ編もロンドン編もおもしろいが、特筆すべきだと感じたのはP232〜234で、オーウェルが自ら経験した窮乏生活から学んだ「物乞いの社会的地位」について述べている部分が感慨深い。
それに続く、ロンドンのスラングと罵詈雑言について、また「零落した人間」についてなど、終盤にさしかかったところからの記述が深い。
そして、ここで出てくる『暇つぶしの才覚』という表現がタイムリーだった。この本を読んだのがちょうどコロナ騒ぎの真っ只中で、自粛生活がつらい、暇でしょうがない、などという世間の話題をよく聞いたが、そういう人々は本書でいうところの『暇つぶしの才覚もないまま』大人になってしまったのだろう…などと思ったり。
それに比して、巣ごもりを満喫できる我々読書好きは『暇つぶしの才覚』があるということかしら。。
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Posted by ブクログ
1948年に発売されベストセラーだった。『1984年』を読んで、「なんと退屈なホラー小説」「露骨な反共」と思った人は多いだろう、だが
だがオーウェルは読む価値がある。
英国には≪王制廃止≫共和制の時期もあるし、マルクス以前からの社会主義運動の伝統もある。オーウェルは階級闘争のモティベーションは認めていたがスペイン人民戦線敗北後「底辺を上部に取り換えても混乱のあと同じことをするだけ」と≪革命≫を評価しなかった。WW2最中(以降でも。『冷戦』を公言できるまでは。)の英国では「ドイツだけでなくUSSRにも強制収容所はある」と同盟国を棄損するような言動は自粛させられ『動物農場』は寓話であるがソ連を当てこすったのは明白として文壇の顰蹙をかった…ス後、急転47歳の彼の生涯は宣揚され -
Posted by ブクログ
オーウェルの突撃ルポ、デビュー作。1927年から3年間、パリ貧民街とロンドンのホームレス界にどっぷり浸かって取材。やはり性来の裕福さがポジティブな行動と考え方を生んでいる感はあり、よくある王子さまが身分を隠して庶民の中で生活をして学んだり、社長の息子が平社員として素性を隠して研修するという、ベタな物語を実際に行ったルポルタージュ。面白がってはあかんのかもしれませんが、単純に面白いです。だいたいにしてオーウェルがええとこの子なだけに、目が曇ってなくて、好奇心と探究心があるというか、面白がっているところが文章にも現れていて、読んでいるほうもワクワクします。
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Posted by ブクログ
ネタバレ上巻が重かっただけに下巻はキャサリンの娘キャシーの天真爛漫さに救われた
前半 ヒースクリフの息子リントン ロンドン育ちのせいなのか、マジか?!ってくらい、虚弱すぎる キャシーの方が数倍たくましい ほんとうにヒースクリフの実子か? やっぱり荒野で育った子達はたくましいw
中盤 リントンのキャラが、もう、ひ弱とかいうレベルじゃない 段々とギャグに思えてくる キャシーはこの小皇帝のどこがいいんだ リントンのキャシーへの独占欲の強さは父親譲りのようだ
ネリーが仕えてるお嬢様に対しての口の利き方が乱暴すぎる 田舎のメイドだからなのか ずっと違和感があった
なぜ、父親がヒースクリフを下男として育てなかったかずっと疑問だったが、実はよそで産ませた子だったとの解釈あり なのでキャシー達と兄弟のように育てたという説を読んで納得できた
ハッピーエンドだと聞いていたから、なんとか頑張って読んだ でなければ、とっくに挫折してたと思う
普段ロマ本に浸かっているせいか重厚な純文学に圧倒された -
Posted by ブクログ
あまりに飄々としていてユーモラスなんで、
フィクションかと思えてくるんですけどルポタージュなんですよね。
いや、それくらい楽しい本ではあるんです。
フランスでの変人に囲まれた貧乏暮らしにしても、
ロンドンでの浮浪者暮らしにしても、
20世紀のヨーロッパの裏側が見える感じがいいですね。
それにしたって陰鬱な雰囲気ではなく、
どこか異世界の物語を読んでいるように感じられます。
軽妙なタッチで書かれているので読んでるときは気づきませんでしたが、
これが実体験だというのは、なかなか凄いことだと思いますよ。
こういう人になりたいもんだと思います。 -
Posted by ブクログ
『1984』や『動物農場』で知られるジョージ・オーウェルは、世界恐慌の余波がまだ残るパリ、ロンドンを放浪していた。そのときの悲惨な貧困生活をユーモア溢れる文章で記したのが、この『パリ・ロンドン放浪記』。
特に興味深いのが、オーウェルがどんなに貧しくなっても、虚栄心を捨てきれないという描写。例えば、お金あるときにはレストランで外食することができたが、困窮極まってそれが不可能になってしまってからも、見栄をはるためにレストランへ行く振りをして公園で時間を潰し、帰りにパンをポケットに忍ばせてこそこそとアパートに帰る。他にも、ルームメイトと食べ物を譲り合って、結局相手に食べ物の取り分を多くとられてしまったりする。それでさらに可笑しいのは、ルームメイトがその譲り合いで食べ物を多くとってしまうことに、密かにオーウェルが腹を立ててるということ。それだったら最初から見栄を張らなかったらいいのに!人間は虚栄心のために愚かで不合理なことをしてしまう、そんな滑稽さがとても可笑しい。
もう一つ興味深かったのは、オーウェルがホテルのレストランで皿洗いをしていたときの話。レストランの食事をするところでは、華やかな社交場が展開されている。それとは対照的に、オーウェルが働く厨房はというと、ゴミの山が積まれ、ネズミが我が物顔に走り回る始末。そんな環境から出される料理に表の客たちは舌鼓を打つ。さらにひどいことに、忙しさや客に腹を立てた従業員は、華やかな世界の人々へのささやかな復讐として、スープにつばを吐く。こんな状況は、映画『ファイトクラブ』でも描かれていた。監督は、『パリ・ロンドン放浪記』を読んでいるのだろうかと気になる。飲食業で働いていた人たちは、ここまで極端ではないにしても多かれ少なかれ、共感を持てるのではないだろうか。僕が高校のとき、バイトしていたところでも、例えばラーメンの麺がのびすぎたら冷麺にまわすといったことなどが行われていた。「自分が働いていた店では、自分は決して食事しようなどとは思わない」、そう思う人は多いと思う。オーウェルはこう皮肉を言う、飲食業で働くという経験をした「おかげで幻想のひとつ、すなわちフランス人は見ただけで料理のよしあしが分かるという妄想を打破することができた」。
この作品は、ドキュメンタリーという体裁をとっているけれど、小説としても十分楽しめることができる。