さだまさしのレビュー一覧
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覚悟をしていれば、悲しみと驚きはわずかでも軽くなる。けれど、痛みと深さはちっとも変わらない。
死別というのはそういうものなのだと思います。生があるなら死も必ず存在して、それは当たり前のことだけど、受け止めるには、人の心は弱すぎるのだと思います。
『精霊流し』
長崎で毎年8月15日に行われている、故人の魂を送り出し、そして別れを告げる儀式です。故人はもちろん、残された者のための儀式でもあるのだなと思いました。
ところどころ、涙腺を刺激されます。愛情に溢れているなぁと思いました。ただ、ころころと場面が変わって、あれ?ってなることが多かったのが残念です。 -
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"神田のお龍"こと江戸っ子の母親が啖呵を切る台詞は、一本筋が通っていてとにかくカッコいい。宮本信子氏が演じたいと言うのも頷けた。
主人公咲子が、父と母をカメラの同じフレームの中に収めようとする場面は、いちばん感情移入した。今にも阿波踊りのよしこの節と鳴り物が聞こえてきそうだった。
残念だったのは、寺沢医師がラストで言い放つ「そうだったのか」という一言。たぶんこういうことなのだろう…と考察してみるものの、どこにそんなことが書いてあっただろうかと何度も最初からページをめくっては確かめてしまった。母親が献体を申し込むことになった要となる場面なのに、説明不足でいかようにも意味が -
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ネタバレ歌手さだまさしのおばあちゃんの思い出話。
ロシアで生まれて豪傑だった若い頃の話と、自分のお誕生会の時のエピソード。おばあちゃんのおにぎりが大好きだったぼく。
お誕生会でお母さんがいろいろなご馳走を用意してくれて、友達から素敵なプレゼントをもらったぼく。
おばあちゃんは「一番好きな物をあげるよ」って言ってくれたから期待したのに、誕生会でだれも手をつけなかったおにぎりがプレゼントなんて!はじめは怒ったぼくだけど、おばあちゃんが心をこめて作ってくれたおにぎり。
食べなくて、ごめん。全部わかって、「無理して食べなくてもいいよ」と言ってくれたやさしいおばあちゃん、ありがとう。 -
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「みんな、覚えておいてね。雑草という名前の花が無いように、気付かれないかもしれないほど小さくとも、必ず植物には花が咲くのよ。人にもきっとね」
「生きて死ぬことの先にあるものは、誰かの記憶の中に生き続けるということではないのか。そう思い至って安堵した。天国は、自分を覚えていてくれる誰かの記憶の中にあるのだ。それならば既に今、父は真二の記憶という天国に住んでいるのではないか、と。」
「『真ちゃん、私ね、健一郎さんが生きてさえおってくれたらいいとよ。なんもかんも忘れてしもうてもいいと。生きておってくれたらいいと。』香織は重い台詞を、意外に冷静な声で言った。あたかも自分に言い聞かせているようだった」