さだまさしのレビュー一覧
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この本は東京都葛飾区の四つ木にある『銀河食堂』という小さな飲み屋に集う常連客のさまざまなエピソードがそれぞれの章になっている。(当然ながらタイトルは、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』のもじりだ)
簡単に言えば、まるで『パンプキンパイのシナモンティー』の歌詞の居酒屋版という感じ。
ところどころ話の中に『木根川小学校』『木根川薬師』などのこのあたりの地名が出てくる。さだまさしファンの方にはわかると思うが、アルバム『夢供養』(1979年)に『木根川橋』という曲があり、このあたりに少年時代に下宿をしていたらしく、下町のさまざまな風景が懐かしく描かれているのだ。
また最終章のタイトルはなんと『セロ弾きの豪酒 -
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岩波書店からの出版? 日本エッセイスト・クラブ賞受賞! 驚きと興味を覚え、手にしました。
本書は、2018年から2年間、岩波の雑誌『図書』に連載した「さだの辞書」24編に、書き下ろし1編を加え単行本化したもので、今年文庫化されたようです。岩波からの出版やタイトルの経緯と裏話は、本編にあり伏せます。
落語の三題噺(落語の形態で、客席から3つの言葉をもらい、それを織り込みその場で話を作る即興演目)になぞらえたのでしょうか、目次を見ると全25編とも「タロー・目が点・広辞苑」のような題が連なります。
その昔、私は一人都会の片隅で浪人生活をし、ラジオから流れる「案山子」に涙し、励まされたの -
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一時は「殺してしまおう」とさえ思っていた、自分が精神を病むきっかけとなった相手。実際にそんな相手を許せるかどうかは置いといて。リハビリとして始めた遺品整理という仕事。その中で佐相さんや依頼人含め、たくさんの人と関わってきた。そして雪ちゃんが打ち明けてくれた過去のこと。遺品整理の仕事をすることなく雪ちゃんの告白を聞いていたら、きっと杏平の中では松井に対する殺意が再燃していたと思う。遺品整理の仕事であらゆる人の生きた証と、生命の終わりに触れたこと。彼の中ではこの事実がとても大きいんだなって。人生観、死生観すら変えてしまうほどの衝撃を伴う体験をできた杏平は幸せ者だよ。