あらすじ
杏平はある同級生の「悪意」をきっかけに二度、その男を殺しかけ、高校を中退して以来、他人とうまく関われなくなっていた。遺品整理会社の見習いとなった彼の心は、凄惨な現場でも誠実に汗を流す会社の先輩達や同い年の明るいゆきちゃんと過ごすことで、ほぐれてゆく。けれど、ある日ゆきちゃんの壮絶な過去を知り……。
「命」の意味を問う感動長篇。岡田将生、榮倉奈々主演で映画化の話題作!
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しみじみと、良かった。
遺品整理業者の故人に対する向き合い方や、萩原先生の生徒を想う気持ちも物凄く良かったが、やはり一番は杏平のお父さんの言葉一つ一つが胸に熱く残った。
私自身も、ふさぎがちで口下手な息子を持つ父親。杏平のお父さんのように、いつまでも心寄り添える存在でありたいなぁと、何度も泣きながら読み終えた今、そう思う。
いやぁ…さだまさしさん、凄いです。
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心の病で高校を中退するが、現在は遺品整理の会社で働き始めた杏平。人間の悪の面や、残酷な死に直面する現場は、彼の精神にはには過酷な体験のはずだが…自分たちの仕事の在り方を背中で教えてくれる会社の先輩によって、杏平の中にも誇らしさが芽生える所が良かった。杏平を信じて暖かく見守り寄り添った父、そして何より杏平の心の清らかさ。高校時代に二度、行動を起こそうとした杏平を止めたのは、山木ではなく杏平自身の声なんじゃないかとも思う。子供がしてはいけない経験をしてしまったが、そんな大人たちやユキちゃんとの出会いに救われて本当に良かった。
…と、本来はここで感想を終えなければならないのは分かってるけど、どうしても言いたい。松井に罰が与えられないのは絶対おかしい!
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さだまさしさん、やっぱり裏切らない面白さでした。
タイトルがちょっと冗談みたいな感じで、軽い話だと思ったら、大間違いでした。
過去にある出来事から2度同級生を殺しかけた杏平が、遺品整理という仕事を通して、遺族や故人を偲び、人の命の重さについて考えるようになります。
簡単に人の命を奪ってはいけない。どの命も重く尊いのは同じである、ということ。
行きつけの居酒屋で働くゆきちゃんに出会って、彼女の過去も知ったことで、さらに命の重さについて感じ取る杏平。
死から生を学び取って、前を向いて歩けるようになった杏平に、ホッとしつつ、ちょっと涙ぐんでしまいました。
私も杏平と同じく、仕事を通して故人と真摯に向き合うCO-OPERSの人たちに胸を打たれました。
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スガシカオさんが号泣したと聞いて手に取った作品。後半の手紙あたりから私も涙。それぞれの命の重さが語るものはとても深くて人生の尊さを感じた。人を殺めちゃいけない、絶対に。
さだまさしさん多才過ぎます!
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心に傷を負った人間の、再生への物語。
ひとことで言ってしまえばそうなるのかもしれないが、そう片付けてしまうにはあまりにも深い。
悪意をもった罪への制裁、という意味では「罪と罰」という言葉が浮かびあがった。
人生は小さな罪を重ねながら、その贖罪を繰り返して少しずつ前に進んでいくものなのかもしれない。
「人は生きたようにしか死ねない」という言葉が胸にささった。
遺品整理という仕事の緻密な描写とそれにかかわる人間たちの繊細な心理描写に心動かされ、歌手としての顔しか知らなかった筆者の力量に驚いた。
生きる意味を問いかける、感動作。
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再読。
大切な人が生きる重さに耐えかねた時、私には蛙の王子様にかけられた魔法を解く力はなく、上手く寄り添ってあげることもできないかもしれない。でも花を植えることはできる。下を向いてる人にも見れる花を。
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[再読]
この世界には、いろいろな生命がある。
自分の生命、憎いアイツの生命、愛おしいあの子の生命。
全ての生命が、懸命に生きている。
生命の重さを知った時、目の前の霧が晴れていく。
人は、こうして成長していくのだろう。
さだまさし、渾身の一作。
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地球っこさんのレビューを見せていただき、是非読みたいと思った一冊。
悩み苦しむ杏平が周りの人に接しながら「生きる」ことを考える。
途中は読んでいて苦しくなるところも沢山あったけれど、最後は素晴らしい読後感。
杏平くんもお父さんも佐相さんもとても素敵。
雪ちゃんは本当にすごいと思う。
「生きる」ということはずっと考えてきたように思っていましたが、これを読んでまたヒントをもらったように思いました。
解説では遺品整理の吉田さん、佐相さんと著者のさだまさしさんはずっとつながっていて、3人ともこの世界をよりよき世界にしたいと思っている、とそのことにつきるような気がします。
メモ
父から息子へ
「イジメかって訊いたのはね、逃げるんだったら、どんどん逃げろって言おうと思ったんだよ。僕はどこまででもつきあうぞ。いや、原因が・・・そういうのじゃなきゃいいんだ。学校なんて命懸けて行かなきゃならないような場所じゃない」
六根清浄
人と人をつなぐ仕事。子と孫をつなぐ仕事、迷子になった「愛」を宛名の人に伝える仕事。故人が届けられなかった何かを届ける仕事。それでも、僕らの役目はただ一生懸命に部屋を片付けること。
緘黙症
「うん。命ってすごいね。生きているだけで、すごい、と思う。私ね、老人ってホントにすごいと思う。だってね、ずっと生きていないと老人になれないんだよ。なりたくてもなれない人の方がずっと多いんだよ。いろんな、それこそ沢山の苦労をしていきたっていうだけで老人は尊い、と思わない?私は素敵なお婆さんなりたいなぁ」
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素晴らしかった。お父さんが、ゆきちゃんが、佐相さんが語る一言一言が、宝物のようだった。
一気に読んでしまった。これからもずっと、大切な一冊になりそうな予感。
個人的に一番惹かれたのは、杏平のお父さん。一体、どんな痛みを味わってきたのだろう。そうでなければ出てこないような言葉ばかりだった。
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自分とはかけ離れてる、命の重みに向き合う仕事。誰かを救う仕事。自分も人の助けになることを何かやりたいなと思った。それで、自分が自分の心を助けられるかも。
雪ちゃんが壊れそうになったときの精神科医の言葉がいい 壊れてるんじゃなく、葛藤だと。哲学だと。自分も救われたような気がした。
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同級生の悪意をきっかけにその男を殺しかけた杏平。遺品整理会社の見習いになった。命の意味を問う物語。言葉のひとつひとつがすごくいい言葉でよかったです。一気読み必須です!!
気分転換に読むとすっきりしたきもちになれますよ!
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読み進めるほどしんどいシーンもあったが、
泣きそうになったシーンもあり、ストーリーに引き込まれて一気に読んだ。
さだまさしは作家の才能もありと感じた一冊でした。
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【2023年88冊目】
絶対タイトルで損してる〜!高校でのいろいろな出来事をきっかけに心を病んでしまった主人公が遺品整理業にかかわるうちに徐々に自分を取り戻していく話。映画化もされたようです。
いや、タイトル……文中にもタイトルそのままを意味する流れは何回か出てくるし、確実にキーフレーズなんですけど、どうにもちょっと違和感が拭えない。素晴らしいですよ?素晴らしいですけどね、アントニオ猪木さんの生き様とか!でもこのタイトルじゃなかったらもっと早く読んでた気がする。
しかし、松井……お前……松井ほんと、お前だけはちょっと……ひねくれてるとかいうレベルじゃないだろ……何かしらの天罰が下って欲しいと思うのは私の心が狭いのでしょうかね。
生きることや死をテーマに、そこへ様々な事情や心の葛藤が絡んでくるのですが、重すぎて息ができないというほどの内容ではないのは登場人物たちの在り方のおかげなのでしょうか。
映画も見てみようかな。
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さだまさしは言葉の魔術師だ。巧みに言葉を操り歌と同様に小説でも人の心を揺さぶる。
この作品では命の重さと心の葛藤が描かれているが、実在する遺品整理業者の事を詳しく知ることが出来て良い。厳しくも重要な仕事なので、こういう作品で少しでも理解が深まるとよいと思う。
唯一不満があるとすれば、悪い奴にいつかは罰が下されると思いきや何もなかったこと(厳密には何もとは言わないかもしれないが)。勧善懲悪推進派の私としてはストレスが残りましたが、それも大事な命のひとつというこの作品のメッセージです。
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タイトルとは裏腹に、題材は真面目で堅い内容だったけど、読みやすい。
読んでいて苦しい描写もあったけど、私の普段の生活では触れることのない職業の物語で、知らない世界を知ることができた貴重な本だった。
居酒屋のゆきちゃんとの会話が心に残った。
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誹謗中傷、命の重さを知る
世間では自分の責任を回避した形で、人の悪口を勝手に誇張し吹聴する輩がいる。特にSNS、Twitterで誹謗中傷的で言いたい放題の輩もいる。例えそれが誰かの売り言葉・表現でも現在では犯罪であり刑罰(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金等)が徐々に厳しくなっている。その被害者が「命を落とす」ことに繋がれば重刑となる。ネットでは「プライバシー保護」も逆に保護できない域になりつつあることを自覚しておくべきだ。
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主人公である若者(永島君)が抱え続けた「生命」に対する受け止め方の変遷、もがき続けた変遷を、彼の心情をリアルに描きながら、語り続ける内容
そこには、様々な形で現れる「生命」の形
「アントキノイノチ」にたどり着くまでの辛く、長い道のり
辛いけど、勇気づけられる内容でもありました
「生命」について、色々考えさせられました
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著者であるさだまさしさんの優しさ、心のあたたかさと繊細さが溢れていると感じました。
生と死、親との関係、働くということ、生きるということを改めて考える時間がもてました。
杏平のお父さんも古田社長も佐相さんもほかの従業員の人々も雪ちゃんも、あたたかくて、優しくて思いやりがあって泣けました。
どんな人もみんなそれぞれ自分の命を精一杯生きてるんだと思いました。
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命の重さはみんな同じ
ゆきちゃんとの再会で傷ついても前向きに生きる姿や
クーパーズで遺品整理をする中で向き合う失った命や、
さいごに憎い松井を許せるくらい成長したのは良かった。
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映画化されるということで、公開される前に購入。
結構前に購入しましたが、この作品を機に「遺品整理」という仕事があるということを認識しました。
あのプロレスラーの名前に似ていて、なぜこのタイトル?と思いながら、読んでいました。その正体は後半に出てきます。思わず、クスッとしてしまいました。
さださんの小説を読むのは、この作品が初めてだったのですが、人の心情を丁寧に描かれているという印象でした。さださんの歌詞は、人を惹きつける魅力があって、小説でも発揮しています。
主人公は、遺品整理の仕事に就き、色々な人と出会うことで成長していきます。その間に過去に起きたエピソードとからめながら、主人公の心は氷の心から徐々に溶けていきます。高校生のエピソードは、ムカつくところもありましたし、胸が痛いところもありました。
「死」や「命」というものを深く考えさせられました。重厚感のあるストーリーですが、そんなに暗くなく、明るい感じになっていました。読み終わった後は、心が暖かい気持ちになりました。
ちなみに読んだ後に映画版を見ましたが、最後「えっ、嘘?あの人が…」と驚くくらい、小説と異なっていました。
個人的には、小説版の終わり方にして欲しかったなと思いました。ただ、Greeenの主題歌には、ジーンとしてしまいました。
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ここのところ機龍警察シリーズで、バンバン人が死ぬ話しが続いていたこともあって、人の気持ちみたいなものが少し取り戻せた気がする。まあさださん泣かせる話、書かせるとうまいわな。ドストレートにくるから、そりゃ泣ける。ただ、自分の心根が汚れているので、こんなに優しい人ばかり出てくると何かケチ付けたくなるけど、それは読み手の問題。やはりたまにはこういう優しいやつ読みたくなるから、さださんの他のも読んでみようか。
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一時は「殺してしまおう」とさえ思っていた、自分が精神を病むきっかけとなった相手。実際にそんな相手を許せるかどうかは置いといて。リハビリとして始めた遺品整理という仕事。その中で佐相さんや依頼人含め、たくさんの人と関わってきた。そして雪ちゃんが打ち明けてくれた過去のこと。遺品整理の仕事をすることなく雪ちゃんの告白を聞いていたら、きっと杏平の中では松井に対する殺意が再燃していたと思う。遺品整理の仕事であらゆる人の生きた証と、生命の終わりに触れたこと。彼の中ではこの事実がとても大きいんだなって。人生観、死生観すら変えてしまうほどの衝撃を伴う体験をできた杏平は幸せ者だよ。
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フォロワーさんにおすすめされた作品!
珍しくミステリーじゃない本読んでみた!
まず、さだまさしさんが小説書いてるの知らなかったから驚きだった!
読みやすい文章で一日で読み終わった!
松井がムカつきすぎてンギギギギギってなったよーーー天罰下って欲しかったけどなかなか都合良くいかないもんだねぇ。。
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さだまさしは音楽の世界の人なのに、お話も書けてそれはやはり作詞をなさるからなのかな?
命に関わるお話が多いなと思ってたけど解夏は別に死にはしなかった。
解夏と眉山とこの作品しか読んでないけど、、
最後になんか丸く収まってたけどそこだけ無理矢理感がある。殺意をもつほど嫌いな相手をなぜ許せる?許してはないのかもしれないけど。
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さだまさしさんは多才だ。
歌たけでなく、こんなにも良い小説を書くなんて。以前は『眉山』などのこれも映像化された作品でとんでもなく良い。
遺品整理というあまり馴染みのないところから癒しへの流れ。
タイトルはアントニオ猪木に似ているでしょ?とさださん自身が仰ったのを記事で見たけど、まぁ、それはそれとして作品としては素敵です。
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遺品整理の仕事で人とのかかわりを通して、主人公が立ち直っていくのはいいんだけど、けっきょく学生時代の元凶であるいろんな人の人生を狂わせた悪い奴はなんの罰も受けてなくてすっきりしない。
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キレイな日本語が使われてあるので、若者の話し言葉には違和感ある。「口惜しい」が何回か出てくるけど、ヤングは言わないでしょ。ヤングは。
松井は死ねば良いと思ったけど死なないし、最後がきれいすぎる。病気になるほど追い詰められ、女子に犯罪まで犯した奴が結婚し幼子を連れて歩く姿見て、「元気ですかぁー」なんて言えるか?それで、よし新しい旅が始まったって。ンなわけあるかー!きれいに書きすぎ。
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笑う面白さではありませんが、
現代の問題を織り込みながら若者の崩壊と再生が
同じ進みかたで描かれておりました。
涙もろい(年?)の私は、涙なみだ。。。
人間関係から、学校をドロップアウトしてしまった若者が
身寄りのいない老人や殺人事件などの
アパートなどの、遺品整理と後始末をする会社に。
そこで、先輩の言葉や行動をみながら、
生きるということ、生命ということ
自分というものの本質
薄皮をはぐように再生するものがたり。
内容も映画になったくらいなので、とても良い本!
しかし、なんと言っても驚くのは
原作がさだまさし
シンガーソングライターのさだまさし
私も、夫もこの作品を描いたさださんの
才能の豊かさに一番驚いたのでした。