さだまさしのレビュー一覧
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決意と想いを胸にしまい最後まで美しく生き抜く
徳島の阿波踊り
自由奔放で明るい男踊りに比べて忍耐と様式美の女踊り。
しかし、その不自由さによってさらに熱くなる心。
劇中でまさしくこう記されている女踊りのような生き方をしていた、母こと神田のお龍。
最後の二人の刹那の出会いは二人に何を思わせたのだろうか。
一人は涙をながしながら見つめ続けるが、
もう一人は決して目を合わせることもせず、表情すら変えない。
解説には未練があるから男は女をじっと見つめ、未練があるから女は男を見ようとしない~
とある。そういう部分もある思うが、自分は
男は男踊りのように自由に思いを馳せたから涙し、
女は女踊りのよ -
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歌手のさだまさし氏による、おそらく自伝的小説。長崎県出身で、バイオリンを習った主人公とプロフィールが重なる。
テーマは別れ。主人公雅彦が経験した大切な人たちとの別れを中心に、いろいろな時代背景で、ストーリーが進む。ところどころ時代が前後したり、登場人物がたくさんいるので混乱するが、さだ氏特有のやわらかな文章で優しい気持ちで読み進められる。
本書で初めて知った、長崎の精霊流し。手作りの小舟に灯篭を載せて川に流すイメージを勝手に想像していたが、もっとずっとスケールが大きいものだった。そしてそれは現在でも続いているようだ。一隻ずつ、その年に亡くなった故人の魂を送り流すように、長さ5メートルもの舟(型 -
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9歳のときに著者の「関白宣言」をはじめて聴いた。
「俺より先に寝てはいけない
俺より後に起きてもいけない
めしは上手く作れ いつもきれいでいろ
出来る範囲で かまわないから」
「俺より先に死んではいけない
例えばわずか一日でもいい
俺より早く逝ってはいけない
何もいらない俺の手を握り
涙のしずくふたつ以上こぼせ
お前のお陰で いい人生だったと
俺が言うから 必ず言うから」
圧倒的に威張っているのに、最後は「大好きだ」ということを匂わして「じぃ~ん……」。さらに心に染み入る美しいメロディー。
「大人になったらこんな結婚をしたい!」
と、わずか9歳の胸に強烈な衝撃を残し、それは40年以上経った -
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「高校生ボランティア・アワード」で紹介された、高校生たちの活動をまとめた本。
ボランティアというと、世のため人のため困った人を助けるというようなものを想像しがちです。でもここで示されているのは、高校生が自分たちの活動と社会をどう繋げていくかということではないかと思えました。
自分たちが興味のある関心のある物事に取り組み、それを知ってもらうためにはどうすればいいのかを考える。そのことが結果として、他人のためになり誰かを助けることにもなり「ボランティア」という形になる。それが素敵だと思ったのです。
伝統野菜を守るために商品開発をする。ものづくりの技術を活かすために、住民のニーズを聞き取りごみ回 -
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久しぶりに読んだ、さだまさし氏の小説。本書の元になる曲があったとは知らなかった。
若い医師の航一郎は、アフリカへ行くことを決意する。伝染病の研究者だったが、ケニアで戦傷者の手当てをする病院に出向する。設定は1980年代後半から90年代初めだが、60年代にモデルとなる医師がいて、さだ氏の友人であるという。
本書は、航一郎の知人たちが彼を回想する形で、書簡もあれば思い出話の形式でも進む。個人的には、人が話して説明するスタイルはあまり好きではない。それでも、アフリカの伝染病や紛争について、著者がよく勉強をしたことも分かり、前にも書いたが、本職が音楽家のさだ氏の文章が素晴らしい。物語の芯は、航一郎に治 -
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映画化されるということで、公開される前に購入。
結構前に購入しましたが、この作品を機に「遺品整理」という仕事があるということを認識しました。
あのプロレスラーの名前に似ていて、なぜこのタイトル?と思いながら、読んでいました。その正体は後半に出てきます。思わず、クスッとしてしまいました。
さださんの小説を読むのは、この作品が初めてだったのですが、人の心情を丁寧に描かれているという印象でした。さださんの歌詞は、人を惹きつける魅力があって、小説でも発揮しています。
主人公は、遺品整理の仕事に就き、色々な人と出会うことで成長していきます。その間に過去に起きたエピソードとからめながら、主人公の心は氷の -
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アフリカで活躍した実在する日本人医師のフィクションの物語。
東日本大震災と絡めてくる物語は所々が実話なので胸が苦しくなる…ちっとキレイ過ぎる物語だが涙腺が緩むし、人に優しくしたくなる物語。また、著者は医師には、こうあって欲しいと訴えているのだろうか…?
まず、アフリカという異国の地の事も全く知らなかった…戦争や病気の事など…知らない事が沢山あった…ここに行く全世界の医師や、なにも知らなくても極限の中に再度身を投げ出す医師は、医師たる認識が絶対的違うと思う。
私も経験ある。よく聞く話だが病院に行って五分で診察終り、質問するとこうだと断定する医師、顔を見ないで話す医師、この物語でもあるように、見