小野寺健のレビュー一覧

  • 遠い山なみの光
    薄暗い、ぼんやりとしたお話しだった。みんな心に傷を負って、挫けないようただ淡々に生きている証のように思えた。

    成り立つようで成り立たない会話の書き方があまりにリアルで唸る。それと同時に戦前・戦後の考え方が変わっていく瞬間を捉えていて奇妙だった。図らずともこの時期に読んだので、虚しさが増した。

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  • 遠い山なみの光
    作品を通して登場人物同士の会話が、終始噛み合ってないcommunication breakdown状態。
    そしてスッキリしない空気感が、なんとも重いとまではいかない、独特な薄気味悪いグレーな雰囲気に満ちている。
    個人的にはこのcommunication breakdown状態に、読むのに苦労した。。...続きを読む
  • 嵐が丘(下)
    たまたま機会があってこの本を読み始めた
    名作とのこと
    よくわからないまま読み終えた
    誰が主人公なのだろう
    何故そこまで
    何故死を迎えた
    読み方が不足しているのだろうか
    外国文学はなかなかしっくりいかないことが多く、幼い頃は多数読んでいたが最近はずっと縁遠かった
    また暫く読まないかもしれない
  • 遠い山なみの光
    個人的に若干読み難い文章だったけれど、薄暗い雰囲気が漂っている感じは良かった。子猫と川のシーンはキツイ、、。
  • パリ・ロンドン放浪記
    凄い内容ではあったんですが勝手に想像してた放浪記と乖離していて重め暗めでした。この日々を見てジョージオーウェルは作家性を増したのですね。
  • 遠い山なみの光
    カズオ・イシグロの長編デビュー作。過去の傷を癒しながら未来に向けて再起を図る、2つの家族を描いた作品。戦後の長崎が舞台で、登場人物は日本人が中心となっている。やはりカズオ・イシグロの作品は、色のないモノクロの映像しか思い浮べることができない。土地やキャラクターなどの設定濃度が低いからだろう。またこの...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    暗い影に纏われた作品。
    時には原爆、時にはネグレクト、そして幽霊。
    会話か噛み合わない登場人物。本質ではうまくいかないとわかっているが自らを偽る言葉を吐く人々。
    そして佐知子の人生が悦子の人生にダブってみえてくる。時代に翻弄された女達の心に根ざしたものは同質だったのか。
  • 嵐が丘(下)
    怒号や非難の応酬が飛び交う物語はまるで任侠映画だが主人公達は義理も人情もなくひたすら自己憐憫や恨みをぶちまける。突き抜けた自由さがこの小説の魅力の一つかもしれない。出生故とは言え異常に経済観念の発達したせこい復讐が長々と続き、アッシャー家の崩壊のような終わり方になるのかと思っていたところ、頑丈な彼が...続きを読む
  • パリ・ロンドン放浪記
    オーウェルは、自らルポルタージュの為にパリ、ロンドンの底辺の世界に身を置いたらしい。
    そこで、貧乏のどん底で心の平安を見いだす。
    絶望ではなく、平安をである。

    『貧乏のどん底に近づくとあることを発見して、後は大抵どうでもよくなってしまうからである。退屈で、家のやりくりに俺の家に、目が決まってればく...続きを読む
  • 遠い山なみの光
     作者がノーベル賞をとったので、どんな作品を書くか興味を持ったので読んでみました。
     叙情的な文体は日本の純文学の影響を強く思わせます。
     しかし、翻訳された文章は逆輸入した日本文学みたいで、少ししっくりとこないものがあります。ぎこちなさを感じました。
     作者は作品ごとに新しい試みをためしてい...続きを読む
  • 嵐が丘(下)
    ヒースクリフがイザベラを含めたリントン家での平和をかき乱し始める所からの下巻。
    ストーリーの大筋はヒースクリフのキャサリン(母)との恋愛と破局、その復讐の物語だが、聞き手となるロックウッドか家政婦ネリーから聞く形式となっており、このネリーがいかにも偏見を持った語り口なのでその内容を鵜呑みにできずに読...続きを読む
  • 回想のブライズヘッド 上
    級友セバスチャンの苦悩。作者の育った家庭がこのようだったのだろうか。労働者階級の感情や欲望が「より忠実なありさま」と違い、何よりも礼節を重んじられ、感受性の強い若者は息苦しく感じる。また違うが私も家の中では「だるまさんが転んだ」をしてるような緊張を強いられていたので共感はする。セバスチャンは酒に逃げ...続きを読む
  • 回想のブライズヘッド 下
    最初は大学で知り合ったセバスチャンを通じてブライズヘッド家の人達と知古を得たチャールズだったが,セバスチャンが壊れてしまってからは,疎遠になる.思わぬ再開を果たしたジューリアとの間に恋が燃え上がるのだが,結局,心の底からわかり合うことが出来ずに別れることになる.
    途中まではモームの小説のようであった...続きを読む
  • 遠い山なみの光
    「なぜ、そんなものを持っているの」

    とか

    「あの時は景子も幸せだったのよ。みんなでケーブルカーに乗ったの」

    というセリフにゾッとさせられるんだけど、最後まで答え合わせはない。
    過去の自分と現在の自分の矛盾を埋め合わせるために、悦子が人生の葛藤の中で作り上げた妄想と現実が折り重なって紡がれた物語...続きを読む
  • パリ・ロンドン放浪記
    「1984年」で知られるイギリスの作家である著者の、有名になる前の経験を下敷きにした作品。
    名門校を出て公務員になったのに、安定した人生を捨ててパリとロンドンの貧民街で暮らす人生に。結構悲惨な暮らしなのですが、その中でも彩り豊かな登場人物や著者の余裕のある語り口が読みやすい作品にしています。
    例えば...続きを読む
  • 嵐が丘(下)
    途中で二代目のキャシーやリントンの振る舞いに辟易してしまい、読み続けるのがしんどくなったが……

    それぞれに自分の境遇に対する不満や、それに伴う自己正当化があるのだろう。それをもとに展開される発言は、読み手に媚びずに登場人物たちを存在させる。(自分勝手で意地汚くて、結構ストレスにはなるけれど…) 人...続きを読む
  • 嵐が丘(上)
    キャサリンは本当に鼻持ちならない少女なんだけれど、読み終わる頃には若干の共感じみたものが湧いている。
    自分勝手で、他人に心があることに気づかないのになぜ自分の望み通りに他者が振舞ってくれないのかと憤慨する。攻撃性の塊みたいな彼女が、自分の粗暴な部分に訴えかけてくるんだろう。
  • 嵐が丘(下)
    人間の心の底のマグマが描かれてはいる。ただやはり解説の内容から忖度しても、それは母国語で読んでこそ伝わってくるマグマであり迫力なのかもしれない。

    非常にこなれた訳で読み易くはあるが、まどろっこしく無駄なセンテンスも多くあると感じてしまうのは、私だけだろうか…?傑作と呼ばれる小説ほど、長編であっても...続きを読む
  • 回想のブライズヘッド 下
    上下巻で話が断絶した感がある。下巻の最後で上巻の最初の場面と繋がっている。スティーブン・キングが推薦しているのはイギリスを味あわせる小説である。
  • 嵐が丘(下)
    社会生活を送る上で普通の感覚の人間なら隠そうとする部分を全てさらけ出してぶつけ合う人間達の物語、という印象を受けた。意外なハッピーエンド。